インドネシアでイスラム教徒と一緒に仕事をしてわかったこと
みなさんの周りにイスラム教徒(=ムスリム)はいますか?インドネシアはムスリムが8割と言われるイスラム教徒大国です。インドネシアで仕事をするということは、ムスリムと一緒に仕事をするということと同義かもしれません(地域差がありますが)。私は宗教に詳しいわけではありませんが、実際に一緒に働いてみてわかったことをまとめます。
みんなやさしい
ムスリムって、ちょっと怖いイメージがありませんか。日本での報道を見ていると、どうしてもテロとかそういうイメージがあります。しかし、本人たちもいうように大多数のムスリムは平和的でやさしい人ばかりです。
そして、私の周りのムスリム(日本語話者)は「自分達の宗教が日本人に悪いイメージを持たれている」ということも理解しているようで、マイナスな体験をしていないか気を遣ってくれたり、習慣の違いについて分かりやすく教えてくれます。宗教のことって、聞いたらタブーなのかなと思ったのですが、仲良くなると色々話してくれて、私とは違う軸を持っていたりするけどやさしさは変わらないなと思いました。
朝早い
ムスリムは1日に5回のお祈りをしますが、朝一番のお祈りは4時から5時ごろ。この時間帯に起きてお祈りをします。つまり、とっても早起き!人によってはお祈りをしてから二度寝するらしいですが(笑)。ということで、インドネシアの朝は早いです。
ちなみに、お祈りの時間にはアザーン(お祈りの時間を告げる放送)が流れます。日本の防災無線みたいなスピーカーが各モスクにあって、それでみなさんにお知らせをしてくれます。お知らせの声は録音ではなく生らしいです(テレビなどで流れるものは録音)。朝4時でも流れているので、モスクの近くに家があると起こされてしまうことも。私も出張で地方に行った時、この放送で朝3時半に起こされたことがあります(それは、アザーンではなくコーランの朗読だったそうですが)。
とにかく、ムスリムの朝は早いです。
仕事中もお祈りします
もちろん、仕事中もお祈りの時間が来たらお祈りをしにいきます。大体オフィスには礼拝室が設けられており、そこでお祈りをするそうです。礼拝する前には手と足を洗って清めます。最近、オフィス(インドネシアのね)のトイレに「ここで足を洗わないで!」という表示ができたのですが、日本では見かけないですよね。
ムスリムもいろいろなので、必ず決められた時間にお祈りをしたい人、仕事があったらあとでまとめてでもOKの人など、色々いるようです。
仕事中、退席してお祈りをしている様子を見ると「いいな〜」と思ったりしますが、退席するならタバコを吸いに行くのとあまり変わらないかもしれないですね。お祈りに集中して気持ちもリセットできそうなので、ダラダラ仕事をしてしまうわたしより効率も上がりそうです。
オフィス以外にも、ショッピングモールや駅などにも礼拝室があります。モスクに行ってお祈りしてもいいですが、普段のお祈りは礼拝室でよいそうです。
豚肉はダメ!
ムスリムは教義的に食べられないものがあり、その筆頭が豚肉とアルコールです。特に豚肉は成分が入っているだけでダメで、日本の食べ物をあげたいときは気を使います。日本のお煎餅をあげようと思って成分表示を見たら「豚肉」と書いてあって肝を冷やしたことも。
アルコールは豚肉ほど厳しくないようですが、それでもアルコールが入っているものはあげないようにしています。お菓子でも、みりんが入っていたりするものがありますよね。煮切ってあってアルコールの成分はないとしても、気をつけています。
ジャカルタのお店は大体ハラール(ムスリムが食べられる)なので問題ありませんが、それでもムスリムと一緒に食事をするときは豚肉やアルコールは避けるようにしています。バリに行った時(バリはヒンズー教徒が多く文化が違う)、ムスリムの同僚が後から合流することになり「合流する前に!」と言いながら豚肉をたくさん食べた思い出も。
許容度合いも人によって違うので、わからなかったら聞くのが大事だと思います。
女性ができることとできないこと
イスラム教では、女性ができることやできないことについて決まりがあります。インドネシアは比較的自由なのですが、それでも女性はヒジャブ(髪を覆うスカーフ)をかぶっている人が大半です。たまにかぶっていない女性もいますが、大抵は若い人。ヒジャブの色や長さも自由で、みなさん服と合わせてファッションを楽しんでいます。肌の露出も少なめで、ゆったりした服装の人が多いです。
また、他のイスラム教を信仰している地域では、女性が車の運転できないなど色々な決まりがあるそうですが、インドネシアでは女性も運転しますし、仕事も比較的自由についているような印象です。
それと、女性は生理中、お祈りや断食をしません。お祈りについてはわかったりわからなかったりしますが、断食月(ラマダン)に昼ご飯をモリモリ食べている女性を見ると、「あ、生理なのかな?」とわかるわけです。これがいいことなのかどうかわかりませんが、女性の生理についてみんな知っているので、生理について話すのは日本よりタブーではないみたいです。
金曜日のお昼に予定を入れない
金曜日のお昼の礼拝は特別で、男性はモスクに行ってお祈りをします。この時間帯になると、男性陣は自分用の敷物(お祈りの時に下に敷く)を持って出かけていきます。みんなで出かけていくのでちょっと楽しそう…帰りにお昼ご飯を食べてきたり、買ってきたりしている人もいました。ちなみに、この時に行くモスクはどこでもいいらしく、出張に行った時、同行のインドネシア人は訪問先にあったモスクに行っていました(その間、私は訪問先の担当者に面倒を見てもらいました)。
この礼拝は特に大事なので、金曜日のお昼(ジャカルタでいうと、11時ぐらいから12時半ぐらいまで)に会議や移動の予定は入れないように気をつけていました。会議なら女性だけとか、ムスリム以外の男性ならOKなのですが、ムスリムの男性がいるときにどうしても会議を入れたい時は「会議があるけど先に退出して大丈夫」など声をかけるようにしていました。ま、礼拝の時間までに終わるのがベストなんですけどね。
金曜日のお昼前後は交通の流れも変わるので、礼拝時間の直線直後は道路が渋滞する場所もあるようです。金曜日の移動はお昼を避けるか、時間をもって移動したいですね。
異性間の距離
日本人のイメージだと、外国人とあいさつするときは握手したりハグしたり…というイメージがあるかもしれません。ムスリムの場合、同性ならするけど異性ならしない、という感じでした。私もなるべく男性の方には近づきすぎないように気をつけていました。私、たまに目測を誤って人にぶつかったりするんですが、それもないように気をつけていました(誰にでもないほうがいいけど)。あいさつはどうするかというと、合掌した手を差し出してちょこっとつける、みたいな方法がありました。
モンゴルにいたときは性別問わずあいさつはハグだったし、男女の距離感も近かったので慣れるまで時間がかかりましたが、インドネシアはその点楽でした。
ちょっとだけ気をつけることがあるけど、あとは普通
ムスリムと接するとき、お祈りや食べるものなど、少し気をつけることはありますが、それ以外は普通に過ごしていました(インドネシアではムスリムがマジョリティですからね)。インドネシアはムスリムが多いとはいえ、国の宗教ではなかったので、過ごしやすかったです。インドネシア国内でも地域差があり、豚肉やアルコールが買いにくかったり、日本人でもヒジャブをしたほうがいい場所もあるそうです。
日本だとお祈りのスペースを見つけるのが難しかったり、食べられるものを探すのが大変だったりするみたいですが、気をつけるポイントが分かればお互い気持ち良く過ごせるのではないかと思います。
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