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ピティナ特級♪二次予選と三次予選の振り返りレポート

暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ピティナ2023特級公式レポーターの山本です。

早いものでピティナ特級も一次予選、二次予選、三次予選が終わり、残すところはセミファイナルとファイナルのみとなりました!

そこで今回は、8月18日(金)に開催されるセミファイナルに先駆け、先日行われた二次予選と三次予選を振り返るレポートをお届けいたします。


二次予選

ピティナ特級の二次予選は7月29日(土)、30日(日)の2日間にかけて千葉県のJ:COM浦安音楽ホール コンサートホールにて開催されました。二次予選に出場したのは一次予選を勝ち抜いた26名のコンテスタント。披露されたのはそれぞれショパンのエチュードを含む2~5曲で構成されるプログラムです。

私は遠方に住んでいるためYouTubeで視聴をさせていただいたのですが、一瞬一瞬が見逃せないと感じられるようなまさに手に汗握る戦いでした!事前に皆さんのインタビューをお聞きして、この大会に対する強い思いを伺っていたのでなおさらです。

会場で聴くにはかなわないとは思うものの、演奏者のお顔や手元の様子をアップで見ながら鑑賞できるのは、YouTube視聴の醍醐味ですよね。アーカイブが残っているので、気になっている方はぜひご覧になってみてください♪

こちらの寿すばるさんのレポート〔二次予選1日目(ほぼ)実況レポート(特級レポ2023)二次予選2日目(ほぼ)実況レポート(特級レポ2023)〕や、もちさんのレポート〔二次予選2日目7.8グループ〕で二次予選当日の様子をご確認いただけます!

三次予選

三次予選はリハーサルが7月31日(月)、本番が8月1日(火)に開催されました。お気づきのことと思いますがリハーサルが行われたのは二次予選2日目のなんと翌日!二次予選を突破された10名のコンテスタントは、興奮も冷めやらないままリハーサルに突入です。

審査会本番が開催されたのは、二次予選の会場と同じJ:COM浦安音楽ホール コンサートホール。ファイナルではピアノ協奏曲をオーケストラ伴奏で演奏するのですが、三次予選ではその一部分をピアノ伴奏で披露しました。

実は私、オーケストラの代わりにピアノ伴奏で弾くピアノ協奏曲というものを、今回初めて聴かせていただきました。多様な音色を持つ様々な楽器で構成されるオーケストラの代わりをピアノ1台でこなしてしまう伴奏者の方には脱帽です!!ピアノという楽器の奥深さについてあらためて考えさせられました。

現地の様子は森山さんもちさん柚子と蜜柑さんがレポートしてくれました。また、私と同じくYouTubeで視聴した寿すばるさんのレポートはこちら。また、柚子と蜜柑さんの伴奏者の先生方へのインタビュー記事も、とても興味深かったです。

セミファイナルに進む7名の演奏

それでは、怒涛の二次予選三次予選をくぐりぬけた7名のコンテスタントを紹介させていただきます。皆さん連日の舞台でお疲れだったとは思うのですが、それを感じさせない気迫みなぎる演奏を披露してくださいました。

小野寺 拓真(札幌開成中等教育学校コズモサイエンス科6年)

二次予選、三次予選ともに「ピアノを弾く喜び」が全身からあふれだすような演奏をされていらっしゃった小野寺さん。特に二次予選のバラキレフ/東洋風幻想曲「イスラメイ」や、三次予選のプロコフィエフ/ピアノ協奏曲 第3番 Op.26 (第1楽章)では、鍵盤の上を舞うように生き生きと動く手から目が離せなくなってしまいました。最後に晴れ晴れとした笑顔で一礼されていたのも印象的で、お人柄がうかがえるように感じられました。

次回セミファイナルでは、ベートーヴェン/ピアノソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2 「テンペスト」 第1楽章やショパン/ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61 「幻想ポロネーズ」、邦人新曲課題などを含む全6曲を演奏されることになっています。

山田 ありあ(東京音楽大学大学院1年)

