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【選挙ウォッチャー】 国立市長選2020・分析レポート。

12月6日告示、12月13日投開票で国立市長選が行われました。冒頭から言うことではありませんが、はっきり言って、選挙をやる前から結果が決まっていたと言っても過言ではありません。ポスターを見た瞬間に伝わってくる絶妙な「おっぺけ臭」。これも多摩地区の特徴と言えるのかもしれませんが、このあたりのエリアで出てくる共産党中心の野党共闘候補と、それを応援する支援者たちは独特の空気を持っています。「共産党のおっぺけぺー選挙」というのは、このレポート独自の言葉ですが、有識者の皆さんがやらかしがちな、有権者にちっとも響かない独特の選挙スタイルは、正しいことを言っているのに届かないので、とてもモヤモヤした気持ちになるのです。

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永見 理夫 71 現 自民・公明・都民F・連合推薦
土屋 邦美 72 新 共産・社民・生活ネ推薦、緑の党支持

推薦を見ただけで、組織力が全然違うので、ある意味、結果は決まっているのかもしれませんが、選挙戦略においても現職の方が優れているため、これでは逆転の目がありません。選挙ポスターを見ても、あんまり投票したい気持ちにならないため、市民の関心を集めることもできず、投票率も下がるばかりで、ほとんど盛り上がらなかったと言ってもいいと思います。大学などもあって、けっしてリベラルが少ない街だとは思えないのですが、そもそも現職の永見理夫さんが自民・公明推薦でありながら、比較的リベラル的な政治をしていることもあって、盤石の戦いになりました。


■ 永見理夫候補の主張

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永見理夫さんは、早稲田大学卒業後に国立市役所に入庁。福祉部長、市民部長、企画部長などを歴任し、2010年に定年退職。2011年から副市長になり、2016年に前市長の佐藤一夫さんが肝不全でお亡くなりになったため、選挙が行われるまで市長職務代理者に就任。12月25日に行われた国立市長選に自民・公明推薦で立候補し、当選を果たしたといいます。ちょっと面白いのは、永見理夫さんの代名詞とも言える選挙公約が「誰一人取り残さない政治」だということです。永見理夫さんは「ソーシャルインクルージョン」という難しいカタカナで表現していますが、4年前の選挙でも掲げていた公約のようで、自民・公明・都民ファーストの会推薦なのに、共産党とまったく同じ公約を掲げているのです。もともと市役所に長らく勤務してきた人で、ゴリゴリの新自由主義者というわけではないようです。

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永見理夫さんは、そんなに大胆なことを公約に掲げているわけではなく、子供からお年寄りまで、すべての世代を「ソーシャルインクルージョン」ということで住みやすい街を作るという話をしていました。道路の拡張などの計画はあるようですが、それでもハコモノに無駄なお金をかけているという印象はありません。特に力を入れようとしているのが「幼児教育」であり、子供の夢が生まれた環境によって差別や選別を受けないように「未来事業団事業」なるものを設立し、これからますます力を入れていくことを宣言しています。国立市はとっても住みやすい高級住宅街という感じなのですが、同じように幼児教育の重要性を考えている家族が国立市に引っ越してくる可能性があります。そうすると、国立市の財源はさらに安定することになり、国立市は今、人口8万人都市を目指しているそうです。それほど大きな自治体ではないのですが、非常に文化的な街並みになっているため、こうした公約が世に知られれば、ますます人気になる可能性を秘めています。

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派手さはありませんし、演説が面白いわけでもありませんが、誠実に取り組んでいそうな印象を受け、欠点が見当たりません。わけのわからないハコモノを作ってズブズブ言わせているタイプにも見えないし、71歳ですが、頭脳的な衰えは無さそうで、持病の一つぐらいあるかもしれませんが、見た目には健康そうに見えます。相手が共産党で選挙をやる前から結果が決まっているような選挙であっても、しっかり街頭演説などを組んでいて、しっかり選挙を戦っているところも好感を持てました。


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