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三次予選第3グループ現地レポート

J:COM浦安音楽ホールでの三次予選。第3グループでは4名の出演者が演奏し、そのうち3名がラフマニノフのピアノコンチェルト第2番を演奏されました。第1グループ第2グループの現地レポートは、ぜひ公式レポーター森山さん、もちさんのレポートをご覧ください!

1.加藤 亜咲美さん

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 OP.18より第1楽章

加藤さんの奏でる最初の和音は、闇にぽつん、とライトが灯るように始まりました。孤独な歩みのようなその響きは、一気にクレッシェンドして、テーマへと流れこんでいきます。

加藤 亜咲美さん

印象的だったのは、柔らかなピアニッシモが続くフレーズ。その音色が、壮大な風景の中に咲く、可憐な花のように薫り立っていました。その一輪に目を向けることで、曲の描く景色の迫力や厳しさがより一層際立つ、そうした効果を感じる音楽づくりでした。

2.三井 柚乃さん

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 OP.18より第1楽章

三井さんのラフマニノフは、朝露のような水分を含んだ音色で始まりました。雪解け水が流れ込み、風景を一気に満たしていくような導入です。

三井 柚乃さん

朝露の水分を含んだような独特の音色が、風景の中にある水の存在を連想させます。時に穏やかに流れ、あるいは激しく押し寄せ、そして砕け弾ける水しぶき。同じロシアの風景を描きながらも、第1グループの生熊さん、加藤さんとは異なる景色が描かれました。

3.嘉屋 翔太さん

サン=サーンス ピアノ協奏曲 第2番より第1楽章

問いと答えの掛け合いのようなフレーズが繰り返される長いソロパートで、嘉屋さんのサン=サーンスが幕を開けました。オーケストラとピアノが混然一体となって怒涛の音楽が作られるラフマニノフを聴いた後では、ピアノとオーケストラの主役交代がシンプルで、整理された印象の曲だと感じます。

嘉屋 翔太さん

時折挟み込まれる粋なフレージングが、ファッショナブルな嘉屋さん本人の印象とも重なります。朝のリハーサルで、入念に確認していたフィナーレの入りのタイミングも山口先生のオケパートとぴったりと合い、演奏後の拍手に応える嘉屋さんは満足気に見えました。

4.神原 雅治さん

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 OP.18より第1楽章

第3グループの、そして本日最後の演奏者、神原さん。神原さんのラフマニノフは、広大な土地を耕し、冬に耐え、春を喜び、様々な苦楽を経験している人々の心象風景を描くようでした。

神原 雅治さん

フレーズや展開の柱となる音が明確に描かれることで、曲全体が大きな建造物のように感じられます。後ろの席まで確実に届くピアニッシシモは、本日の演奏の中で最弱音だったのではないでしょうか。

終わりに

当日すぐにセミファイナリストが発表されました。結果に関わらず、素晴らしい演奏を聴かせてくださったすべての出場者に、心からありがとうをお伝えしたい気持ちです。

8/18(金)第一生命ホールにて開催される特級セミファイナルは、Youtubeライブ配信にてオンラインでもお楽しみいただけます。

セミファイナリスト、当日の演奏順はコチラから!

1日1票、好きなコンテスタントに投票できる、サポータ賞もお忘れなく!

(画像提供:ピティナ・山平昌子)