七月

句座が好き。自分の生活の中での句の背景を残したいと思っています。

七月

句座が好き。自分の生活の中での句の背景を残したいと思っています。

最近の記事

盆休やあだ名の由来また聞かれ

昨日は各地で花火大会があったような。私の生まれ育ったところでも大きな花火大会があり、猛暑の中、昼から街がザワザワ賑わっていた。 川の名を冠するこの花火大会は、祖先や近しい人への鎮魂から始まったと言われている。 この花火大会に、ここ10年ほど、コロナの時を除いて、毎年高校の同級生が声を掛け合って花火を上げている。今年は10号玉を一発上げた。始まりは、ひとりの同級生の逝去からだった。今年で十三回忌だそうだ。早いなあ。 毎年、お金を集めて、上げる。それを見るために、同級生が集まる

    • 見つからぬ蛍袋に隠すもの

       2週間くらい前から近所の里山の道端には、蛍袋がたくさん咲いていた。花の少ない場所だから、尚更愛らしく見える。 蛍袋は、昔、こどもたちが蛍を入れたという謂れ(確かに中に入れて灯したら綺麗だろうと思うが)から、蛍袋とか、釣鐘草とか言われているらしい。  こんなにたくさん咲いているのだから、この風情をなんとか俳句にしたいと思って、いろんな角度から見て、詠んでみるが、3日見てみてもしっくりくるものはできなかった。  俳人波多野爽波の話したという句作の姿勢の一つに、対象が決まったらそ

      • 更衣母に見慣れぬ帯ひとつ

         更衣の季節になったのだけれど、母は入院してしまい、もちろん着物を着ることももうない。なんとなく気になって、箪笥の整理をしてみた。元気だったころの着姿を思い出せる着物もあったが、仕付け糸もとっていない着物も出てきた。いつか着る、いつか着るだろうと思って作っていたのだろう。母と私は背丈は違うが、顔貌は似ていると言われている。そのためか似合う色も似ている。着られないけれど、似合いそうな着物を広げて、残った日数を考えたりしていた。 夏帯や幾度と締めた折り残り

        • 羊蹄やひとりで決めて転居して

          昨日は、初めて席題句会に参加した。季語と季語ではない語がその場で出されて、制限時間内に五句出句という趣向で行った。 そもそも句会に参加するのに、いつもその五句ができずに苦労していたくらいだから、即興でできるかしらという不安はあったが、なにか閃くかもしれないという思いも多少はあった。 席題の中に、「羊蹄(の花)」というのが、あった。句会場では写生句はできないから、取り合わせを考えてみたのが、この句。ある一人のご婦人を思って作った。そのご婦人は、お一人住まいで、まだ健康なうちにと

        盆休やあだ名の由来また聞かれ

          パソコンの十指働く昭和の日

          ゴールデンウィークに入ったが、町内の自治会の役員でおおわらわだった。家族以外血縁は周囲にいないわけでは、地域は大切と思い、思い切って引き受けてみたのが、一年前。自治会とは何であるか?からの洗礼を受け、担当した仕事に勤しんだ。地域に住む人々の温度差の違うこと違うこと。まして職を辞し、ご自宅にいる方々の自治会への(夢のような)期待、地域を作って来たという自負には頭が下がります。が、結論としては、やってみて良かったと思う。 あと残るは、総会の議事録作成だ。 (写真は総会前に糖分補給

          パソコンの十指働く昭和の日

          筍の裸体めきたる五六本

          我が家の隣の竹藪は市の管理の土地だけれども、筍堀りは大目に見てくれる。自分でも掘ってみるが、根気がないので小さいのしか取れない。 今年も向かいの家のご主人が、ご近所数軒分の筍を掘って、家の前に並べてくれるのをみんなでいただく。これは見事だ。 話によると、筍には、雌と雄があるらしく、まっすぐなものが雄、少し腰が曲がったのが雌らしい。味も変わるとか。 この日もたくさん掘って並べてくれた。 ありがたい限りです。 しばらくnoteの更新していなかった。 いろいろ身辺忙しかったことと

          筍の裸体めきたる五六本

          島旅や進路は鳥の帰る方

          少し前に香川県の直島、豊島、犬島を旅行した。現地の友達(会社の元同期)がエクセルで予定表を組んでくれた。 高松や、島と島の間は全て船。バスのように正確に動くから驚く。 船に揺られていると、ただ気持ちがいい。本当はここで俳句を作りたいところだが、頭は眼前の風景だけしか反応せず、空になるというか、海でいっぱいになる。 その友人が、ほら、あれが屋島と何度か行ってくれるが、その屋島は前に見えたり横に見えたりして、ますます方向がわからなくなった。 こういう時、方向音痴はいけない。 そ

          島旅や進路は鳥の帰る方

          言いさして言わぬ約束早桜

          母が入院した。直接の原因はわからない。もともと悪いところが老人ホームに入所して介護体制のミスなどで見過ごされ、症状として出ただろう。折からのコロナやインフルの再流行で、変化を見逃したとも言える。そのことを振り返るのはまた別の機会にしっかりやっておきたい。 入院前も母はかなり認知症が進んでいて、話の辻褄は合わなかった。それでも時々めちゃくちゃまともなことを言う。 ホームに入所して、1か月経った頃に、真顔で 「ねえ。私、一度帰りたいと思うのよ」とまるで相談を持ちかけるように言っ

