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【選挙ウォッチャー】 東京都議補選2020・北多摩第三選挙区レポート。

調布市と狛江市が合体している「北多摩第三選挙区」では、今年、東京都議補選が行われました。補選が行われることになった理由は、日本共産党の井樋匡利さんの大学生の長男が強制わいせつ罪で逮捕されたことを受け、「成人しているとはいえ同居している。議員という公職にある者として責任の重大さを考え、辞職に値すると判断した」と言って辞職したからで、これまで何度も「責任を痛感している」と言いながら、今日の今日まで一度も責任を取ったことがない安倍晋三総理とは全然違いました。

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林 明裕      59 新 自民党
田中 智子     62 元 日本共産党
ドゥマンジュ 恭子 62 新 生活者ネットワーク

かつて狛江市には日本共産党の市長がいたことがあって、今も「狛江市は共産党が強い街」だと思われているのですが、昨今の選挙結果を見ると、けっしてそんなことはなく、調布市も少しリベラル色はあるものの、自民党がそれなりに強いエリアです。これに加えて、今回は生活者ネットワークからも候補者が出ていて、保守分裂ならぬ革新分裂の選挙となっていて、都知事選に立候補している宇都宮健児さんと山本太郎さんどころではないぐらいに票を割っていたため、自民党の林明裕さんが順当に勝つのではないかと予想されていました。


■ 林明裕候補の主張

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林明裕さんは、調布市議を6期務めてきたベテランで、狛江市長の松原俊雄さん、調布市長の長友貴樹さんにも応援されていて、地元選出の衆議院議員の伊藤達也さんをはじめ、地元の自民・公明の議員にも応援されています。また、調布市商工会青年部部長、調布青年会議所理事、調布市社会福祉協議会の評議員、調布市体育協会の理事などを歴任し、現在は調布商工会典二や調布地区防犯協会の参与などを務めています。ゴリゴリに地域とのつながりがある人なので、かなり盤石な体制で都議選に挑んでいると言っても過言ではありません。

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そんな林明裕さんは、かなりフワッとした公約を掲げていて、特に突っ込んだ話はしていません。例えば、新型コロナウイルス対策についても、「公衆衛生、感染予防対策をより強化し、地域医療体制のさらなる充実を図る」と書くにとどまり、PCR検査の積極的な導入という話はしていません。教育についても、「ICTを活用し、能動的に学ぶ学習法を推進し、すべての児童・生徒に『いつでも』『どこでも』質の高い教育を提供する」と書いているのですが、こんな時代だからどうという話でもありません。これはかなりヤバい予感がします。というのも、今、この時代の最も大きな乗り越えなければならない壁は、絶対的に「新型コロナウイルス」です。物理的にも経済的にも生活に困る人が多発することが避けられない中で、どのような対策を取るべきかが問われている時に、何一つ具体的な政策を持たずに都議選に挑んでいる人が余裕で当選してしまう。これぞ「なんとなく投票」の極みだと思うのです。どうせ具体的に言っている人がいても公約を達成できないと思っているのかもしれませんが、ふんわり言っても同じなのですから、より具体的なアイディアを持っている人に託した方がいいのではないでしょうか。


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