見出し画像

三次予選速報レポートvol.2

公式レポーター現地参戦メンバーによる、リレー形式速報レポート第2弾!
私は山田ありあさん、小野田有紗さん、鈴木愛美さんの3人を担当させていただきます。


配信でのご視聴はこちらから!

山田 ありあさん

シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54

この曲、とても綺麗ですよね。シューマンの曲は和音の進行がとても複雑なのですが、それをとても深く理解し、計算し尽くされた演奏だなと感じました。このことによって急に登場する長調のメロディや、穏やかなパートから激しいパートへの移り変わりがスムーズに表現されており、耳にスっとはいってきて心に残る演奏でした。またこの曲のシューマンらしい感情的な激しさがものすごくよく表現されており、狂おしいほどの感情を演奏から感じました。それだけではなく、時々登場する穏やかで語りかけるような部分では、さっきまでの激しさが嘘かのような静寂の美しさを聴かせてくれました。
また、山田さんの演奏で特に印象に残ったことは、ピアノがオーケストラパートの伴奏にまわる部分です。とても安定感があるだけでなく、相手の音を正確に捉えており、オーケストラパートがのびのびと表現できるサポートがとても上手だなと思いました。


小野田 有紗さん

ショパン/ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

小野田さんは音色の豊かさ、穏やかなパートの語り方、ピアノの演奏で周りを引っ張っていく力が魅力だなと感じました!
まず音色について。ピアノパート出だしの力強い音色に驚かされたと思ったら、今度はピアノソロパートのうっとりするような柔らかく優しい音色、技巧的な部分の芯のある煌びやかな音色、ピアノでの細かいパッセージの繊細ながらも響きを失わないどこか儚い音色、などなど次々に変化する音色に釘付けになりました。
次に表現について。前半にピアノソロパートで提示される柔らかなメロディは曲中で何度も繰り返されますが、回数を重ねる毎に深みを持った表現になっているように感じました。1回目からその美しい雄弁なメロディに魅了されましたが、最後にこのメロディが登場した時には、涙が出そうなほど心を動かされました。
最後に周りを引っ張る力について。曲の最初から、グッと周りを惹き付けるものがありました。また、曲が進むにつれオーケストラパートを担当されていた恩田先生も小野田さんの表現にのせ、より良い表現を引き出すとともに演奏全体の一体感が生まれていました。


鈴木 愛美さん

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58

鈴木さんの演奏では会場の雰囲気がガラッと変わりました。前2人のロマン派のうっとりした感じとはうってかわって、とても情熱的な演奏で客席にいてもその熱気を感じ、瞬きも出来ないほどの緊張感でした。また、この作品は1806年の作品ですが、この頃はベートーヴェンがこれ以前よりも力強い音色、広い音域を持った楽器を使って作曲ができるようになった時期です。そのため、ピアノにもオーケストラに匹敵するダイナミクスが求められます。鈴木さんはこのダイナミクスを見事に表現されていて、足元にも響きが伝わってくるほどでした。特にピアノソロパートでは、1人で弾いているのを忘れてしまうほど大胆で広がりのある表現をされていました。
後半の長いピアノソロパートにオーケストラパートが加わる直前、高音のトリルが入るところでは鈴木さんの新たな魅力を発見することが出来ました。これまでの大胆さとはうって変わって、とても繊細で柔らかい音色でここを奏でられていたんです。
また特に印象的だったのは、オーケストラパートを担当された梅村先生と何度も顔を見合わせながら演奏をされていたことです。場面が変わり、特に合わせたいところや緊張感のある場面で、弾き振りのようにオーケストラパートを引っ張っており、これは指揮者のいない2台ピアノ版のコンチェルトならではだなと感じました。

最後に

第三次予選が終わり、いよいよ次はセミファイナル8/18です。コンテスタントの皆さんの様々な想いの詰まったリサイタル形式での審査。私は一つ一つの曲の意味や、コンテスタントの皆さんの演奏の背景を考えながら聴いてみようと思います。そういったものをまとめた記事も書いてみようと思うので、ご覧いただけたら嬉しいです。

さてさて今回はリレー形式でのレポートなので、第1弾、第3弾もあります!
そちらもぜひ合わせてご覧ください!!

(画像提供ピティナ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?