【選挙ウォッチャー】 沖縄1区に候補者を擁立した「れいわ新選組」の死。
これは「れいわ新選組」の死を意味しています。
2021年の衆院選では、山本太郎代表が東京8区から出ると発表した際に、「今までの吉田晴美さんのドブ板の努力を、いきなり横からやってきて潰すつもりか!」と大炎上し、あまりに火力の強さに、このままだと焦げついてしまうと撤回したことがありましたが、本当は、今回も土下座をして撤回をしないと、「れいわ新選組」が今回の衆院選をもって、完全にお亡くなりになってしまうのではないかと、僭越ながら進言しておきたいと思いました。
先にお断りしておきますが、僕は「れいわ新選組」を支持しているわけでも「日本共産党」を支持しているわけでもありません。「共産党の赤嶺政賢さんが落選したら大変だから、れいわ新選組に何か言ってやろう!」と思って書いているのではなく、山本太郎代表にはギリギリの義理があるので、これだけは言っておかないといけないと思って、このたび、わざわざ「れいわ新選組」のためを思って、100%親切心で書いてあげています。「こんなんしたら、完全に終わってしまいますよ!」という話です。
■ 沖縄1区の共産党は「聖域」である
最近では、すっかり忘れ去られているようですが、沖縄は1972年までアメリカ領でした。1945年に戦争が終わり、それから27年もの間、沖縄はずっと「日本」ではなかったのです。
しかし、沖縄で「俺たちは日本人なんだ! 沖縄は日本の領土なんだ!」と大きな声で叫び、さまざまな弾圧にも屈することなく、一生懸命に訴えて訴えて、27年かけて沖縄を日本に取り戻した、その先頭に立っていた瀬長亀次郎という人物こそ、「日本共産党」の人でした。アメリカにも正々堂々とモノを言い、沖縄の主権を取り戻すために戦う「真の保守政党」。これが沖縄では「日本共産党」だったのです。
そして、赤嶺政賢という人は、まだ沖縄がアメリカ領だった1967年に日本共産党に入り、石垣島の高校で学校の先生をしながら、1985年から那覇市議となり、2000年から今日まで8期にわたって衆議院議員をしている「生ける伝説」であり、米兵に少女が殺された時、米兵に少女がレイプされた時、米兵がこうした凶悪犯罪を起こしても逮捕されない時、その先頭に立って抗議をしてきた、沖縄の歴史とともに生きてきた男です。有権者に信頼され、自民党が強くなってしまった沖縄で、2014年以降、ずっと小選挙区を勝ってきた人物でもあります。
そこに「れいわ新選組」がやってきて、「沖縄1区で候補者調整を考えてもらえないか」と打診をしたものの、まったく相手にされない形で断られてしまったので、「こうなったら『れいわ新選組』として独自に候補者を立てるしかなくなった」と言い出しました。
出馬を表明したのは、政治経験のない、超ド素人の、保育士をしているという47歳の久保田みどりさんです。百歩譲って、大谷翔平選手をツモってきて、「バッターとピッチャーと政治家の三刀流でOKをいただきましたんで、赤嶺政賢さん、どいてください!」って言うんだったら、まだ話を聞いてみようかということになるかもしれません。大谷翔平選手が政治家に立候補するとなったら、政治経験がなくても、投票用紙に「大谷翔平」と書いて帰ってくることでしょう。しかし、仮に候補者調整をして、赤嶺政賢さんが身を引いて、れいわ新選組から久保田みどりさんが立候補して、ド素人の知らないオバハンが出てきて、国場組の御曹司にして自民党でパイズリがしたい国場幸之助パイセンに勝てると思っているんでしょうか。こんなもん、山本太郎代表が直々に立候補しても勝てるはずがありません。
