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ジェンダーフリーな商品開発

*女性の下着の話が出てきますので、苦手な方はご注意ください。

女性が開発した商品

昔はよく、商品開発をするのは男性がいいか女性がいいか?という質問をされました。
「こういう商品を使うのは女性だから、女性が開発したほうがいいよね」とか、「この商品は女性が開発しました!」みたいなキャッチコピーとか。
私はそういうのをそっと冷めた目で見ていました。
そういう発言をするのは、ほとんどがおじさんです。女性からすると、「男とか女とか関係ないよね」と、当時の女性たちはみんな心の中で思っていたはず。

というのも、私が社会人になったばかりのころ、総合職の女性というのはほぼいないため、会社というのはおじさんだらけ。
「女の子」と呼ばれる事務職の女性がいるのが普通です。
私みたいな総合職の人は、「女の子」の仲間には入れてもらえず、おじさんたちもどう扱っていいかわからないから、だれからもちょっと煙たがられる感じ。
おじさんばっかりで開発していたから、「女性が開発しました!」というのが「差別化のポイント」になると信じられている時代があったのです。プレゼンする相手側もおじさんだから、「いいねー!」となったりします。しかもついわりと最近の話です。

いつもそんなシーンではモヤモヤとしていました。
でも私も若かったし、実力もそんなに伴わなかったので、ヘラヘラしてやり過ごしていた時期もありました。(正直に言っちゃった!)

(余談ですが・・・そろそろ女性のこと「女子」とか「女の子」とか総称で呼ぶのやめません?
40過ぎて「女子の意見を聞きたい」と言われても・・・「私女子じゃねーし。もうおばさんだし。」とひねくれつつ思ってしまいます。笑)

女性が開発部隊に加わったら!

だんだんと女性の社会進出が本格化してきて、普通に同僚や部下に女性の総合職の人も増えました。
私もどんどん怖いものがなくなってきて、発言力を増してきました。笑

自分で開発することが増え、何が良くて何が悪いか、どうやったらうまく行くのかなど、ようやくわかりかけてきたかな?と感じる今日この頃ですが、先日この女性開発問題に「これかー!!!」というスッキリした事案があったので、書いてみようと思います。

去年、とある衣料メーカーの方々と商談していた時のことです。
その会社のご担当者の方々はみんなとてもおもしろい、おじさんたちです(おじさんたちなんて、失礼だな!と思われそうですが、ご当人たちは許してくれそうなので、このままにします。笑)。

そんなある時、最近売れてるインナーの話から、営業部長のおじさんが言いました。

「もう、俺たちにはブラレットとか、わけわかんないですよー」

そう。ブラレットって知ってます?女性はわかると思うんですが、ブラジャーのカップがなくて、アンダーにワイヤーの入っていない、めちゃめちゃ楽なブラジャーみたいなものです。おっぱいを覆う布みたいな。笑
最近ブラレットが流行ってきて、専門店もできたという話をしていた時でした。

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は!そういうことか!
いろんな今までのモヤモヤが結びついたのです。

ユニクロがブラトップを発売したのは2008年。それまでもこのような商品はあったのですが、ユニクロが安い価格で発売したことと、有名女優がCMに起用されたことで、みんなが買ってみました。
そして、「あ、ブラジャーしなくてもいいんだ」という、女性からすると目からウロコの事態になります。
なんといっても、それまでは「寄せて上げる」の時代です。
そう。谷間を作ることが最優先だったのです。

もちろん、女性としてシルエットを美しく見せたいとか、洋服に合わせて下着を選ぶとか、ステキなランジェリーを身に着けることで気持ちを上げたいというのも絶対にあります! 

でも・・・どんどん楽になってません?
ワイヤーからゴムへ。そしてついにゴムもなくなる・・・。
これ、更に歴史をたどるとコルセット⇒ブラジャー⇒ワイヤー入りのブラジャー⇒ブラトップ⇒ワイヤーレスブラジャー⇒ブラレットという風に、女性の社会進出とともに、どんどん快適な感じになっていっています。

今までは男性が女性が使う物を開発しているという会社が多かったと思うのですが、女性があたりまえに開発のチームに加わることで、こういう商品が出てきています。そうしたら、余計なもの(快適ではないもの)がどんどんなくなった!

いい!
こういうのすごくいいですよね。
海外では普通でしたもんね。ブラレットとかワイヤーレスブラジャー。そして誰かの目から見た自分を盛るためではなく、自分の気分によって、TPOSによって「選べるようになった」ということが、とてもうれしい。若いころは、「人からどう見られるか?」ってすごく気にして生きてたと思うんですけど、年々「自分が心地いいのは何か?」になっていきます。

そういうことも含めて、「女性が開発したから」とかそういうことではなくて、使う人が真剣に開発したらこうなったんだと思うのです。

男とか女とか関係なかった!スッキリ!

