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【選挙ウォッチャー】 9月2日投開票の沖縄統一地方選の分析レポート。

9月9日に沖縄統一地方選が行われましたが、今帰仁村、北谷町では1週間早く選挙がありました。僕は9月1日から沖縄に入りましたが、これらの選挙を取材することはできませんでしたので、結果だけを無料公開させていただくことになりました。9月9日投開票の沖縄統一地方選に向け、どのような選挙だったのかを簡単に解説するとともに、各選挙の見どころをご紹介します。

町議選と村議選以外に、本当は「美ら海水族館」のある本部町で町長選が行われる予定でしたが、こちらは現職以外の立候補がなかったため、無投票当選が決まっております。田舎の選挙では現職に勝つのが難しかったりしますが、選挙が行われないというのは民主主義ではなくなってしまいますので、立候補する人がたくさん出てきてくれないと、この国はどんどんクソみたいな政治家が生み出されることになります。


■ 北谷町議選の結果

北谷町は基地が返還された場所にリゾート施設やショッピングセンターが建ち並び、非常に賑わいを見せている街です。基地経済に依存する社会より、基地の返還と観光経済の発展を目指す方が、よほど沖縄の経済を活性化させるということが北谷町をもって証明されていますが、沖縄で暮らす人たちは「基地があるのが当たり前だ」と思わされているため、基地がなくなることはありません。基地を作ったり、残したりしようと思っているのが米軍だと思われがちですが、本当は日本政府のリクエストであることに気付いていないのです。

仲地 泰夫   64 現 公明党 723票
田場 健儀   61 現 無所属 649票
仲栄真 恵美子 66 現 無所属 612票
渡久地 政志  39 現 無所属 594票
興儀 誠    58 現 無所属 562票
宮里 廣    65 現 無所属 558票
喜友名 盛充  35 現 無所属 556票
友利 勉    63 現 無所属 555票
亀谷 長久   73 現 無所属 552票
大浜 ヤス子  68 現 無所属 548票
照屋 正治   52 現 無所属 542票
玉那覇 淑子  69 現 無所属 535票
宮里 歩    39 現 共産党 533票
喜友名 朝哲  62 現 無所属 532票
高安 克成   46 現 社民党 517票
亜波根 弘   60 現 無所属 505票
玉城 靖規   31 新 無所属 502票
又吉 朋和   59 新 無所属 458票
新垣 千秋   42 新 共産党 447票
----------------当落ライン----------------
稲嶺 あかり     新 無所属 409票
大嶺 勇       前 無所属 384票
目取真 肇      現 無所属 350票

投票率は53.66%となりました。定数19に対して22人が立候補した選挙だったため、3人が落選する結果となりました。当落ラインは447票で、地元でどれだけ票を集められるかの戦いになります。唯一の公明党候補がトップ当選を果たし、共産党の女性候補2人はギリギリで議席を獲得しました。人口は約2万8000人で現在も増加傾向にある土地です。


■ 今帰仁村議選の結果

沖縄県北部にある自然豊かな今帰仁村でも村議選が行われました。人口が約9500人程度の小さな村なのですが、だからこそなのか若い人たちに期待感があります。インスタ映えする橋があったり、キレイな海や自然の残る村なのですが、辺野古基地に反対している芥川賞作家の目取真俊さんの出身地でもあります。こんな場所で伸び伸びと子どもを育ててみたいと思うような場所です。

嘉陽 崇   40 新 無所属 605票
島袋 誠   43 現 無所属 483票
座間味 邦昭 45 元 無所属 479票
上原 祐希  38 現 無所属 471票
玉城 みちよ 54 現 無所属 459票
吉田 清尊  68 現 無所属 447票
座間味 薫  59 現 無所属 425票
興儀 常次  67 現 無所属 406票
興那 勝治  43 現 無所属 397票
山城 太   46 現 無所属 392票
興那嶺 透  41 現 無所属 376票
----------------当落ライン----------------
興那嶺 好和    現 無所属 364票
喜納 直      新 無所属 255票

