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子供にTMS治療を受けさせるリスクをどう考えるか

子供へのTMS治療のリスクをどう考えるか??

別なページでも書いたのだが、独立して記事を書いておくことにしたので、読んで頂けたら有難い。
日本ではまだまだTMS治療に関しては情報が少なすぎるように思う。
特に子供に対しての治療の経験談がほとんどないので、私の体験が参考になればと思い記事を書いている。

TMS治療の有効性は世界の最先端の研究では確認されているものの、子供へのリスクをどうとらえるか?ここも悩みどころであった。

上記は科学分野の論文で有名な「nature」の過去記事だが、2015年までに既に多くの実験が行われ論文が発表されていることに驚く。
現在ここから7年たっているわけだが、これから新たに論文が発表されるのか期待したい。(もしかしたらもう発表されているかもしれないが)

ただTMS治療で大きな弊害があればそれなりにニュースになり、実験等は中止されているはずなので、そう弊害はなかったのではないかと私は見ている。

娘が小さかった頃の様子

娘が小さいころにグレーゾーンに気づく可能性があったかというと、今思い返してみれば、あれがそうだったのかもと思うことはあっても、初めての子供でそれに気づくのはなかなか難しかった。

娘は1歳半健診で歩いていなかった。実質1歳8か月くらいの時だが、医師に大きい病院で診てもらうように勧められた。
娘は四つん這いのはいはいではなく、ずりばいという座った状態のまま足を動かして移動するという少し変わった移動方法だったため、歩くのが遅いとは聞いていた。大きい病院でいろいろ検査したが異常はなく、理学療法士の先生についてリハビリ的なものを受けることになった。
やわらかいブロックなどを積んでその上におもちゃを置き、それを取りに行くよう、なるだけ立つようなしかけをして遊ばせるというものだった。
先生に何を見ているんですかと聞くと、「いろいろなおもちゃを適度に遊ぶかどうか、一つのおもちゃに固執したり、逆におもちゃをどんどん変えて遊ぶという場合は脳の発達に問題がある可能性を考えます」ということだった。娘は適度に遊んでいたので「ちょっと遅いくらいでそのうち歩くと思いますよ」と言われた。半年ほど過ぎたことからだんだん立つ意思を見せ始め、手をつなげば立つようになり少しづつ歩くようになった。
「もうここまで来たら大丈夫ですよ」とその訓練は終わった。

幼稚園で大きなトラブルを起こすこともなく、むしろしっかり者で、発表会では難しいセリフを与えられたりするような子だったので、ちょっと行動は遅いが発達の面に関して心配したことはなかった。

小学2年生で登校拒否が始まる

小学生になり1年生では何の問題もなかったが、2年生になり都会の学校に引っ越してから、2学期中盤で登校拒否が始まった。
環境も激変し1学期はそれなりにがんばったものの、2学期になって気持ちが持たなくなったのだろう。同じクラスにいる暴力的な子が、他の子をいじめている様子を見るのが嫌だと言って学校に行きたがらなくなった。
発達障害の本を読んでもどれにも該当しないような気がして、最初はHSCなのかと思っていた。一体なんなのかと悩んだ。
3年生になってからは、ほぼ休むか保健室登校、調子が良ければ教室に行くという学校生活になった。学校がうるさいからとイヤーマフも買った。イヤーマフは周りの人とコミュニケーションを取りづらくなるので、微妙だなと思いながらの使用だった。スクールカウンセラーに相談しながら3年の終わりごろにWISC検査を受けることにした。

娘のグレーゾーンは遺伝

WISC検査の結果をスクールカウンセラーに聞きながら、その特性を聞いていると、状況を把握して適切に動くのが難しい、人が困っていることがわからない、言語性IQは非常に高いなどなど思い当たることがいくつかあった。
私から一言目にでてきたのは「これ主人の特徴です」という言葉だった。
カウンセラーの先生は少し言いにくそうに、「恐らく遺伝性のものと思いながら検査していました」と話した。
ずっとうちの夫は何かおかしいと思いながら暮らしていたが、たぶんアスペルガーである。そして娘はその遺伝を受けているというのが私の実感だ。
「女の子の方がいろいろなことによく気づくので、外から見るとわかりにくいです」と言われた。

その後、結果を受けて児童精神科に通う。適応障害と診断されて抗うつ薬を処方されるものの、回復と増薬を繰り返すだけで根本的な解決には至らなかった。どうすれば娘が元気になるのか試行錯誤の日々だった。

QEEG検査とTMS治療を受ける決断をする

何かないかとインターネットで探して見つけたのがブレインクリニックのTMS治療だった。
娘が治療を受け始めたのは娘が小学4年生の終わり頃からだった、だいたい10歳過ぎになる。さすがに5歳くらいだったら悩んだかもしれないが、10歳くらいになれば脳はほぼ完成形に近づいているので、そう発達に影響はないのではないか?むしろ今の方が悪い状態で、なるだけフラットな状態に近づけたいとの思いがあった。少しのリスクならリスクを取ってでも娘に元気になってほしかった。

以前ためしてガッテンで、脳溢血で脳が損傷し、体に障害が残ったという男性が出ていた。しかし、奥さんがリハビリを支え、ほぼ自分で自分のことができるようになったという話だった。そのリハビリのやり方というのが、「なるだけ自分でさせる」というものだった。服を着るときも「何につまづいているか」を奥さんが見極め助ける。この場合は男性は暗い色の服を着る時に首をどこに通してよいかわからなかったので、奥さんが首のところに目立つ赤いタグをつけると、男性は自分で服を着られるようになった。

この方法を見ていて思いだしたのは、「モンテッソーリ教育」であった。
「モンテッソーリ教育」は世界中の様々な起業家や有名人が幼少の頃に受けた教育として、有名な教育法である。あの藤井竜王もモンテ園出身ということで話題になった。エリート教育のように思われているが、元は障害児教育からきている。基本は子供がやろうとすることを見極めて、やってあげるのではなくつまづいている個所を一人でできるように助けてあげるという方法だ。ためしてガッテンの中では、その男性が繰り返し挑戦し、奥さんがうまくつまづいた箇所を助けることで訓練され、男性の死んでしまった脳細胞のまわりが活性化し、死んでしまった部分を補うように回復したということだった。モンテッソーリ教育でも、子供が自分でやって「できた!」という達成感を味わうことで、脳神経が発達することを指摘されている。

私はこの番組を見ていたので、脳はそんなにヤワではないのではないかと考えていた。脳の「可塑性」というものらしいが、脳については可能性をまだまだ秘めていることの方が多い。安全性の高いと言われているTMS治療を子供にしたとしても、そう悪影響はないのではないかと思った。そして総合的に考えて、この治療を受けてみようと決めた。専門家から見たらよくこんなことするなと思われるかもしれないが、最先端の医療はいつも実験的であることは否めない。

娘の場合は治療中特に副作用はなかった。治療を受けた日は死んだようにぐっすり寝ていたのが印象的だ。なので、なるだけ休日の前日に治療を受けるように調整した。

結果32回のTMS治療で娘は元気になり、学校に通えるようになり、友達とも楽しく遊んだり、学校でしんどいことがあってもなんとか乗り越える力がついてきた。今までとは別人のようだ。もちろんTMS治療でグレーゾーン特有の特性が全てなくなったわけではない。まだハラハラすることもたくさんあるが、やはり大きなよい変化があったと言って差し支えないと思う。

子供にTMS治療を受けさせるかどうか迷っている保護者の方の参考になれば嬉しい。




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