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【選挙ウォッチャー】 上野原市長選2021・分析レポート。

2月14日告示、2月21日投開票で、山梨県の上野原市長選が行われました。このあたりは新型コロナウイルスの影響があまりないようで、おじいちゃん&おばあちゃんのマスク着用率が異常に低く、話を聞くのに緊張してしまったのですが、貴重な話を伺うことができ、いつになく充実したレポートになりました。先日の川俣町長選は、一部から「ハズレ回」という声も聞かれたので、今回はそこそこ面白い裏側を引き出せていると思います。

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江口 英雄 78 現 4期目を目指す
村上 信行 71 新 元市議
渡辺 敦雄 73 新 市民団体代表

今回の上野原市長選は、4年前の2017年とまったく同じ顔ぶれで行われる特殊な選挙でした。4年前とまったく同じなら、4年前とまったく同じ結果になってもおかしくないところではあるのですが、メンバーが同じでも必ずしも同じ結果になるとは限らないところが、選挙の面白さです。4年という月日は、4年分、歳を取るということです。小泉進次郎パイセンぐらい当たり前のことを言っているのですが、気になるのは現職の年齢です。4年前は74歳だったけど、今年は78歳。任期満了を迎える頃には82歳になっているということです。最近は80代でも元気いっぱいですし、他の候補も全員70代なので、たいした違いはないのかもしれませんが、そろそろ安心の老後を過ごしていただいても良いかもしれません。支援者も同じように歳を取りますので、中にはあの世から見守っているような人もいるかもしれません。そこに来て、現職はいろいろとやらかしているのです。


■ 渡辺敦雄候補の主張

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渡辺敦雄さんは、4年前の上野原市長選で全然票を取れなかった候補です。今回も地元紙が報じる情勢では、あんまり票が伸びていないらしく、厳しい戦いを強いられていることがわかりました。渡辺敦雄さんが掲げている公約は、ズバリ、新型コロナウイルス対策で「特別給付金1人5万円配る」というものでした。もはや、みんなの税金で票を釣っているとしか思えませんけれども、このパンチの効いた公約を掲げれば市長になれると思ったのでしょう。

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その証拠に、渡辺敦雄さんの選挙カーは、デカデカと「1人5万円」の文字が輝いています。自分の名前より「1人5万円」をアピールしているのですから、ワンチャン、5万円もらえるかもしれないと思う人に投票してもらう作戦です。しかし、この作戦は岡崎市長選に立候補した中根康浩さんが、まったく同じ公約で当選を果たしたものの、結局、議会の猛反発を受けて早々に撤回することになり、約束を破ったことから、今となっては「そんなことができるのか?」と疑問に思われる政策になってしまいました。実際、もしも実現しようと思った時には11億円ぐらいかかるとされ、市で自由になるお金が1億円もないというのに、どうやって11億円も捻出するのかと批判を浴びていました。そんな「怪しい5万円男」の渡辺敦雄さんですが、パンチが効いているのは公約や選挙カーの看板だけでなく、車から訴える言葉も同様です。この日は、この場所で村上信行さんが街頭演説をする予定で、村上信行さんの演説を聞くために近隣の住民が集まっていたのですが、そこに乗り付け、何を言うのかと思ったら、「お寺からお餅をもらっても、公職選挙法を守る渡辺敦雄!」でした。村上信行さんの家はお寺なので、お正月にお餅を配るようなことがあったのかもしれません。百歩譲って、それを公選法違反だと訴えるようなことがあったとしても、頭がおかしいのは、村上信行さんの街頭演説を待っている、いわば「支持者」に向かって、それを言ってしまうところです。こうなっちゃうと、ケンカを売っているとしか思えないのです。

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選挙運動では、人々の反感を買うようなことをしていて、公約は非実現的であると来たもので、今回はちっとも票が取れないだろうというのが市民の見立てでした。事務所の近所の人に渡辺敦雄さんの評判を聞いたら、「あっちゃんはね、人を騙すからダメなの!」とのことでした。過去に何かがあったのか、それとも、公約の5万円のことなのか。いずれにしても、渡辺敦雄さんのことを「あっちゃん」と呼ぶ、昔から渡辺敦雄さんのことを知っているお母さんがちっとも評価をしていないのですから、かなり厳しい選挙になっていたことは間違いなさそうです。


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