ということは、ここに候補者を立てるということが、単純に「赤嶺政賢を殺しに来ているだけ」であることは明白であり、いくら否定しようが、ナイフで人を刺しながら「殺す気はないんです」と言っても、厨房でもないところでナイフを持って立っている時点で過失致死にはなりません。「おう、れいわ新選組、やってくれたなぁ!」なのです。
■ 勝てない奴を連れてきてイキる人々
そもそも「れいわ新選組」が、サイコパスみたいに沖縄1区で共産党の赤嶺政賢さんを殺しに来たのは、「オール沖縄の候補者調整の中で、沖縄4区を『れいわ新選組』にいただきたい」という話が、まったくの不調に終わってしまったからです。
沖縄1区は共産党の赤嶺政賢さん、沖縄2区は社民党の新垣邦男さん、沖縄3区は立憲民主党の屋良朝博さんと決まっている中で、沖縄4区を「れいわ新選組」にしてくれたら、ちょうどキレイに分かれていいんじゃないのかというのが、「れいわ新選組」の気持ちです。
しかし、これには致命的な欠点があります。それは「れいわ新選組」という政党には組織がまったくなく、戦ったところで酷い惨敗になることが目に見えているということです。それならまだ沖縄社会大衆党あたりからカカシでも立てておいた方がまだ票になるという話です。勝たなければ意味がない選挙という戦いの世界で、「惨敗するのは確実ですけど、政策が素晴らしいから任せてみましょう!」にはなりません。
ましてや、今回、れいわ新選組が擁立しようとしているのは、2022年の豊見城市長選で、たったの1期であっさり負けて帰ってきた山川仁さんです。
4年にわたって市長をしてきた圧倒的な地元で、れいわ新選組の他に、立憲・共産・社民・沖縄社会大衆党の推薦をもらい、「オール沖縄」の現職として戦って、自民・公明推薦の新人に2800票もの差をつけられて負けて帰ってきた奴を担ぎ上げて、「沖縄4区をください!」と言っていたわけですから、「わかりました」になるはずがありません。バカなんでしょうか。
しかも、これは「れいわ新選組」の悪い癖で、山川仁さんが「れいわ新選組」から沖縄4区で立候補したら、同じ沖縄4区に日本維新の会からお兄ちゃんの山川泰博さんが出てくるので、「山川兄弟対決」と話題になって面白くなりそうだから、そのシズル感がたまらなくて、どうしても沖縄4区に山川仁さんを立候補させたいだけなのです。
しかし、沖縄4区の敵は、自民党の西銘恒三郎さんのはずで、はっきり言って、日本維新の会から立候補する山川泰博さんはモブキャラに過ぎず、2020年の沖縄県議選では豊見城市から立候補して、現・自民党沖縄県連代表の島袋大さん、共産党の瀬長亀次郎さんの孫である瀬長美佐雄さんに負けているモブ・オブ・モブです。兄弟揃ってモブキャラですねん! そんな兄弟対決なんぞに微塵も興味がねぇ!
これから長澤まさみちゃんにプロポーズをしようっていう時に、15兆円ぐらいの資産を持って「結婚してください!」って言うんだったら、少しくらいは考えてもらえる余地はあるでしょう。自分なりに一生懸命書いた選挙レポートを売って、ようやく稼いだ15万円を持って行って「結婚してください!」と言ったところで、長澤まさみちゃんのドラマ1本分のギャラより安いなんて、お話になりません。「まあ、こんなふうに頑張って稼いだ15万円は、とても尊いですわ!」にはならんのです。おととい来やがれ!