情熱がほとばしる演奏で聴き手を魅了していた山田さん。二次予選では特にラフマニノフ/エチュード「音の絵」 ニ短調 Op.39-8でのドラマティックで色彩豊かな演奏が心に残りました。山田さんはソロでの演奏活動のほか、コレペティトールというオペラの伴奏やオペラ歌手の指導をする仕事にも携わっているのだそう。三次予選のシューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54(第1楽章)ではそこでの学びを彷彿とさせるような多彩な表現を見せてくださいました。

セミファイナルではベートーヴェン/ピアノソナタ第30番 ホ長調 Op.109、シマノフスキ/4つのエチュード Op.4、デュティユー/ピアノソナタ 第3楽章 「コラールと変奏」、邦人新曲課題の全4曲を演奏される予定です。

小野田 有紗(ニューイングランド音楽院)

一次予選からファイナルに至るすべてのプログラムにショパンを入れている小野田さん。二次予選では、ご自身でも特に強い思い入れがあるとおっしゃっていたショパン/舟歌 嬰ヘ長調 Op.60における繊細でロマンチックな演奏が印象的でした。三次予選のショパン/ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11(第1楽章)では、曲の世界に没入し魂のこもった演奏を披露されました。演奏後に見せてくださったチャーミングな笑顔も記憶に残ります。

セミファイナルでは、ベートーヴェン/ピアノソナタ第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」、ショパン/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58、邦人新曲課題の全3曲を演奏されることになっています。

三井 柚乃(昭和音楽大学ピアノ演奏家コース4年)

三井さんの演奏では、しっとりと歌い上げる美しいメロディラインに胸を打たれました。二次予選でのベートーヴェン=リスト/連作歌曲「遥かなる恋人に」 より 第6曲「この歌を受け取って」や、ボルトキエヴィチ/クリミアのスケッチ Op.8 より 第1番「ウチュ=コシュの岩山」など、物語性の感じられる曲が特に心に響きます。三次予選のラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18(第1楽章)では音楽の大きな波をとらえ壮大な世界観を表現されていらっしゃいました。

セミファイナルではハイドン/ピアノソナタ 変ロ長調 Hob.XVI:41、シューマン/幻想曲 ハ長調 Op.17、ショスタコーヴィチ/24の前奏曲とフーガ Op.87 より 第24番 ニ短調、邦人新曲課題の全4曲を演奏されます。

嘉屋 翔太(東京音楽大学大学院1年)

さまざまな趣の曲を多彩に弾きこなされていた嘉屋さん。メランコリックで厳粛な曲調のリスト/巡礼の年第1年「スイス」 S.160 より 「オーベルマンの谷」や、エネルギッシュで都会的にも感じられたプロコフィエフ/ピアノソナタ第3番 イ短調 Op.28 「古い手帳から」、ぴったりと息の合ったサン・サーンス/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.22(第1楽章)での迫力のある演奏がすばらしく、すっかり心を奪われました。

セミファイナルでは、ハイドン/ピアノソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52、リスト/忘れられたワルツ 第1番 S.215/1、ブラームス/ピアノソナタ第1番 ハ長調 Op.1、邦人新曲課題などを含む全6曲を演奏されます。

鈴木 愛美(東京音楽大学ピアノ演奏家コース4年)

今回、自己紹介ができるようなプログラムを意識して組んだという鈴木さん。二次予選ではシマノフスキ/メトープ Op.29 より 第1曲「セイレーンの島」を、怪しくも美しいセイレーンの歌声のように魅惑的に演奏されていたのが心に残りました。三次予選で演奏されたベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第4番 Op.58(第1楽章)でのキラキラ華やかな演奏も印象に残っています。

セミファイナルでは、同じくシマノフスキのメトープ Op.29 より 第3曲の「ナウシカー」と、ハイドン/ピアノソナタ ト長調 Hob.XVI:6、シューベルト/ピアノソナタ第18番 ト長調 D.894 「幻想」、邦人新曲課題の全4曲を演奏されます。

神原 雅治(名古屋音楽大学ピアノ演奏家コース3年)

神原さんは一番好きな作曲家がブラームスだということで、二次予選ではブラームス/4つのバラード Op.10を情感たっぷりに演奏されました。三次予選で弾かれたのは、生誕150年ということもあってか4名の方が選んでいたラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18(第1楽章)。こちらは打って変わって毅然とした力強いタッチで演奏し、聴き手を魅了していらっしゃいました。

