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【選挙ウォッチャー】 茨城県議選2018・無投票当選で決まった選挙区。

日頃からこのレポートを読んでいる方は知っていることかもしれませんが、そもそも「県議選」がどのようなスタイルで決まっている野かを知らない人も多いかと思います。県議選は各地区で選挙区が分かれており、人口に合わせて定数が決まっている中選挙区制度になります。エリアは狭いので小選挙区っぽいのですが、定数が1とは限らず、県庁所在地のある水戸市は定数が6となっています。どこでも必ず選挙が行われるとは限らず、無投票当選が決まってしまうエリアも少なくありません。今回、無投票当選になってしまったエリアは取材をしていないのですが、どんな人がどんなふうに無投票当選になっているのかを知った方がいいと思いますので、情報だけでもまとめてみることにしました。現地でウォッチングできていない選挙レポートには価値がないという観点から無料レポートとしてお届けいたします。


■ ひたちなか市(定数3)

[当]海野 透  75 現 自民党
[当]磯崎 達也 44 現 自民党
[当]二川 英俊 40 現 国民民主党

ひたちなか市は、現職3人がそのまま無投票当選を果たしており、自民党2議席、茨城県民フォーラムという名前の国民民主党が1議席を獲得しています。海野透さんは船がちっとも来ないことで知られる常陸那珂港の整備推進を訴えており、港湾にお金をかけるタイプの自民党のオジサンです。75歳と高齢でありながら、今年で9期目ということで、昔から地元の支持を得ているタイプです。磯崎達也さんも自民党で、大井川和彦知事と非常に仲が良く、10月に行われた県政報告会には1800人を動員するなど、圧倒的な強さを誇っています。二川英俊さんは日立製作所の労組出身で、日立の下請け会社などを丁寧に回り、しっかりと地盤を固める準備を展開。結局、その他に立候補する人がいなかったので無投票当選が決まりました。


■ 常陸太田市・大子町(定数2)

[当]石井 邦一 53 現 自民党
[当]西野 一  65 現 自民党

以前、常陸太田市議選を取材したことがありますが、どいつもこいつもジジィばっかりで、若い人や女性がほとんど立候補しないという悲惨な街でした。今回もジジィが2人立候補しただけで無投票当選が決まり、相変わらず悲惨な状態です。石井邦一さんは公明党の推薦も取り付けて盤石の状態。西野一さんも地盤は常陸太田市の中心地という人口の多いところで、町おこしを公約に掲げている典型的な自民党のオジサン。ともに後援会組織がしっかりしているので、そもそも圧倒的な強さを誇っており、無投票当選により、自民党が2議席を獲得しました。


■ 常陸大宮市(定数1)

[当]鈴木 定幸 51 現 自民党

以前、常陸大宮市議選も取材したことがあります。どいつもこいつもジジィばっかりなのは常陸太田市と同じです。水戸周辺の企業で働く人たちの住宅街となっているため、常陸太田市よりも栄えているのですが、鈴木定幸さんは市長の三次真一郎さんの支援を受けており、前回は無投票当選でした。今回も見事に無投票当選となったため、戦わずして自民党が1議席を獲得しました。


■ 小美玉市(定数1)

[当]島田 幸三 57 現 自民党

地元の市議会議員の9割が支持していると言われる島田幸三さん。2010年の選挙が新人4人による激戦だったのですが、そこで強さを見せつけたため、前回は無投票当選を果たしていました。今回も無投票当選となっており、課題は華々しくオープンしたものの、今となってはすっかり忘れ去られた存在になっている茨城空港の利用拡大。羽田空港の新飛行ルートが認められることになり、羽田空港の発着本数が増えることになり、茨城空港の立場はますます弱いものになってしまいました。かなり大きなものを背負わされているような気がしますが、果たして、島田幸三さんはしっかり仕事をしてくれるのでしょうか。自民党が1議席を獲得しています。


■ かすみがうら市(定数1)

[当]外塚 潔 57 現 無所属

外塚潔さんは、昨年の茨城県知事選で自民党が推薦する大井川和彦知事を応援しなかったとして、県議会の会派利札処分を受けた人物です。いくら自民党とはいえ、応援したくないものは応援したくないのだから、そんな人は応援しなければいいだろうと思うのですが、これからは自民党の支援を受けられない刑に処されてしまいました。こうなってくると組織票が減ることが予想されるため、野党としては攻め込むチャンスだと思うのですが、ここから立候補する人はいませんでした。また、自民党からの推薦はもらえなかったので無所属での立候補となったのですが、しっかりと公明党本部の推薦をもらうことには成功しているため、無所属の公明党推薦の候補として活躍することになりました。霞ヶ浦の堤防工事を前に進めるために頑張るそうです。無所属ながら公明党推薦が1議席を獲得です。


■ 常総市・八千代町(定数2)

[当]金子 晃久 34 現 自民党
[当]飯田 智男 59 現 無所属

常総市は水害のあったところで、金子晃久さんはゴリゴリの自民党。災害に強い町づくりを訴えており、元県議だった常総市長の神達岳志さんから後継指名を受け、そのまま地盤を引き継いでいるので、しばらく強い状況が続きそう。飯田智男さんは中村喜四郎さんの元秘書で、やはり言うことは「圏央道」です。中村喜四郎さんのグループは圏央道の命を懸けており、圏央道の常総IC周辺の開発をした実績を引っさげ、今回も盤石の状態で選挙に挑んでいました。この2人以外に立候補する人がいる様子がなく、無投票当選が決まりました。自民党と無所属が1議席ずつを獲得です。


■ 稲敷市・河内町(定数1)