投票率は73.72%でした。定数11に対して13人が立候補した選挙となり、若い新人がトップ当選を果たしたため、7期目を狙うベテラン議員が落選するという面白い動きのある選挙になりました。前回の投票率が71.76%だったため、ただでも高い投票率がさらに上がるという現象が起こっており、田舎の選挙なのに若い議員が多いという珍しい選挙であります。ただし、女性は玉城みちよさん1名だけ。それ以外は女性っぽい名前でも男性です。なので、若い人たちが議員として活躍する一方、若い女性の活躍は見られないという現象が起こっています。このあたりも考えていかなければなりません。


■ 9月2日に行われた選挙の総括

選挙の結果だけを見ると、特筆すべき事項はありません。沖縄市では幸福実現党からの候補者が擁立されていますが、9月2日に行われた北谷町や今帰仁村でヤバそうな候補が勝つということはありませんでした。実際のところは、僕たちが知らないだけで激ヤバな候補が勝っていたりするのかもしれませんが、パッと見た雰囲気でヤバそうな人はいないので、9月9日を前に嵐が吹き荒れるようなことはありませんでした。


■ 9月9日の沖縄統一地方選の見どころ

9月9日に行われる沖縄統一地方選では、宜野湾市、沖縄市、名護市、南城市、石垣市のほか、恩納村や国頭村など、多くの自治体で選挙が行われます。宜野湾市は、市長の佐喜眞淳さんが9月30日に行われる沖縄県知事選に立候補を予定しており、佐喜眞淳さんを支えようという自民党系の議員たちが奮闘中です。地元では「普天間基地を移転しよう」という声が支持される傾向にありますが、実際は辺野古基地が完成するまでには15年くらいかかると思われ、少なくとも15年以上は現状維持が確定してしまう上に、基地の返還が約束されていないことを考えると、明らかに順番を間違えており、辺野古基地が新設されるだけになってしまう可能性が高いことから、まるで住民を裏切るような話を平気でできる人たちが地元の支持を得ている現状は見どころの一つです。さまざまな矛盾を無視できる人たちの選挙は、なかなかカオスなことになっているので、このあたりを分析レポートで解説予定です。沖縄市は、佐喜眞淳さんから為書きを送られるような隠れ自民系の若者候補立ちを取材しました。良い意味で好対照となる2人の若者候補を追いかけています。名護市議選は辺野古基地に反対する「オール沖縄」系の候補14名が議席を守れるのかどうかがカギとなります。もし議席が守れないようなことがあると、基地反対派のテントが撤去されたり、内閣府から派遣された32歳の職員がやりたい放題に振る舞うことになります。南城市は、沖縄で初めての立憲民主党の候補者が擁立されています。9月30日の沖縄県知事選に玉城デニーさんが出馬する際、立憲民主党の沖縄県連が立ち上げられることになりました。しかし、立憲民主党から立候補している大城竜男さんは選挙に強いとは言い難く、立憲民主党潰しのために自民党から「大城」という同じ苗字の候補を立てられるなど、政党間の熾烈な争いが起こっています。沖縄県内に立憲民主党の議員が誕生するのかどうかにも注目です。石垣島は自衛隊のミサイル基地を作る問題が取り沙汰されていますが、現職の中山義隆さんが2000人規模の自衛隊員を受け入れる体制を整えており、石垣島にどのような変化が起こるのかが注目です。今回は石垣島も含めて選挙をウォッチングしに来ましたので、かなり面白いレポートをお届けできる見込みです。9月12日からのレポートをお楽しみに!


