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バリアフリーではなく、「車いすUX」

こんにちわ。車いす旅技仕掛け人のchieです。


イベントに来場する全ての人に楽しんでもらいたくて、


特に、車いすでイベントを楽しむにはどうしたら良いかという「問い」を持って、2016年頃から取り組んできました。


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2019年1月26日、オーストラリアで開かれたOz Day 10kmの応援。

オーストラリアでは、

新しい価値観に触れたり、

楽しみにこだわって企画していたので、

学んだ部分も多くありました。

車いすや障害というと、

日本ではすぐ、バリアフリーとか、ユニバーサルデザインとか、

オーストラリアでは、インクルージョンという言葉がよく使われます。

業界的にはそれで完結しちゃうのですが、

果たして本当にそれで、思いっきり楽しめるのか、

ずっともやもやがありました。


最近、大発見をしてしまったので記事にします。

それは、バリアフリーでなく、

「車いすUX」の駆使。

ちなみに、ITなんて全くかじってませんが、つまり、車いすで最大限楽しめるように、「楽しむ視点」でチェックしてみてってこと。

UIとUXについてはここ↓

イベント開催者

そもそも、イベント開催者って、

「来場する人に思いっきり楽しんでもらいたい」

という気持ちがありますよね。


けど、車いすでいけますか?

なんてイベント開催者に問い合わせたりすると、

無反応だったり、対応が遅かったり、

車いすユーザーのイベントへの満足度はすごくばらつきがあります。


それは、車いすユーザーのニーズがわかりにくいということだと思います。


ちょうど先日、イベントを楽しむための、車いすユーザーの視点が腹落ちしたので、わかりやすく伝えて行きます。


イベントの楽しみを考える

車いす視点とか言っちゃうとなんだか難しそうですけど、簡単。

・まず、イベントでどんな楽しみ方をするか考えて、

・次に、可能であるか考えます。

それだけ。

バリアフリーかどうかなんていう言葉遣いはどうでもいい。


最近楽しかったイベントサプールショーを例にしてみます。

イベントとしては、車いすユーザーも楽しめるが、車いすユーザーのためだけではないというセッティング(魅せ方)のあり方を追求します。

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会場のPITCH CLUB

素晴らしくいいところでした。

ここは地下1Fですが、エレベーターがありますし、

地上から直通の搬入用の入り口もあります。

多分ここは昔、地下駐車場だったような作りのクラブです。

雰囲気がすごくいいです。


フロアは一面平面。通路幅も取れているので、動きやすそうですね。


楽しみ方を想像するだけ

楽しみ方①:左に見えるハイテーブル付近でみんなお酒を飲みそう→車いすでもOK

楽しみ方②:左奥のお酒をオーダーするバーのところは、2段の段差

→知り合いの人は、自走型車いすなので、必要であれば、周りの人と持ち上げるといいかな。100%の環境はコスト的にも難しいので、その場でできる対策を考えておきます。

(電動車いすの場合は、持ち上げられないなぁ。ここは次回以降、課題。)

上の写真の右側は、実は、下の写真のように、ビリヤードが。

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楽しみ方③:ビリヤード楽しみたい人→楽しめれそうOK


肝心のステージ周りは、センターにレッドカーペット↓

ここは、モデルさんが動くので、開けておかなければなりません。

周りに椅子は並べてあり、ところどころにモデルさんが入ってくる通路があります。

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みなさんは、どこを車いす席にしますか?

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楽しみ方④:ステージを楽しみたい人は、前の方に座りたい。→立っている人が前にいない限りは楽しめそうだね。

楽しみ方⑤:モデルさんがレッドカーペットを歩くのを楽しみたい人は、レッドカーペットに近いところに座りたい

そう、各自の一番の目的によって、座りたいところが違うのです。

そこで、

私がやったことは、

「イベント開催する上で、開けておいてほしい通路を来場者に伝えただけ!!!!」

それだけ?!?!

って感じですけど、

これが,

This is the best.

車いすだろうが、車いすじゃなかろうが、チケットで割り当てられたエリアなら、座るところはみんな自分で選びたい。

のが本音でしょ。

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なので、実際にみちこさんが選んだのはここ!↑

・モデルさんが矢印→のところから、入場してきて、レッドカーペットの方に歩いていくブロックの角に陣取りました。

・ステージにも程よく近い。


こんな戦略がありました

ポイント①:開場に合わせてきて少し早めに来場。

来場者の波を避けて好きな席を確保できたのは、彼女の長年の経験。

ポイント②:角を陣取ったのは、方向が正反対の、ステージ&レッドカーペット上を歩くモデルさんの動きに合わせた写真を撮りたくて、車いすの向きを変えるためだそうです。両端に人が座ってると、身動き取りづらいのは想像の通り。

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おかげで、ステージの写真も

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レッドカーペット上の動きも、

かなり完成度の高い写真を撮ってました。Photos by Michiko Kushida


ポイント③:彼女の座っている場所にも、もともと椅子を並べてありましたが、彼女がそこに席を決めたので、椅子を動かしただけ(超シンプル)

