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更衣母に見慣れぬ帯ひとつ

 更衣の季節になったのだけれど、母は入院してしまい、もちろん着物を着ることももうない。なんとなく気になって、箪笥の整理をしてみた。元気だったころの着姿を思い出せる着物もあったが、仕付け糸もとっていない着物も出てきた。いつか着る、いつか着るだろうと思って作っていたのだろう。母と私は背丈は違うが、顔貌は似ていると言われている。そのためか似合う色も似ている。着られないけれど、似合いそうな着物を広げて、残った日数を考えたりしていた。

夏帯や幾度と締めた折り残り

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