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【選挙ウォッチャー】 新型コロナウイルス・最新情報(#63)。

今年は、最近まで雨ばかりで涼しかったのに、梅雨明け以降は一転して暑い日が続くようです。この新型コロナウイルスは寒い方が活発になるため、夏には感染の勢いが抑えられると考えられていましたが、どうやらまったくそんなことはなく、みんなが気を付けなければ感染は拡大する一方だということがわかりました。今は常夏の沖縄県で感染が拡大傾向にあり、政府が反対を押し切ってまで進めた「GoToトラベルキャンペーン」が、沖縄に地獄を作ろうとしています。


■ 10万人あたりの感染者数が最も多い沖縄県

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今、日本で最も新型コロナウイルスが流行している都道府県は「沖縄県」だと言えるかもしれません。人数だけで言えば東京都がダントツで多いのですが、そもそも東京都には1000万人以上が暮らしているので、その中の200人や300人というのは、さほど大きな数字ではないということになります。8月1日までの情報をもとに、10万人あたりの感染者数で換算すると、1位は沖縄県の18.38人、2位が東京都で15.72人、3位が福岡県で13.83人、4位は大阪府で13.68人です。大都会がズラリと並ぶ中、沖縄県が1位になってしまった背景には、一体、何があるのでしょうか。

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沖縄県では、5月28日に最後の感染者が見つかって以来、7月8日に新規感染者が2人見つかるまでは、ほぼ終息していました。その後もしばらく少ない状態が続いていて、7月23日頃から少しずつ増え始め、7月29日頃には本格的に増え始め、今も新規感染者は続々と見つかっています。一般的にウイルスに触れてから発症するまでは5日程度だと言われているので、感染している人の多くが7月22日以降にウイルスに触れたものだと考えられます。7月22日と言えば、政府が国民の反対を押し切って「GoToトラベルキャンペーン」を始めた時期と重なります。今年は、多くの国で旅行目的での入国を拒否していることもあり、いつもなら海外旅行に出かけるようなセレブが行き場所を失い、沖縄に殺到。政府が進める「GoToトラベルキャンペーン」も沖縄旅行をアシストしました。沖縄県は感染拡大を受け、7月31日に県独自の「緊急事態宣言」を発出。県外からの沖縄旅行を自粛してもらうようにお願いをしています。

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しかし、自粛はあくまで「お願い」であって、沖縄県が独自に「緊急事態宣言」を出したところで、「沖縄県のためにやめてあげよう」なんて思う人は一握りです。キャンセルすればキャンセルしたでキャンセル料がかかるわけですし、日頃から自粛生活に勤しみ、同僚と居酒屋で一杯やることも控えるような生活をしている中で、せめて家族の思い出ぐらいは作りたいという人もたくさんいます。そして何より、いくら沖縄県が自粛をお願いしても、政府は「どんどん旅行に行け!」と言っているわけです。どうせ沖縄旅行と言っても、リゾートホテルのプールを利用するぐらいで、あとは沖縄名物のステーキやゴーヤーチャンプルーをちょっと食べる程度。現地で密になるようなところに行きたいわけでもな・・・、ハックション! 行きたいわけでもないので、ダイジョブダイジョブという理論です。しかし、沖縄県は医療体制が充実しているとは言い難いものがあります。特に、リゾート地として人気の石垣島や宮古島は、島でパンデミックが起きた時に病院で対応することはできません。普通の病気ならカバーできても、大量に押し寄せる新型コロナウイルスの感染者を受け入れられるような体制は整っていないのです。それに、もし東京都で感染者が溢れても、近隣の千葉、神奈川、埼玉などに協力を要請し、場合によっては病床を確保できるかもしれませんが、沖縄県は一つだけ離れたところにあるため、溢れた感染者をそう簡単に他県に移すことができません。沖縄は今、正念場に立たされています。


■ 沖縄を貶めようとする官房長官とネトウヨ議員

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沖縄県では今、新型コロナウイルスの感染者が急増したため、受け入れ可能な病床が埋まり、医師や看護師が不足している状況です。本来であれば、こうした事態に備え、県がホテルを借り上げて無症状や症状の軽い人たちを隔離するようなことをするべきなのですが、実は、沖縄県ではホテルの借り上げが全然進んでいません。これについて、菅義偉官房長官は記者会見で「沖縄県には何度もホテルを確保するように促した」と、沖縄県がろくすっぽ対応できていなかったような発言しました。