商品開発におけるターゲット?!

ブラジャーは女性が使うものですから、例としては極端だと思うのですが、私がメーカーや商社の開発から小売業の開発へと転職したことで、一番変わったなーと思う部分が、「男性が」「女性が」とか、「何歳の?」というターゲットをあまり明確にしなくなったということです。

というのも、私たちのお店には様々な世代の、様々なジェンダーの人たちが来ます。
私も半年間、店舗で研修しました。チェーンストアの店舗で働くというのはほとんど初めての経験でしたから、毎日お客様を観察していました。
当時の私のドラッグストアのイメージは、「マツキヨ」です。笑
東京の都心部には小さなドラッグストアだらけ。化粧品と薬がメインで、日用品はほんのわずかな品揃えです。
だから、面接に行く前にサツドラを真剣に見に行ってびっくりしたのです。

これ、ドラッグストアっていうの?

入社してからの研修中、もちろんレジにも入っていました。サツドラは食品や日用品も扱っていますから当たり前なのですが、東京の都会で暮らしていた私には見えていなかった人々のライフスタイルが、お買い物されるカゴの中から想像できたのです。
そこで気が付いたのは、「ドラッグストアといえども、女性だけがターゲットじゃないんだな。」ということです。

誰もが毎日のように洗濯するし、お風呂に入るし、ご飯を食べる。
あたりまえのことですよ!
でも、メーカーにいて開発しているといつも「ターゲットは?」とか「ペルソナを設定しましょう」とかカッコいいこと言いながらやってたんです。
みんな毎日料理するし、毎日ごみを捨てるし、毎日歯を磨きます。
おじさんとか女子とかおばさんとかおじいちゃんとか関係ない。

そうだった。私がこれから開発する商品のターゲットは「みんな」だ。

というわけで、サツドラのPBはまだまだ少ないので、私は「みんな」が使うものから開発しています。
いつか、「こういうターゲットの人に向けた、こういう商品をつくる!」という時がやってくるかもしれませんが、もうちょっと後かなー。

これからの商品開発

やっぱり私はこれからジェンダーフリーな商品開発を目指したいと思います。(ある意味宣言です!)
まだ世の中は今でも圧倒的に女性の方が家事をする場合が多いのが現状です。あるいは、日用品は女性の購入率の方が高いことも多い。
なので、デザインなどはかわいい感じににする場合もありますが、ジェンダーに関係なく、使いやすい日用品を開発したいのです。

サツドラの従業員も私の作ったPBを使ってくれていまして、「ここがいい!」とか、「この間○○買ったんだけど、このメーカーのよかったよ」とか教えてくれます。
そして最近は男性たちもそういう風に言ってくれる人が増えてきたんです!

ついに・・・男性も家事をやり始めた!というか、やってたかもしれないけど、「オレもやってる!」ってことを声に出して言えるようになった。
いいですよねー。これもある意味ジェンダーフリーです。

とくに私たちは日々の暮らしで使うものを販売しているのですから、自分でいろいろなものを使って欲しいなーと思います。
自分が使わないものをお勧めしたり、売れないですよね?
わたしは、自分で買い物したり、使うことが開発する最初のきっかけとなります。

なので皆様の想像通り、我が家は自分で作った商品(そして競合調査の他社製品。笑)だらけです!

最後に・・・

商品開発にはジェンダーは関係なくて、ちゃんと使う人が開発するのが大事だと(わたしは)思うというお話でした。
正直に言うと、こういう風に考えられるようになるまで、ものすごく時間がかかりました。
やはり今まで「女のくせに」とか、「これだから女は」って言われたり、思われていると感じることを何十回、何百回と経験して、たくさんイヤな思いもしたからです。「私が男なら、こんな風に言われないだろうな。」というシーンが何回もありました。
でも、ようやく自分がやってきたことに自信が持てるようになってきたこと、そして世の中がだんだん変わってきたことで、わたしを変えてくれました。
これから活躍していく人たちには、ジェンダーで差別されたり、自分が感じた理不尽な気持ちにはなってほしくないなーと思います。

もちろん、男性だから!女性だからこそ!みたいなこともたくさんありますよ。
だからこそ声をあげて!いい商品を作りたいですね!

前回の記事が私の想像以上にたくさんの人に読んでいただいて、スキも100回以上いただいて、めちゃめちゃうれしいです。
躊躇していたけど、note始めてみて良かったです!
今回もお読みいただき、ありがとうございます!また、時々お付き合いください!

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