■ 沖縄県知事選に向けた動きは既に始まっている

9月30日の沖縄県知事選に向け、佐喜眞淳さん、玉城デニーさんによる選挙前のバトルは既に始まっています。地元では佐喜眞淳さんが圧倒的に先行していると言われており、その理由は企業が残業代という形で佐喜眞淳さんを応援する社員にお金を払い、票をとりまとめていること。名護市議選の際には約300台のレンタカーが借りられ、期日前投票所に近所の人を送迎しまくる作戦が展開されましたが、今回もその準備が着実に進んでいることなど、佐喜眞淳さんの陣営が既に動き出していることにあります。また、9月9日の市議選に立候補する無所属の候補者たちの所に出向き、支援者たちを中心に佐喜眞淳さんのプロモーションを仕掛けるなど、とにかく佐喜眞淳さんを推す勢いは衰えることがないといいます。一方、出遅れている玉城デニーさんは沖縄市や名護市などで街頭演説を行いましたが、企業を中心に票を固める自民党、創価学会を中心に10万票をまとめると宣言している公明党のように、手堅い組織票をまとめることができないため、かなり苦戦している模様です。「玉城デニーさんは人気者だから大丈夫ではないか」と楽観視する人の姿も見られますが、今年2月の名護市長選では期日前投票で7割が渡具知武豊さんに投票しており、今回も期日前投票の段階では佐喜眞淳さんに投票する人の方が多いのではないかと言われています。しかし、今回の沖縄県知事選は沖縄が永久に政府の言いなりとなって経済的な搾取を続けられるかどうかが問われており、少しくらいお金をばらまかれたところで、本土の企業に流れるお金はそんなものではないということを覚えておくべきでしょう。

玉城デニーさんは「基地を建設する」ということは平和外交を難しくすることにつながり、お互いの国の発展を願う良好な関係が築けないと、長期的に日本の国益を損なうことにもつながるとしています。お互いに嫌がらせをするような関係ではなく、お互いの発展を助け合うような関係になれば、日本の発展も約束されるというわけです。これこそ外交の基本的なスタンスであるべきだと思いますが、佐喜眞淳さんは「日本会議」に所属しているゴリゴリのネトウヨなので、せっかく中国からの観光客が沖縄に集まっているのに、それをぶち壊すような発言をしかねません。既に「オスプレイファンクラブ」のボギーてどこん氏の番組に出演するなど、ネトウヨ的な活動の目立つ人物なので、今後、沖縄の観光業が伸び悩む可能性を秘めています。


■ 再編交付金で子どもの貧困を解決する愚策

佐喜眞淳さんは県民所得300万円の実現と、子どもの貧困撲滅を掲げていらっしゃいます。子どもの保育、給食費、医療費の無償化を目指すとして、名護市長選と同じ作戦を展開していますが、その財源は基地の再編交付金ということになります。しかし、この「基地再編交付金」がどうして支払われているのかと言うと、沖縄の人たちが基地に反対しているからです。反対している人たちを黙らせるためにばら撒くお金として撒いているのですが、これが反対ではなくなってしまうと、政府がお金を払う理由はなくなってしまいます。つまり、佐喜眞淳さんが当選すると同時に再編交付金の意味はなくなるため、再編交付金は徐々に減らされる運命にあるということになります。もらえるお金が減らされてしまうと、今度は子どもの保育、給食費、医療費を無償化するための財源をどうにかしなければなりません。しかし、その頃には米軍ヘリが縦横無尽に飛び回る世界が実現し、事故でも起これば観光産業は大打撃です。ついでに佐喜眞淳さんはゴリゴリのネトウヨなので、八重山日報のように中国を敵視する発言をぶちかます可能性があり、ここまで順調に伸びている観光産業が伸び悩む事態になります。こうなると財源の確保ができず、宜野湾市長選に立候補した際の「ディズニーリゾートを誘致する」という公約がすっかり忘れ去られているように、子どもの保育、給食費、医療費の無償化という公約はすっかり忘れ去られることになるでしょう。既に未来は見えているけれど、そこまでの未来を見通せる人は限られた人間しかいないので、佐喜眞淳さんに投票する人はたくさんいるのです。再編交付金はシャブみたいなものなので、一度でも頼ったら、あとは滅びるまで再編交付金に頼らざるを得ず、また新しい基地を作りかねないというのが沖縄の現状です。なるべく政府がくれるお小遣いに頼らない自立した経済基盤を作らなければ、沖縄は本土の奴隷のように使われて終了です。簡単に魂を売ってしまう人をどこまで信じていいのでしょうか。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

沖縄県知事選が始まる9月13日から続々と沖縄統一地方選のレポートがリリースされてまいります。ここまでのところ、とっても順調に取材が進んでおり、かなり面白い内容になりそうです。また、沖縄県知事選とは切っても切り離せない関係にありますので、知事選についても触れていくことになると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。[了]

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