見出し画像

【選挙ウォッチャー】 新型コロナウイルス・最新情報(#144)。

 よりによって、参院選で「NHK党」が1議席を獲得してしまい、情報を整理するのに時間がかかり、新型コロナウイルスの最新情報をお届けできていなかったのですが、こうしている間に新規感染者数が10万人を超え、過去最多を更新してしまいました。
 このたびの参院選でも、「参政党」「NHK党」など、「コロナはただの風邪」だと主張するタイプのアホ政党が続出。同じ周波数の人が一定数いるため、このご時世に、目をギンギンにしながらノーマスクをキメている人も少なくありません。行動制限もありませんので、このままだと感染者数が増え続ける可能性があり、一気に押し寄せた第7波に医療機関が耐えられないかもしれません。
 とにかく僕たちにできることは、なるべく新しい情報をキャッチし、感染しないように工夫をすること。命に関わる情報なので、本日も「無料」でお届けいたします。


■ 「BA.5」は、すべての変異を兼ね備えている

 現在、流行している第7波の中心は、「BA.5」という株になります。
 年明けから始まった第6波は「オミクロン株」と呼ばれていましたが、正確には「BA.1」という株が中心でした。それから「BA.2」になっていきましたが、最近までは少し落ち着いていました。
 ところが、参院選が終わったあたりから爆発的に感染が広がり、早くも新規感染者数が過去最多となりました。「BA.5」の感染力は「BA.2」の1.27倍となっているため、とにかく感染力の強さは過去最高クラスであると言えます。
 実は、この「BA.5」は、これまでのアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、「BA.2」までの特徴的な変異をすべて持ち合わせているという、完全体を手に入れています。
 アルファ株では、より細胞に侵入しやすい「N501Y」という変異が起こりました。これで最初に武漢で見つかった株よりも凶暴さが増しました。続いて、ベータ株やガンマ株では、より細胞に侵入しやすい「K417」という変異と「N501Y」が起こり、さらに中和抗体から逃れる「E484」という変異も見られました。デルタ株では、中和抗体から逃れる「L452R」「T478K」があり、過去の新型コロナウイルスの中で最もタチの悪いウイルスだったと評価されています。
 さて、今回の「BA.5」の特徴ですが、これまでに上げた特徴的な変異をすべて兼ね備えており、これまでのオミクロン株になく、デルタ株だけに存在した「L452R」という変異も持っています。つまり、「オミクロン株は軽症で済む」と言われてきましたが、この「BA.5」に関しては、従来のオミクロン株よりもタチが悪い可能性があり、最新情報をチェックする必要があるということになります。


■ 今後予測される「BA.5」の推移

東京都モニタリング会議で示された「BA.5」の疑いのある割合の推移(引用元リンク

 現在、東京都のモニタリング会議で示された「BA.5」の割合は56.4%ですが、このままだと8月の第1週頃にも、東京の新型コロナウイルスはすべて「BA.5」に置き換わるのではないかと考えられています。
 つまり、この夏に僕たちが警戒するべき株は「BA.5」であり、他の株の特徴を知らなくてもいいから、とにかくこの「BA.5」にどのような特徴があるのかを知っておくべきだということになります。

「BA.5」による流行は、アメリカより日本が先行している(Our World in Data COVID-19)

 実は、この「BA.5」は、世界に先駆けて日本で大流行しています。その最大の理由は、日本が「空港検疫」をやめてしまったこと。日本はコロナ対策よりも海外からの観光客に来てもらうことを優先したため、ほとんどの国で空港検疫を不要としてしまいました。「煩わしい検査をしないので、どんどん日本に来てください」という政策に切り替えたのです。
 ただでも空港検疫がザルだと言われた日本で、そのザルさえなくしてしまったものだから、新しい変異株が入り放題に入り込み、世界のどの国にも先駆けて「BA.5」が流行する国になってしまいました。入ってくることは避けられなくても、時間を稼ぐことができれば、「BA.5」の特徴を知って対策を考えられたかもしれませんが、その時間も与えられずに一気に大爆発しているので、医療崩壊が避けられません。早くも来週には医療が逼迫し始める地域が出ると考えられ、8月に入る頃には何かしらの制限をかけなければならなくなる可能性が出てきます。さて、「日本なんにもせんと君連合」の岸田文雄総理に、感染を止めるための対策が打てるでしょうか。


