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南の島で人魚になった

2012年11月 

私が初めてスキューバダイビングの体験をしたのは、2007年に訪れたグアムである。経験者の友人が人魚のように泳ぐ姿を横目に、全然楽しめなかった。息ができないと思った(そんな訳はない…)。私は子供の頃に海水浴に行った記憶が1回しかない。海の水はしゃっこい!(冷い)。そもそも、泳ぐ事もできない。プールと川でおぼれそうになったこともある。北国では、プールの授業も数回のみ、泳げる子はスイミングスクールに通っている子だったように思う。

グァムでアザラシのようにプカプカと顔を出していた私は、水中で優雅に泳ぐ友人の姿が羨ましかった。私の知らない世界を知っている事が悔しかったのだ。単純な私は、泳げるという安心の保険の為にスイミングスクールへ通う事を決めた。まず、水に慣れよう!と。

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水族館の水槽の中の景色を海の中で見たい!

そして、ライセンスを取るために、ダイビングショップへ。座学、プール講習が終わり、海での講習を受けた。私にとって、みそぎか?訓練か?と思う程、水が冷たかった。これも、海の世界を知るためだと自分に言い聞かせた。そして、2012年8月にCカードを取得した。所詮、超・初心者ダイバーである。すぐに楽しめるわけでもない、必死の潜行と耳抜きの連続である。

スキューバダイビングはスポーツではない、レジャーである

楽しむ為には経験が必要だと言うインストラクター教えに従い、冷たい海で何度か練習した。

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そして、グアムのリベンジを果たすため、友人に声を掛け、セブ島に行くことしたのだ。なぜ、セブにしたのかというと、初心者でも安心の殿様ダイビングだったから。器材のセットや運搬、器材脱着もやって頂ける。バンカーボートと言う船酔いのリスクが低いボートも使用しているとの事だった。

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マクタン島でのダイビングポイントは、1日目にヒルトゥガン(2ダイブ)、2日目にスミロン(1ダイブ)とジンベイザメが見られるオスロブ(1ダイブ)にした。殿様ダイビングと言っても、命を守る器材のチェックは毎回自分でする必要があるし、技術を細かく教えてくれる訳ではない。1日目の1ダイブ目のエントリー時に水中ゴーグルが外れた。ゴーグルをしっかり押さえていなかったせいだ。すぐにインストラクターのアデルがフォローしてくれたので安心した。

そして、水が生ぬるい。あの「ヒヤッ!」と身体が縮む感覚がなかった。潜行も意外とスムーズに出来た、呼吸もすぐに整う。耳抜きもクリア。

暖かい海、珊瑚、カラフルで群れる魚達、海の中は別世界だった。クマノミは手をグーにすると突っついてきた。どれも私の近くを泳いでいる。水族館で見るよりもはるかに可愛く見えた。同じボートに乗った方が手招きで教えてくれる。ハリセンボンがいた。「可愛いね」と目で会話をする。

ジンベエザメは4匹もいた。常に水面近くにいる。(ジンベエザメは餌付けされている事は後から知った)水中からは、上を見上げなければならなかった。上を見るのは姿勢の保持が難しく疲れたので、大きいなぁと思いながら他の生き物を探していた。珊瑚の上を通過した時、私の手に一瞬、電流が走った。初めての衝撃だった。落ち着いてアデルを探し、必死に手を見せて目で訴える。事を理解してくれたようだ、伝えただけで私は安心していた。

ボード上で応急処置をしてもらった。数日後、パンパンに腫れたのは言うまでもない。海の中は危険であった。痛みはなく、その後もダイビングを満喫できたのはラッキーだった。

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セブは、リゾートホテル内から外に一歩でると、道に銃を持ったガードマンがいるし、ストリートチルドレンが多い。近くのレストランに行くだけで、「どこにいくの」「案内するよ」「お金お金」とつきまとわれ、振り切って歩く。貧しくて学校に行けない子供達が沢山いる。

ちょこんと頭を出している、2人の子供達の暮らしぶりも想像してみた。


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セブ島は楽園のような海と豪華なリゾートホテルが立ち並ぶ。しかし、ホテルのエントランスを1歩出たら、そこは、別世界だった。

https://note.com/ctojisan/n/n93764f962b72


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