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食べることは、生きること

千切り生姜たっぷりの牛すじカレー。サクサク感ゼロのもっさり衣の天ぷら。Not ひき肉, Yes 切り落としな牛オムレツ。一升単位で作る、具だくさんバラ寿司。一升瓶何本できるねん、な夏の風物詩・うどん出汁。

ぜんぶ、祖父の味です。わたしは、大学入学から結婚するまでの8年半、祖父母が大家のハイツに住まわせてもらっていて(1Fが祖父母宅、3Fがわたしの部屋)、ごはんもおんぶに抱っこでした。2DKの部屋だったので、大学時代は、大学から離れていたわりによく友だちが泊まりに来ていて、すると何がなにやら、「そうかそうか!」と祖父が袖をまくってごはんを振る舞ってくれたことが幾度となくありました。カレー、天ぷら、オムレツ、バラ寿司、エトセトラ。

はじめて振る舞ってもらったのは、大学に入学してすぐの6月のはじめ。ちょうど15年前の今くらいの時期。語学のクラスやら出身高校やらで芋づるで仲良くなった女の子10人くらいが、どばっと泊まりに来たんです。わたしも含めてみんなが初めての「大学の友だちの家にお泊まり」に、一緒になってテンションが上がった祖父母。いま思えば、孫娘が大学で楽しくやってるらしいのがわかって嬉しかったのかもしれません。「お・も・て・な・し」とばかりに、ガラスコップ(ヘッダー写真のよく言えばレトロなやつ)やお布団を運び入れてくれたうえに、お鍋いっぱいのカレー&炊きたてごはんを用意してくれました。

まだエアコンが付いてない部屋で、窓を全開にして、みんなで半袖一丁になって、「暑いあつい」言いながら食べました。おいしく食べてくれて、お鍋いっぱいだったカレーがきれいさっぱりなくなったのは、孫のわたしも嬉しかったです。せやろ、美味しいやろー。

先週、85年の生涯を閉じた祖父。唯我独尊で、いろいろ困ったところもあった祖父だけれど、「テキトーなものを、テキトーに食べない」ことは、祖父母から母、母からわたしに継いでもらったことなので、わたしもひよこにちゃんと体現していきたいと思います。

食べるってことは生きることだよ。
食にこだわらずして、何にこだわるというんだね。

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