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【選挙ウォッチャー】 大阪都構想の住民投票2020・分析レポート。

11月1日、日本の未来がかかっていたと言っても過言ではない、非常に重要な住民投票が行われました。かねてから大阪維新の会がずっと提唱してきた「大阪都構想」の是非をめぐる住民投票。正式名称は「大阪市廃止・特別区設置の住民投票」です。これがまかり通ってしまうと、あちこちで日本の行政システムが壊されてしまう可能性がありましたが、大阪市民の皆さんの賢明な判断により、ギリギリのところで回避することができ、大阪市はもちろん、全国の政令市、もっと言えば、全国の市町村が、橋下徹さんが作り上げた「二重行政」という幻に惑わされる心配が減ったのです。住民投票が始まったばかりの頃は、大阪はもうダメなんじゃないか。もっと言えば、このわけのわからない流れが全国に波及してしまい、日本がものすごい速さで壊されてしまうのではないかと心配をしていましたが、終わってみれば、大阪市のことをちゃんと考えている人が半分以上いることがわかり、感動的な結果になりました。当初の計画では大阪市内に3回入り、いくつかの事前レポートを書きながら、最終的にドカンと結果を報じる計画だったのですが、NHKから国民を守る党による度重なる妨害行為・迷惑行為の影響で、一度も大阪入りを果たすことなく、レポートを書くことになりました。


■ 大阪都構想の歴史を振り返ってみる

かねてから大阪維新の会が掲げてきた「大阪都構想」とは、大阪市を廃止して、大阪に「渋谷区」「新宿区」のような「特別区」を設置し、東京と同じような形にすることで、大阪府と大阪市の二重行政を解消し、合理的でスマートな行政改革をしようというものでした。大阪市のような「政令市」は全国に20ありますが、「二重行政で困っている」と言っているのは、大阪市だけ。どうしてこうなっているのかと言うと、2008年に橋下徹さんが大阪府知事になり、やりたい放題に改革をしようと思ったものの、当時の大阪市長・平松邦夫さんが、橋下徹さんのやりたい改革になかなか賛同してくれず、「大阪府は改革したいのに、大阪市が改革をしてくれない」という現象が起こり、以来、これを「二重行政」として問題視するようになってしまいました。やがて橋下徹さんは2010年に大阪維新の会を発足、2011年に大阪市長に立候補すると、メディアを効果的に使い、巧みにアピールを重ねていた橋下徹さんは大人気で、見事に市長に当選。知事には松井一郎さんが就任し、以来、二人三脚で大阪の改革を進めてきました。新自由主義の橋下徹さんは「日本を道州制にするべき」という思想を持っており、その礎を築くためにも「大阪都構想」を進めるべきだとして、2015年に住民投票を実施。ところが、この年の住民投票では反対多数で否決。橋下徹さんは政界を引退し、それから「大阪都構想」は消えたかと思ったのですが、あれから吉村洋文知事を新しい看板に据え、大阪に再びの維新旋風が巻き起こっている様子を見て、「今度こそチャンスだ!」と二度目の住民投票を実施することを決定。今回は住民投票に法的拘束力を持たせ、賛成多数となった場合には問答無用で大阪市を廃止し、大阪に特別区を作るということにしました。事前の情勢調査では賛成が多く、「今回ばかりは大阪都構想も決まりだろう」と思われていたわけですが、なんと、大阪市民が下した決断は、再びの「反対」。大阪市は存続することになり、行政サービスが思いっきり削られるかもしれない「大阪維新の会」の悲願が、またしても打ち砕かれることになったのでした。


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