見出し画像

【選挙ウォッチャー】 福島県伊達市議選2022・分析レポート。

 4月17日告示、4月24日投票で、福島県の伊達市議選が行われ、定数22に対して28人が立候補する激戦となりました。実は、石川県の参院補選を取材した後、休憩なしで6時間もかかる福島県伊達市まで車を走らせた理由は、宮崎早野論文の不正を追及した島明美さんが立候補することになったので、どんな感じで戦っているのかを見るためでした。
 島明美さんがやってきたことは、僕とは比べものにならないぐらい偉大だと思いますので、「同志」というのはおこがましいですが、それでも似たような活動をしてきた僕としては、島明美さんが福島第一原発事故から10年以上経って、今なお健康被害で悩まされている子どもたちを見て、市議選に立候補してくるというのはササるものがあります。なので、ここは一つ「選挙ウォッチャー」として記録に残しておきたいと思っていました。

 実は、北海道にも洞爺湖のあたりに「伊達市」という自治体が存在していますが、僕が取材したのは「福島県伊達市」で、ここは福島第一原発事故の後、非常に放射線量の高いエリアでした。
 福島県伊達市の面積は約265平方キロで、ざっくり千葉市と同じくらいの面積になります。千葉市内をグルグルして、1人の選挙カーを探し出すというのが至難の業であるように、伊達市内をグルグルして島明美さんと出会える確率は、よっぽど赤い糸で結ばれていないと難しいのではないかと思いましたが、なんと、伊達市に到着するなり、いきなり島明美さんの選挙カーを見つけることに成功しました。

伊達市に到着した瞬間に会うことができた島明美さんの選挙カー

 僕のまわりでは島明美さんを応援している人が多く、当選を願って、僕より遠い所から応援に駆け付ける人もあったといいますが、実は、選挙に関しては素人の集団だったため、最終的には一応の形になって戦えるようになったものの、危うく土俵に上がることすらできないところでした。これまでやってきたことがどれだけ素晴らしくても、選挙に勝てるかどうかは「選挙の戦い方を知っているかどうか」です。


■ 「宮崎早野論文」の不正を指摘した人物

島明美さんは「宮崎早野論文」の不正を指摘した伊達市民

 島明美さんは、市民に同意を得ないまま被曝データを使用し、人体への影響を過少に評価していたと指摘された、福島県立医科大学の宮崎真、東京大学の早野龍五による「宮崎早野論文」の不正を指摘した伊達市民です。
 福島第一原発事故の直後、伊達市は中通りにありながら非常に高い空間線量を記録しており、住民の健康被害が心配されました。あまりに高い空間線量に避難した子どもがいる一方、この土地で生きる選択をした子どもたちもいて、現在でも健康観察は続けられています。しかし、災禍のチェルノブイリでそうだったように、福島でも小児甲状腺がんの多発が確認され、通常であれば数十万人に1人程度の割合であるはずの小児甲状腺がんが、福島だけで100人以上確認される異常事態です。
 しかし、「宮崎早野論文」では、住民の同意が得られていないデータが勝手に流用されていたほか、その証拠となるデータが破棄されているなど、論文にあるまじき不正行為が複数指摘され、最終的に撤回に追い込まれることになったのでした。
 早野龍五に関しては、原発事故直後の放射性物質を大量に含む雨が降った時に、現在で言うところの「マスクを外そう」という活動をしている医者のようなポジションの男で、「春雨じゃ、濡れてまいろう」と述べるなど、学者の片隅にも置けないようなクソでした。なお、現在は糸井重里の「株式会社ほぼ日」のサイエンスフェローであると言います。あれから10年近くの時が流れましたが、新型コロナウイルスで言うならば、京都大学のウイルス再生医科学研究所の宮沢孝幸みたいなポジションの男です。


ここから先は

4,038字 / 6画像

¥ 140

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。