■ これから救急搬送がしてもらえなくなる可能性

救急搬送困難事案の発生件数は7月に入った頃から急上昇中である(引用元リンク

 総務省消防庁が発表している救急搬送困難事案は、7月に入ったあたりから急上昇をはじめ、現時点でデルタ株のピークを超えています。「BA.5」による倍化時間(新規感染者数が2倍になるスピード)は1週間未満となっていますので、来週には救急搬送してもらえない可能性が高くなります。気温も高くなり、熱中症で倒れる人も多くなるかもしれませんが、病院のリソースが足らなくなるかもしれませんので、僕たちは熱中症対策にも気を使わなければなりません。

1ヶ月もかからないうちに感染者数が10倍近くなっている(グラフは筆者作成)

 棒グラフと別に示されている線グラフは、1週間の移動平均になります。こうやって見ても、急激に上昇していることは明らかで、このままのペースで上昇してしまうと、一気に病床が埋まります。

新型コロナウイルス対策ダッシュボードより(引用元リンク

 理論上の空き病床数を示す「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」は真っ黒になっており、黒は「病床が提供できない状態になっている」ことを示しています。こうなると、中等症の人たちにも適切な医療を届けられなくなってしまうため、亡くならなくて済んだかもしれない人が亡くなり始めるということになります。
 まずは、現時点でかなり危機的な状態にあるため、なるべく人混みには行かないなど、皆さんの行動を変化させる必要性が生じています。僕も現段階で泊まりがけの取材については「要検討」とさせていただきます。


■ 全国の感染状況まとめ(7月18日版)

 さて、全国47都道府県の新規感染者数と主なトピックスを1行で紹介します。スマホでご覧いただいている方は2行以上になっているかもしれませんが、なるべく短い文章で簡潔に状況をまとめております。