セミファイナルでは、ベートーヴェン/ピアノソナタ第18番 変ホ長調 Op.31-3、シューマン/クライスレリアーナ Op.16、邦人新曲課題の全3曲を演奏される予定となっています。

惜しくも敗退されたものの私の胸を打った演奏

二次予選三次予選を通してたくさんの演奏を聴かせていただきましたが、セミファイナルに進まれる7名のほかにも、聴き手の心を動かす素敵な演奏をされた方がたくさんいらっしゃいました。そこで最後に、個人的にどうしても取り上げずにはいられなかった記憶に残っている演奏を紹介させてください。

今回は残念でしたが、またいずれどこかで演奏を聴かせていただければうれしいです。せっかくなので演奏後のインタビューも一緒に紹介させていただきますね♪

塩﨑 基央 東京音楽大学ピアノ演奏家コース3年

※アーカイブは開始位置調整済み。ワンクリックで塩﨑さんの演奏をお聴きいただけます!

塩﨑さんの演奏は、リスト/巡礼の年第2年「イタリア」 S.161 より 「ダンテを読んで -ソナタ風幻想曲」から、シューベルト/即興曲 第3番 変ト長調 Op.90-3への移り変わるところでグッと引き込まれました。地獄を描写する不気味な曲想が段々と盛り上がり、さまざまな場面を経て威厳あるクライマックスを迎えたところで、シューベルトのなんとも人間らしさあふれる美しい調べが聴こえてくるというプログラム構成。塩﨑さんの演奏をもっと聴いてみたいなと思っていたのですが…三次予選への進出ならずということで残念でした。

塩﨑さんは現在ご自身の演奏活動に加え、「なで肩のモD」としてYouTubeでクラシックの面白さを発信中なのだそう。気になる方はチェックしてみましょう!

吉原 佳奈 昭和音楽大学大学院1年

※こちらのアーカイブも開始位置調整済みです

吉原さんは上品ながらも芯の強い音色を奏でられていたのが、個人的にとても心惹かれた点です。ヘンデル/シャコンヌ ト長調 HWV435の典雅な響きで始まり、タネーエフ/前奏曲とフーガ 嬰ト短調 Op.29ではかなり曲の世界観に入り込んでいらっしゃるように感じられました。あっという間のショパンのエチュードを経て、シマノフスキ/変奏曲 変ロ短調 Op.3は夢見るようなロマンティックな部分も挟みつつ、断固たる音色で情熱的に、最後は毅然とした様子でしめくくられました。

事前インタビューによると、吉原さんは幼いころ引っ込み思案な性格だったそうですが、とてもそうとは思えない堂々とした演奏でした。素敵だったのでまたいつか聴ければいいなと思います。

生熊 茜 京都市立芸術大学大学院修了

※こちらのアーカイブも開始位置調整済みです

生熊さんの演奏は、二次予選の繊細なショパン/エチュード 嬰ト短調 Op.25-6や、世界観に入り込んでいるのが伝わってくるリズミカルで楽しいバルトーク/ピアノソナタ Sz.80が印象に残っていたため、三次予選で聴かせてくださった勇壮なラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 (第1楽章)に大変驚かされました。このようにさまざまな曲調を弾きわけられるのは、1曲1曲に真摯に向き合っておられるからなのでしょう。

生熊さんは現在ご自身の演奏活動に加え、大阪府立夕陽丘高等学校音楽科および音楽教室にて、後進の指導にもあたっていらっしゃるのだそう。今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

次回は8月18日(金)のセミファイナル

さて、今回ご紹介させていただいた7名のコンテスタントの出場するセミファイナルが、8月18日(金)に東京の第一生命ホールで開催されます。セミファイナルでは、いよいよファイナリスト4名が選出されます!

チケットはこちらから購入可能。また、会場を訪れるのが難しい方に向けて、今回もYouTubeでの公開が予定されています。8月18日(金)はぜひ一緒に7名のコンテスタントを応援しましょう♪

★おまけ★
こちらはほっこりするじゃんけん動画です。
毎年、くじを引く順番をじゃんけんで決めているのだそうですよ。
ピティナ特級の様子を追っていると、こういうコンテスタントの皆様の人柄が見えてくるような動画にもグッと心を掴まれます。

(写真提供:ピティナ)

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