*体の大きい人だと椅子の感覚を広げたり、小さい子供だとお母さんと席を近くにするような微調整な感覚で完結。

映画館・スタジアム・コンサートホールみたいな作りは柔軟性がない

*そう思うと、車いすエリアなんてのは、融通が全く効かないのがわかりますか?しっかりとした満足度が得られにくい理由ですね。

*車いす専用席だと、みんなと一緒に盛り上がることも、最前列で見る楽しさもなかなか味わえない。

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だからこそ、

PITCH CLUBのように、椅子動かすだけの屋外フェススタイルはいいですね。


結構、車いす視点わかってきたかなぁと手応え。


イベント終わったら、

楽しみ方⑥:もちろんグッズ買いたいですよね。

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高さとかあるだろうけど、飾り用だからまずまず。

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物品周りもいろんな方向に移動して見れるので良さそうです。

(私は売り場担当しました)

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売り場②こちらのテーブル周りも十分なスペースがあることを確認。

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一面フラットなんで自由に歩き回れ、お気に入りの本も購入したようです。

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楽しみ方⑦:いろんな場所でデザイナーとも写真をとったり、

楽しみ方⑧:アフリカンミュージックもかかって、踊りながら、会話も自然とフランクに

楽しみ方⑨:旦那さんのアネストさんは、早速意気投合し、デザイナー・バチェラーさんと連絡先交換!すごい!(サプールの皆さまと同じアフリカ出身。)

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楽しみ方⑩:アネストさんの着せ替えも

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Michikoさんも、アネストさんも、

「イベント楽しかった〜〜〜」

と言ってたので、私も大満足してた。

かなり車いすアクセスをプロってきたかなぁと。


そのあと、この本の話をすると、あったのに気づかなかったと

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まさかの、大きな落とし穴

なんで気づかなかったの?

あんなにたくさん積まれていたのに

見落とすはずない!


そんなに周り見てなかったの?!?!


写真を見返してみました。

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確かに!!!!

いすに座ると、だいたい120〜130cmとかですよね。

車いすでの視線は、ちょうどこの時のカメラの高さより少し低いくらいです。

・あんなに「笑顔でインパクト大の黄色ラベルの本」は、高く積まれすぎていて、しかも奥にあったから気づかないかも。

・本が2種類あるということを知らなければ、奥の本も同じ本かと思ってしまうかも!!!

・手前の横に寝かせてあるファイルはギリギリ見えるかな。

(この台は卓球台なので、手前側は、大丈夫だろう。)

こうすればよかったね。↓

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これだと奥の本もバッチリ気づいてもらえるし、

立って見る人は、積まれているところから黄色のラベルの本を取るだろうし、手が届きにくい人は、立て掛けている本をとってもらえますね。


もう一つの売り場も確認

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こっちも、赤い四角で囲んでいる「ラックに置いてある物」は見えにくいですね。→今度は、立てるようにしよう。

◯ 手前のポストカードは、立てて正解だったね。

・種類ごとにケースに仕切りがされていて、誰でも取りやすいし見えやすい。

というわけで、

バリアフリー感覚だと、地面とにらめっこで、こういうところは見落としガチですが、

車いすUX視点で考えたら、車いすでの満足度もわかりやすいとのことでした。

グッズ展示なんかは、気づいてもらえなきゃ売れない訳なので、

理解しようとしなきゃ、開催者にもメリットありません。

立てかけると、車いすの人にも見つけてもらいやすいし、インスタ映えも倍増します。


おすすめのツール

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キャスター椅子!ドーーーン

座った状態で会場チェック

椅子に座った高さをイメージしておくと良さそうです。
・バリアフリーな通路のみならず、イベントではどんな楽しみがあるか想像して、チェック。
・トイレもチェックしてくださいね。


イベントでの車いすUXでした。


これからも、

最大限の車いすUXで

誰でも思いっきり楽しめるイベントを

作っていきたいと思います。

面白いこと、一緒にやりましょう〜〜〜〜

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次回は、【車椅子レーサーを体験】をお伝えします。

テキスト:中塚智恵

筆者からのお願い:「車いす旅技仕掛け」では、車いすでの視点をユーザー視点、起業視点で伝え、誰でも望む旅ができる幸せな未来を作っていきたい挑戦者たちの「今」。壁に感じていることや成功したことを伝えて、「旅への想い」「家族の幸せ」を一緒に考えていく場所として使っています。ヒント、応援メッセージがあれば、コメント欄へお願いします。共感できる方はスキ、似た境遇の友達に教えてあげたいって方はシェアをお願いします。また、いただいたサポートで、「旅技冊子を作るために、日本中の車いすユーザー、起業先輩に会いに行きます。」人との繋がり命。

●連載:車いす旅技仕掛け

https://note.mu/chie_nakatsuka/m/md70550df3021

旅行のニーズ調査

車椅子ユーザーや、その家族や友人に対し、誰でも望む旅ができる社会の実現を目指しています。

Chie Nakatsuka 中塚智恵【車いす旅技仕掛人】

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今日、エネルギー切れ
今日ね、めっちゃワクワクした


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