■ 「オール沖縄」を敵に回す最悪の行為
今、「れいわ新選組」が敵に回そうとしているのは、もはや日本共産党ではありません、「オール沖縄」です。そして、このたびの蛮行は、東京8区で吉田晴美さんをどかそうとした時よりも、直接的に「れいわ新選組」が死ぬことになります。
理由は、「れいわ新選組」を応援してくれている辺野古基地の建設に反対する運動体の人たちが、明確に「れいわ新選組」を正式な『敵』としてみなすことになるからです。そして、この人たちに『敵』としてみなされた時にはおしまいだと思っていいと思います。昔からこの界隈で一番恐ろしいのは内ゲバであると相場が決まっており、令和の世の中で、さすがに人間の肉体的な意味で死ぬことはないかもしれませんが、少なからず「政治家」としては、確実に死ぬまで追い込まれるでしょう。
我々は、今年6月の沖縄県議選・国頭郡選挙区で、裏切り者が粛清される様子を目の当たりにしたばかりです。このまま突き進めば、間違いなく「れいわ新選組」は、おしまいです。
僕の予測では、仮に「れいわ新選組」が候補者を立てても、選挙の結果にはほとんど影響しないのではないかと思いますが、楽観視できる材料なんてどこにもありません。立候補する久保田みどりさんに1票も入らないということはないでしょうから、少なくとも数千票ぐらいは入るでしょう。その数千票さえ赤嶺政賢さんにとっては危険です。しかし、赤嶺政賢さんが選挙に勝っても負けても、「れいわ新選組」が背中から刺してきたという事実には変わりがありません。明確に『敵』となります。
■ 候補者調整の前提がわからないアホの子たち
そもそも「候補者調整」というのは、勝てる可能性のある候補の「勝てる可能性をさらに上げるための調整」です。候補者を一本化しようという時に強い方にまとめることはあれど、弱い方にまとめることはありません。そもそも「勝つため」に調整をするわけですから、弱い方にまとめようとするバカはいないのです。
ですから、野党間で候補者調整が行われる場合、候補者を下げるハメになるのは「共産党」になりがちですが、地域の特性上、共産党の方が強そうだということになれば、そこは立憲民主党などが候補者を下ろし、共産党の候補にまとめることになります。例えば、穀田恵二さんの「京都1区」や赤嶺政賢さんの「沖縄1区」です。
しかし、れいわ新選組が主張している「候補者調整」は、選挙の勝ち負けの話ではなく、「俺たちの候補者をここから出させてくれ!」です。それで宮本岳志さんの「大阪5区」に大石晃子さんが立候補し、大阪5区を「れいわ新選組の選挙区」にしようとしているわけですが、試しに前回の選挙結果を見てみましょう。
もし「大阪5区」で候補者調整をして、本当に小選挙区での勝利を目指すというのであれば、候補者を下げなければならないのは、共産党の宮本岳志さんではなく、れいわ新選組の大石晃子さんです。これが候補者調整の原理原則であり、「共産党が候補者調整に応じてくれない!」というのは、バカの言い分です。
この当たり前の原理原則が分からないアホの子たちが、アホをこじらせて共産党が何よりも大切にしている赤嶺政賢さんのところに、ナイフを持って刺しに行ってしまったのです。おそらく共産党とすれば、委員長である田村智子さんに宣戦布告をするよりも、赤嶺政賢さんに宣戦布告をした方がヤバいと思います。共産党のすべての候補者の中で、一番やってはいけないところにやりに行っている。これはもう土下座では済まないところまで来ています。
■ 選挙ウォッチャーの分析&考察
僕は今、好きな女の子のリコーダーを舐めているところを、好きな女の子本人に見つかってしまったぐらいの「絶望」を感じています。2019年の参院選で発足し、頭の悪い立憲民主党に代わって、リベラルの受け皿になるかもしれなかった期待の政党が、リコーダーを舐めていました。
女の子は「そんなことする人だと思わなかった!」と泣きますが、ここまで「れいわ新選組」という政党を生温かく見守ってきた人たちから言わせると、「いつか絶対にやらかすと思っていた」という答えしか返ってこないのかもしれません。
立憲民主党には千葉14区の野田佳彦、埼玉5区の枝野幸男、宮城4区の安住淳のところに刺客を立てた手前、「共産党には立てないんかい!」と言われたら困るのでってことで、よりによって「沖縄1区」に立ててしまうセンス。かつて「NHKから国民を守る党」の大橋昌信という副党首だった極限のアホが、松戸市議選でDELIさんの弟様にオラついた時ぐらい、アンテナの感度がバカすぎて怖いです。れいわ新選組の皆さん、今までありがとうございました! 最後の最後にギリギリの優しさで書いておきます。沖縄1区は取り下げた方がいいと思います、かなりマジで!