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これを受け、日頃からネトウヨをこじらせているような議員たちが、ここぞとばかりに「玉城デニー知事が仕事をしていないんだ!」と大騒ぎしているのですが、そもそもどうして県がホテルの確保をできないのでしょうか。理由はとってもシンプル。政府が強引に進めた「GoToトラベル」のせいでホテルの予約が埋まっていて、ホテルに空いている部屋がないから。沖縄県が対策を取ろうにも、政府のゴリ押しした政策に阻まれて対策ができない状態に陥っているのです。そもそも国民の反対を押し切ってキャンペーンをしなければ、こんなに酷いことにはなっていないのではないでしょうか。


■  第12回・感染実態解明野党合同ヒアリング

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8月4日に行われた「第12回・感染実態解明合同ヒアリング」では、医療が限界を迎えている沖縄の状況について、官僚に質問が飛びました。これを推し進めているのは安倍政権なので、本来であれば、国会で話し合うべきことなのかもしれませんが、野党が憲法53条に基づいて国会を開くように求めても、憲法には罰則がないので、安倍政権は憲法違反を承知で国会を開いていません。今、この状態で国会なんて開いてしまったら、アベノマスクやGoToトラベルキャンペーンについて、野党から追及されまくったあげく大炎上し、ますます支持率が低下するのは目に見えています。だから、ほとぼりが冷めるまで国会を開くつもりはなく、どうしても野党と官僚の話し合いということになってしまいます。噂によれば、秋の臨時国会もギリギリまで開かないつもりらしいので、今年の秋には衆議院を解散させるのではないかと言われていましたが、このままだと解散のタイミングを失い、来年のオリンピックもできず、まともな経済政策も打てないとあれば、来年の秋にやることになって、自民党が歴史的な大敗をする可能性もあります。

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自民党の皆さんも、選挙で大敗するのだけは避けたいはずなので、今こそまともな新型コロナウイルス対策をしてほしいのですが、それをサポートする官僚の皆さんも仕事はできていません。例えば、国交省や厚労省は、沖縄のホテルの予約状況がどうなっているのかを把握しておらず、ホテルを予約している人のうち、どれだけの人が「GoToトラベル」のキャンペーンを利用しているのかも把握していません。もしキャンペーンを利用している人が少ないのであれば、これがキャンペーンの墓穴であるとは言い切れないし、逆にキャンペーンを利用している人が多いのだとすれば、それはただちに中止した方が良いということになります。

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しかし、官僚の皆さんが動いている気配はありません。日本の官僚は優秀だと思われていたけれど、もしかすると現代の日本においては幻想なのかもしれません。優秀な人たちもいるのかもしれないけれど、そういう人たちの能力はちっとも発揮されていません。例えば、「GoToトラベル」を取り仕切る観光庁は、石垣島のどのホテルで陽性者が出てしまったのかを把握していません。自分たちの事業が世の中にとってマイナスになっているかどうかを検証しようという気はないし、これを調べるのはあくまで厚生労働省だと思っているのです。厚生労働省の管轄に足を踏み込むつもりはないし、厚生労働省に調べてもらおうというつもりもない。昔から「縦割り行政」が問題になっていますが、それは今も解消されていません。

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しかし、これは一刻を争うことなのです。こうしている今も感染は拡大するばかりで、指数関数的な拡大を見せることを考えると、今すぐに対策を打つのと1週間後や2週間後に対策を打つのでは、結果が全然違います。今年は子供たちの夏休みも短く、旅行のハイシーズンは限定的です。今、このタイミングで手を打てば、キャンセル料も少なくて済むかもしれないし、圧倒的に感染を防ぐことができるかもしれない。被害が大きくなる前にキャンペーンをやめるべきではないかと野党は追及しているのですが、親分が安倍政権の観光庁は中止にするつもりがありません。

