見出し画像

【選挙ウォッチャー】 新型コロナウイルス・最新情報(#67)。

かなり久しぶりになってしまったのですが、今日は、海外の状況をまとめる機会がございまして、世界の主要国がどのような状況になっているのかを書くことにしました。ただ日本に伝わってきているニュースをまとめただけではありますが、各国の状況を知るだけでも参考になると思います。


■ アメリカの状況

アメリカは今、過去最悪ペースで感染者が急増しています。感染者数は累計で1500万人を超え、今も感染拡大に歯止めがかかっていません。アメリカの人口は3億3000万人ほど。これは全人口の約4.5%が感染を経験していることになります。12月9日時点で、5日で100万人ペースで感染者数が増えていることになり、これは過去最悪の増加ペースです。入院している人の数は12月7日時点で10万2000人。1週間平均の1日あたりの死者数も2249人と過去最悪を更新。トップがバカだと国民の命を脅かすという話に真実味を持たせるデータです。なお、バイデン次期大統領は新型コロナウイルス対策を最重要課題に掲げており、来年1月20日の就任から100日間でワクチン1億回分の提供を目指すとしています。既にファイザー製薬が開発するワクチンは、アメリカの食品医薬品局(FDA)が基準を満たしていると発表しており、ワクチン接種の準備は着々と進んでいます。また、追加の新型コロナウイルス経済対策を日本円で190兆円規模に増額しており、景気への悪影響を回避するため、とにかく金をジャブジャブ突っ込むようです。


■ イギリスの状況

イギリスでは早くもワクチン接種が認可され、第1号は90歳の女性だったそうです。来週には80万回分が供給される見込みで、4000万回分の供給を受けることで合意しています。(日本は2021年上半期を予定していて、具体的な時期は未定です。)
今回のワクチンは、メッセンジャーRNAワクチンというタイプで、これまでのワクチンとは大きく異なり、前例のないタイプのワクチンです。そのため、長期的な副反応(5年後や10年後に深刻な影響が出るかもしれない懸念)については、まったくわかっていません。ただ、目先の危機を乗り越えるためには打たないわけにはいかないという状況もあり、特に、高齢者に関しては長期的な副反応の心配よりも、今、新型コロナウイルスに罹らないことの方が重要ではないかという指摘もあります。なお、イギリスでは94歳のエリザベス女王もワクチンを接種する予定だといいます。このワクチンは4万4000人を対象とした第3段階の臨床試験を終えていて、深刻な健康被害の懸念は報告されていないということですが、2人がアナフィラキシーショックに似た症状を示したということで、手当てを受けて回復しているものの、まだ様子を見る必要がありそうです。なお、この2人は過去にもアナフィラキシーショックを起こしたことがあるそうで、自分で使う注射器も持っていたということです。何らかのアレルギーのある人は、このワクチンでショックを起こすこともあるのではないかと考えられます。また、ロンドンに住む4歳~18歳の貧困層の子供8万4000人を対象にした調査では、子供の約40%がクリスマスにプレゼントをもらえず、50%近くがフードバンクに頼らなければ食事が取れない、33%が燃料費を払えないために自宅で暖房が使えないそうです。また、セックスワークに追い込まれる女性が急増しているとの報告もあります。

■ イギリスの「Eat Out Help Out」キャンペーン
イギリスでは、日本の「GoToイート」にあたる「Eat Out Help Out」という外食産業支援策が行われました。8月の月・火・水曜日に対象店舗で食事をすると、政府から50%の支援が受けられるというもの。10ポンド(約1380円)が上限で、予算は約715億円。このキャンペーンは8月限定で行われたものの、9月には新型コロナウイルスの感染が拡大。やはりこのキャンペーンが感染拡大の原因だったと言われるようになったのです。この批判に対し、ボリス・ジョンソン首相は「後悔していない」と述べていて、雇用は守られたし、政府としては「感染拡大の要因を作ったことを示す証拠はあまりない」という見解のようです。しかし、感染拡大によって、イギリスは飲食店が全国的による10時までとなっており、さらに接客業や娯楽産業がすべて閉鎖になり、いかなる状況においても同居世帯以外の社会的な接触や外食、趣味の集まりなどの禁止をするロックダウンも視野に検討していることがガーディアン紙によって報じられています。やはり「GoToイート」のようなキャンペーンは、イギリスの例を見ても感染拡大につながっているのではないかと考えられます。

■ 「GoToトラベル」利用者の感染リスクは2倍
日本では「GoToイート」に加え、さらに「GoToトラベル」というキャンペーンまで行われていますが、東京大学などの研究チームが2万8000人を対象に調査・分析した結果によると、GoToトラベルを利用している人は利用していない人に比べ、感染リスクが約2倍高いことがわかりました。こうしたことを考えても、感染が拡大傾向にある中でキャンペーンを続けることには大きなリスクを伴うことがわかりますが、日本政府は認めていません。それどころか、長崎の五島列島や鹿児島の種子島、トカラ列島などに旅行に行った人には5000円の補助を出そうと検討しています。もし離島で新型コロナウイルスが流行した場合、病院で見ることはできない上に、高齢化が進んでいるので、とんでもないことになります。こうしたリスクをまったく考えないところが日本政府の無能さです。


■ フランスの状況

フランスは今、ロックダウン状態にあります。経済を止めてまで感染拡大を止めようとしています。ロックダウンの効果があったのか、1日あたりの感染者数は減少傾向にありますが、下げ止まっている印象です。12月15日にはロックダウンの規制を緩和し、映画館や劇場、美術館や地方間の移動をさいかいする予定ですが、マクロン大統領は緩和の延期も示唆。ロックダウンの緩和には、1日の当たりの新規感染者5000人、集中治療室の患者3000人未満という条件を設定していました。なお、フランスの病院連盟は制限を緩和することは困難との見方を示しています。ちなみに、第2波のロックダウン措置では、フランス人の過半数が外出禁止の措置を違反しているとの調査もあり、約60%が1回はロックダウンに違反したことがあると回答。外出許可証に虚偽の理由を記載したり、家族や友人と会ったりするなどしたといいます。1回目のロックダウンの時に違反したと回答したのは約40%未満だったので、第2波の方がロックダウンが軽視されていることがわかります。