          言いさして言わぬ約束早桜

          鳥雲のフェリーや誰も見ぬテレビ

          楽しみにしていた瀬戸内の旅なのだが、あいにくの曇り。午後は雨になるらしい。瀬戸内の島へはフェリーや高速船で行くのだが、前回行ってわかったことは、この島々を巡る船はまるでバスのように使われている。そしてバスより渋滞がない分正確なのだ。 船内に入ると、朝ドラがちょうど始まっていたが、遠くて見えない。 確かにフェリーにはよくテレビがついているなあ。毎日利用する人にはいいのかもしれないが、このフェリーを見渡す感じでは、旅行者が多いよう。 みんな海を眺めている。 晴れるといいな。

          鳥雲のフェリーや誰も見ぬテレビ

          漆嗅ぐことから始む雛飾

          私の生まれた街は、かつて大きな城下町で、城を造るために集められた職人がそのまま残り、漆工芸品や下駄などの制作を生業にした人が多い街と言われている。 私が生まれた頃もまだ職人さんの家は残り、間口の広い引き戸の玄関から入ると、そのまま板の間があり、そこが今でいう工房で、漆が落ちるためか、その床は黒光りしたでこぼこしてきた。二階に上がる階段は箱階段で、その引き出しも漆塗りだった。入った途端、強い漆の匂いがした。多分、父の友人の家で、何かのついでによく寄った気がする。 今も雛人形を

          漆嗅ぐことから始む雛飾

          人憎むこころ一緒に鬼は外

          節分でしたね。街は恵方巻きの旗が立ち、何やら一大イベントになりつつあり、それもまた季節の節目を感じる大切な行事と思い、今では楽しんでます。 豆を撒くのは、子どもの頃からのならいですが、その昔、恵方巻きの風習を関西の出張で知ったときには奇習と感じたのも懐かしい話です。 日中、ある会があって、わいわい楽しんでいたのですが、その中に人の好き嫌いが激しく、とても攻撃的な人がいて、何かにつけ、嫌いな人に対しては、人が傷つくような発言をする人がいます。まあどこにでもいるんでしょうが、い

          人憎むこころ一緒に鬼は外

          室咲を一泊二日留守にして

          いただいたアマリリスが咲いた。真冬に到着したので、本当にこれから咲くのかと思っていたが、育て方の解説どおりに10日に一度、50ccの水をあげ、約40日で見事に咲いた。 なんといっぺんに4輪も。 しばらく部屋で眺めていたいところだが、また介護のために実家へ行く。 今頃どんなふうに咲いているのか、少し気になるが、アマリリスは花期が長いし、そもそも10日に一回の水やりでいいから、安心だ。 母が有料老人ホームに入り、一週間。 今度は父が少し心配だ。 ひとり居の父と向かひて葱鮪鍋

          室咲を一泊二日留守にして

          明日は入居支度進まぬ雪催

          とうとう母が有料老人ホームに入居することになった。内臓疾患があり通院は欠かせないし、認知症も進んできた。目も悪い。 ホーム入居が決まってから、私はなんとなくモヤモヤしてきた。潜在的にやっぱり自宅でしょ、という父の思いや、やはり自分の中に植え付けられた固定観念のようなものがあって、ホーム入居を受け入れられなかったらしい。 しかし、この固定観念は、自分の中から湧いてでたものではなく、父母に植え付けられたわけであり、そのことにも気づいた。 さて、次に、施設の入居にあたり、看取りの

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          二列目で膝震わせて初写真

          昨日は「童子」東日本句座始で、小石川後楽園へ行った。初めての場所だった。 吟行は大の苦手だけれど、数か月前の吟行で、事前に万が一の時のための俳句を作っていったら、却って、大した句ではないのに、それに頼ってしまって、緊張感なく過ごしてしまったので、今回は丸腰で参加してみた。今回は吟行の時間もたっぷりあるのだ。 三句出し三句選。 もちろんぎりぎりまで粘り、不十分ではあるが、前回より楽しめた。何故か?おそらく新年なので、季語でなんとなく格好がつきそうというのもある。 もちろん結果

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          ほどほどの幸でよけれと年の酒

          明けましておめでとうございます。 とはいえ、年始早々の地震の被害に遭われた地域の方々がいることを思うと、寿ぐばかりではいられない気持ちになります。 今年は頑張ってnoteの更新の頻度をあげようと思っていましたが、年末から風邪をこじらせてしまい、久しぶりに寝込んでしまったため、それもほどほどに頑張るのがいいかなと思ってるところです。今年も地味に更新していきます。よろしくお願いいたします。 風邪熱や遠くの地震に無力にて   (地震はなゐと読んでください。)

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          痣もまた生きる証やシクラメン

          またケアマネからLINEで連絡が来た。 母をデイサービスの迎えに行ったら転んでいたと。きょうだいからもLINEで連絡が来た。 透析の日の夜に入浴はしてはいけないと言われているのに、ケロっと入浴していたと父が言ってたと。 透析をしているかなり呆けた高齢者が自宅で暮らしているんだから、転ぶのも、風呂に入ってしまうのも、いいんじゃあないかと思う。 高齢者の適切なケアという観点で言えば、転んで大腿骨の骨折をする、入浴中に水の事故が起こることが多いのはもちろん知っている。 しかし、母は

          痣もまた生きる証やシクラメン