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沖縄は今、「GoToトラベル」のせいでホテルが確保できない状況になっていますが、これと同じようなことが他の都道府県でも起こるかもしれない。そもそもホテルを確保する際に、一般の宿泊客と混ざって感染者がいるのでは困るので、ホテル側にも対策が求められます。観光庁としてはどう考えているのかと問われ、担当者の答えは「しっかり感染症対策をすれば、旅行をしても大丈夫だ」でした。きょうび、ほとんどの人は旅先でもマスクをしているでしょうし、ホテルや旅館に着いたら手を洗っていることでしょう。それでも感染が拡大しているのは、ご飯を食べている時はマスクを外し、プールに入る時もマスクを外すことがあるし、1歳や2歳の子供たちにマスクをつけるのは難しいので、大人がマスクをつけても子供がマスクをつけないことは普通に考えられます。1歳や2歳の子供に「話をするな」というわけにもいかないでしょうし、可愛らしい2歳ぐらいの子供に話しかけられて無視する大人もそう滅多にいるものではないでしょう。感染者が拡大局面にあるにもかかわらず、「マスクをすればOK」みたいな机上の空論には何の意味もありません。実際、「夏なのに感染者が増えている」というデータがそれを証明しています。

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さらに、国土交通省などは「お盆の帰省に対しても自粛を求めない」としています。お盆に感染が深刻な東京や大阪、愛知などから田舎に帰る人はたくさんいるでしょうが、自粛を求めることはないそうです。これは「GoToトラベル」以上の地獄になる可能性があります。なにしろ、子供たちと実家に帰省をすれば、高齢の「じいじ」「ばあば」が感染するかもしれません。高齢者ほど重症化や死亡のリスクが高く、病院のお世話になる可能性が高いのです。沖縄では現時点で病床に空きがない状態になっているのに、さらに帰省のせいで感染が広がった時には目も当てられません。既に帰省用のチケットを取っている人も多いでしょうから、自粛を求めるなら、なるべく早い方がいいのです。直前になれば直前になるほどキャンセル料が高くなるのですから、本当は今すぐにでも自粛を求めるべきで、時間的な猶予はほとんど残されていません。直前になって自粛をお願いするのでは止められなくなってしまうし、混乱を招くだけ。官僚の皆さんに10日の予測ができているのかを問いましたが、まったく予測をしていませんでした。10日後には地獄が広がっているかもしれないのに、感染が拡大した時のシナリオが用意されていなかったのです。安倍政権の言うことを忠実に守るばかりの官僚の皆さんは「三密を避ければ大丈夫だ」という認識でした。

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最後に、この「GoToトラベル」は感染者の多い東京都が除外されているプロジェクトですが、いまや東京都より沖縄県の方が感染の状況が深刻になっています。東京都が除外されるのであれば、沖縄県が除外されないと整合性が取れないのですが、そのあたりはどう考えているのか。担当者は「政府全体でそのような判断をしているので、こちらでは判断できない」と答えていました。安倍政権が「沖縄も除外する」と言ってくれないと、官僚の皆さんが自発的に沖縄を除外することはできないというわけです。しかし、肝心の安倍晋三総理はこのところ、ずっとステイホームしていて、すっかり夏休み気分です。判断をする人間が不在、憲法に違反して国会も開かれない、官僚も官僚でデータをまとめる担当部署が決まっていない。沖縄がキャンペーンから除外される可能性があるのかどうかも答えられない。どいつもこいつも新型コロナウイルス対策に対して、まるで危機感が足りません。こんな体たらくでは、日本で感染者が爆発的に広がるには「必然」と言えるかもしれません。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

こうしている間に、新型コロナウイルスに関連した倒産が400件を超えてしまいました。これからますます新型コロナウイルスの感染が拡大するとなると、ますます外食はできなくなるし、ますます買い物する気が失せるってなものです。新型コロナウイルスは指数関数的に広がるわけですから、一刻も早く手を打たなければ大変なことになります。今こそ国会を開くべき。野党は憲法53条に基づき、今すぐ国会を開くように要求していますが、安倍政権は憲法を無視して、まったく国会を開くつもりがないようです。憲法を守れない奴がどの口で「憲法改正」と謳っているのでしょうか。もしかして自分たちに都合の良い憲法を作ろうとしているのでしょうか。国民の命がかかっている時に平気で憲法を守らない奴に、憲法を語る資格なんてあるのでしょうか。一刻も早く国会を開き、対策をするべきです。そうでなければ日本にますます地獄が広がります。

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