■ ドイツの状況

ドイツは、春の第1波を抑え込み、新型コロナウイルス対策が評価されている国でしたが、第2波はかなり苦戦しています。直近1週間の死者数はイギリスやフランスと並んでおり、他の国々と変わりません。なぜ、こんなことになっているのかと言うと「規制が緩いから」だと考えられていて、町をハードに封鎖しないと感染を抑えることは難しいのかもしれません。ドイツでは11月からロックダウンを始めていますが、小売店は営業を継続。クリスマス市も通常通りで、持ち帰りと言いながらも近くのスタンドでホットワインを飲む後継も見られるといいます。メルケル首相は「追加の措置をしなければ冬を乗り切れない」と述べており、一部の州で商店閉鎖などを強化。年内にワクチン接種を開始する予定でしたが、これは来年になる見通しだということです。


■ ブラジルの状況

ブラジルは相変わらず感染拡大が止まりません、そこで、サンパウロ州は独自に中国の製薬会社「シノバック・バイオテック」製のワクチン接種を来年1月25日から始めることを発表しました。治験が終了していないということで、ブラジルの連邦政府が承認していないものですが、「待っていられない」ということで、医療従事者や先住民、高齢者に段階的に接種するとしています。第1弾は900万人が対象。先進国はファイザーやアストラゼネカのワクチンを確保しましたが、新興国では人口に対して十分なワクチンが準備できていないということで、中国やロシアがワクチン外交を仕掛けているという背景があります。今年8月の時点では、サンパウロの児童や生徒の約16%が新型コロナウイルスに感染していたことがわかり、親の収入が低い子供ほど感染率は高く、貧困層の子供は富裕層の子供に比べて2倍近くの割合で感染していたこともわかりました。さらに、感染した子供の64.4%には、熱や咳などの症状がまったく見られなかったとしています。

■ 中国製のワクチンも世界で使われようとしている
日本はファイザーやアストラゼネカと契約しているので、中国製のワクチンが入ってくる可能性は極めて低いのですが、インドネシアでは12月6日に第1弾の120万回分のワクチンが到着。政府は大規模接種プログラムを準備そており、8月からワクチンの治験を行っています。インドネシアは、ワクチン製造に必要な原材料を調達することを明らかにし、今月に1500万回分、来月に3000万回分を受け取る計画です。この他にトルコでも中国製のワクチンの治験が進んでいます。


■ スウェーデンの状況

集団免疫の獲得を目指し、あえて「何も手を打たない」という方針を打ち出していたスウェーデンですが、現在はすっかり方針転換し、さまざまな規制をしています。これから冬本番を迎えるにあたり、アルコール販売の制限や学校閉鎖、映画館などの娯楽施設、9人以上の集会などを禁止。スウェーデンは医療崩壊寸前に陥っており、死亡率も上昇。コロナ対策をしない代わりに経済が回ると考えられていましたが、スウェーデンの上半期の国内総生産は8.5%減少、失業率ももうすぐ10%近くにのぼると見られます。レストランやホテル、小売店などは閉鎖され、結局は他の国々と変わらない数字に落ちているのです。つまり、深刻な感染拡大を引き起こしただけで何のメリットもなかったことがわかっています。


■ 日本の状況

世界中で感染拡大を防ぐために強いブレーキを踏もうとしている中、いまだアクセルを踏んでいる美しい国・ニッポン。いまだに「GoToトラベル」を中止するつもりはなく、どんどん旅行に出かけてもらおうとしているわけなのですが、東京、名古屋、大阪などでは病床が埋まりつつあり、今後、さらに感染者が増え続けるであろうことを考えると、医療崩壊は避けられない状況にあります。さらに、医師や看護師の離脱も深刻で、命の危険と隣り合わせの仕事をしているのに給料据え置き。他の患者が来なくなって病院が赤字になり、ボーナスが出ない人もいて、このままではますます離脱は避けられません。しかし、政府は医療従事者に「ありがとう」を送るだけで、収入を増やすための努力をしていません。一方、旅行や観光業にはどんどんお金を使おうとしているのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

どこもかしこも大変なことになっていることには変わりがないのですが、感染の拡大が深刻な国でも、何らかの対策を打とうとしていることはよくわかります。一方、日本は医療崩壊が目前に迫っているにもかかわらず、何をしているのかと言うと、「何もしていない」が答えです。無能の吉村洋文知事あたりが「大変だ!大変だ!」と言っているだけで、具体的な対策は何一つできていません。菅義偉政権も経済優先で、国民の協力頼み。これほど何もできていないにもかかわらず、多くの国民の脳味噌がアハアハになっているため、菅義偉政権の支持率は、JNNの世論調査で11.5%も下落したと言いながら、まだまだ55.3%もあり、国民の過半数は「これでいい」と思っているのです。日本はファイザーやアストラゼネカからワクチンを供給してもらうように約束していますが、アメリカやイギリスのように早い段階での目途は立っておらず、「来年の上半期」ということになっています。来年の上半期と言ったら、6月まで上半期です。普通に考えて、アメリカやイギリスよりは後回しになってしまうでしょうから、日本がワクチンの恩恵を受けられるのはまだまだ先だということになります。にもかかわらず、何も手を打たない無能ぶり。日本のヤバさが、まだまだ国民には伝わっていません。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。