北海道:1515人。札幌を中心に、十勝や石狩でも増加が顕著と専門家。
青森県:779人。月曜最多。八戸市が387人、三沢基地関係者54人。
岩手県:387人。1人の死亡が確認され、死者の累計が100人になる。
宮城県:598人。プロ野球楽天の西川遥輝選手が陽性、直前に選手変更。
秋田県:230人。連休の中日の検査なので数は少ないが、高止まり懸念。
山形県:194人。山形市で56人、寒河江市で31人、酒田市で15人。
福島県:408人。ふたば未来学園高校野球部が感染、福島大会出場辞退。
茨城県:1139人。小学校で複数のクラスターが発生、高齢者施設にも。
栃木県:616人。県独自警戒度を2に引き上げ、無料PCR検査を再開。
群馬県:754人。月曜で過去最多。グランドゴルフ大会は予定通り開催。
埼玉県:5639人。川口市が495人でさいたま市の439人を超える。
千葉県:4181人。君津市や市原市の高齢者施設などでクラスター7件。
東京都:1万2696人。今週中に2万人超えの予測。3連休全日1万超。
神奈川:9445人。3連休の中日なのに過去最多更新。1万人超え目前。
新潟県:681人。新潟市304人、長岡市73人、集団感染16件確認。
富山県:294人。富山北部高校、高朋高校の野球部員感染で予選を辞退。
石川県:615人。6日連続600人超え。病床使用率は17%で上昇中。
福井県:529人。3日連続500人超え。病床使用率は21%で上昇中。
山梨県:304人。最近はワクチンを3回接種した人でも感染多いと警鐘。
長野県:519人。60歳以上を対象に4回目のワクチン接種を呼びかけ。
岐阜県:665人。テーブルに4人まで、食事は2時間以内を呼びかける。
静岡県:1464人。静岡市341人、浜松市321人、沼津市116人。
愛知県:3258人。名古屋市1009人。小牧市民病院が入院患者制限。
三重県:907人。医師6人が感染し、市立尾鷲総合病院が救急受入停止。
滋賀県:1054人。甲賀市長の家族が感染し、リモートで職務遂行宣言。
京都府:1895人。宝住寺で「きゅうり封じ薬師大祭」コロナ終息願う。
大阪府:4859人。早くも入院を原則、中等症以上に限ると知事が発表。
兵庫県:3302人。先週比2千人増。尼崎市465人、西宮市565人。
奈良県:1049人。近鉄が運賃値上げを申請したが、奈良県知事が拒否。
和歌山:449人。保健所業務が逼迫で、無症状の濃厚接触者は検査せず。
鳥取県:285人。米子管内159人、倉吉管内56人、鳥取市は69人。
島根県:392人。松江管内166人。人口あたりの感染者は沖縄に次ぐ。
岡山県:732人。40代以下の感染が目立ち、ワクチン未接種が原因か。
広島県:1012人。広島市538人、福山市135人、東広島市69人。
山口県:424人。子どものいる人がホテル療養を希望するも保健所拒否。
徳島県:286人。3回目のワクチン接種は6割に留まり、頭打ちの状態。
香川県:413人。第6波のマンボウで一部の夜の飲食店に協力金出さず。
愛媛県:384人。新居浜のホテルがワクチン接種従事者にゼリーを提供。
高知県:218人。高知県庁の職員なども感染し、クラスター避けられず。
福岡県:4187人。28日連続前週超え。前川清コンサートは予定通り。
佐賀県:738人。佐賀市198人、鳥栖市99人。病床使用率は32%。
長崎県:568人。自宅療養中だった長崎市の104歳の女性が死亡した。
熊本県:1441人。熊本県高等学校器楽コンクール予定通り開催された。
大分県:646人。学校や児童施設などに県が二酸化炭素モニターを配布。
宮崎県:832人。月曜で最多となった。宮崎市402人、延岡市75人。
鹿児島:1190人。月曜千人は初。鹿児島市403人、霧島市231人。
沖縄県:1990人。米軍関係者は34人。病床の逼迫が最大の懸念事項。

 今日から各都道府県の新規感染者数を、東京都と同じ人口だった場合にどれくらいの感染者数になっているのかを示し、「東京よりマシ」「東京より酷い」かを一目で分かるようにしました。また、潜在感染者率は、現在進行形で新型コロナウイルスに感染している人が100人に何人の割合でいるのかを推計したものです。100人に1人以上になっている地域は、少なくとも何かしらの制限が必要だと思われます。

 本日の新規感染者数は、全国で7万6200人でした。死者数が増えるまでにはタイムラグがあるため、現時点では、さほど多くの死者数になっていませんが、これから死者数は増えるとみられ、医療崩壊を避けられないくらいに感染が爆発しそうであることから、第6波の「BA.1」の時よりも多くの方がお亡くなりになるのではないかという心配があります。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 参院選の前から「BA.5」による第7波が来るのではないかと言われていましたが、参院選が終わり、日本は本格的に第7波に襲われています。今回の参院選では「参政党」「NHK党」など、「コロナはただの風邪」だと主張する政党の台頭により、人々の意識が変わり、ノーマスクで行動する人も増えてしまいました。
 また、岸田政権が経済を止めてまで新型コロナウイルス対策をするとは思えないため、日本のお家芸である「成り行き任せ」になると思います。なので、この夏はなるべく公共交通機関に乗らないなどの工夫が必要です。しばらく休んでいましたが、今は週に1~2回ペースで「新型コロナウイルス最新情報」を無料でお届けしたいと思います。まずは、みんなで感染しないように努力をすること。行動を変えれば感染する確率も減らせます。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。