[当]細谷 典幸 62 現 自民党

細谷典幸さんはゴリゴリの自民党で通算6期の大ベテラン。公明党からの推薦ももらっています。お父さんは県会議員の副議長を務めるほどのベテラン県議で、お父さんが亡くなって立候補した1997年以降、ずっと県議として活躍しています。お父さんが地元の漁協組合長などをしていたのですが、そのまま役職を引き継いで組合長となり、地元に複数の後援会組織を持ち、絶対的な強さを誇っているため、他の候補が戦意喪失状態。さすがに立候補しようという人はいないようで、無投票当選が決まりました。自民党で公明党推薦のオジサンが1議席獲得です。


■ 美浦村・阿見町(定数1)

[当]葉梨 衛 75 現 自民党

美浦村はJRAの競走馬のトレーニングセンターがある村として競馬ファンに知られている場所。阿見町はプレミアムアウトレットが有名でしょうか。毎回、日本維新の会や民主党など、その時に勢いのある政党の候補者たちと戦い、いずれもダブルスコア以上の差をつけての圧勝をしてきた葉梨衛さん。盤石の体制でライバルを退け続け、これまで7期を務めた大ベテランは、今回で8期目ということになります。御年75歳。選挙に強すぎることもあって、あえて戦わなくても寿命を迎える日が来るだろうということで、今回は無投票当選。公明党の推薦も受けており、この田舎で戦って勝つのは難しいと思われ、無投票当選にも納得。自民党が1議席を獲得しました。


■ 守谷市(定数1)

[当]小川 一成 71 現 自民党

桜川市選挙区の白田信夫さんの街頭演説の際に応援に現れ、実際に話を聞いてみましたが、とにかく話が長くて、面倒臭いジジィでした。「オマエの話はどうでもいいんだよ!」というのに、長々と話してご満悦という典型的なジジィです。茨城県議長や自民党県連の政調会長などを歴任してきた人物で、今は秋葉原で止まっている「つくばエクスプレス」を東京駅まで延伸することを公約に掲げていました。田舎だった守谷が都会になったことを自慢するタイプのオジサンで、つくばエクスプレスを中心とした再開発がうまくいっているのは、けっして県議会議員のおかげではないのですが、それをやったのは自分たちだという自慢があるのでしょう。公明党の推薦を受け、今日まで6期をやってきたジジィなので、選挙には圧倒的な強さを誇っており、今回は無投票当選が決まりました。


■ 結城市(定数1)

[当]臼井 平八郎 70 現 自民党

こちらも典型的なジジィの自民党議員。鬼怒川や田川の改修促進を国に要望し、50億円の予算を獲得できたことを実績として強調しています。まさに「国と県のパイプ役」だとアピールし、これからは「AI(人口知能)社会の基盤整備」「中高一貫校の実現」などを公約に掲げています。地元に立候補を目指す勢力がなかったことはないようですが、どうやら見送ったようです。選挙に勝てなければ無駄に無職になるだけなので、ここは慎重に見極めたようです。臼井平八郎さんも桜川市選挙区の白田信夫さんの街頭演説に応援に来ていたので会うことができたのですが、だいぶホゲホゲしていました。痛覚を麻痺させてホゲホゲしていないと政治家ができないんじゃないかと思えてきましたが、これまで6期の実績で、今回で7期目。自民党が1議席獲得です。


■ 下妻市(定数1)

[当]飯塚 秋男 66 現 自民党

深田恭子ちゃんのゴスロリで有名な「下妻物語」の聖地である下妻市は、茨城県議長を経て、現在は自民党茨城県連の総務会長というポジションです。県西地区の経済活性化を目指し、東京に直結する鉄道の誘致を公約に掲げています。第2の「つくばエクスプレス」みたいなものを下妻市にも通そうと考えているようです。人口を増やすためには鉄道や道路などのインフラが必要だと思っているようなのですが、それぞれの地区の県議がそれぞれに自分たちの都合の良い話を自由に通そうとしているため、茨城県全体のビジョンというものが見えてきません。だいたい、下妻市に「つくばエクスプレス」的なものを通したところで、果たして利用してくれる客はいるのでしょうか。こういう計画が普通に通ってしまい、再開発できれば赤字でも良いというスタイルでお届けされるから、僕たちはどんどん負の遺産を背負わされることになるのではないでしょうか。これまで6期やってきたベテランが無投票当選を果たし、自民党が1議席を獲得です。


■ 神栖市(定数2)

[当]西條 昌良 64 現 自民党
[当]村田 康成 41 新 無所属

当初は市議が立候補する計画を立てていたようなのですが、直前になって断念したため、一気に無投票当選が決まりました。茨城県議会の議長を務めたこともある重鎮の西條昌良さんは、これまで7期を務め、今回で8期目の挑戦です。公明党からも推薦を得ており、負ける要素のない万全の仕上がり。村田康成さんは神栖地区から市議が立候補してきたら激戦を覚悟しなければならないところでしたが、直前の断念によって命拾い。戦わずして議席を獲得することができ、選挙では「希望」を合言葉に戦う計画を立てていたようですが、その必要もなくなりました。自民党と無所属がそれぞれに1議席を獲得する結果になりました。


■ 鹿島市(定数1)

[当]田口 伸一 50 現 自民党

田口伸一さんはポジショニングの鬼です。自民党に籍を置き、錦織孝一さんが県議から市長に転じるにあたり、後継指名を受け、県議にスライドすることに成功。前回の茨城県議選の後に、すぐさま大井川和彦知事と錦織孝一との連携確保にあたり、態勢を固めてきたとされます。もちろん、こんな人なので公明党からの推薦をゲットしており、政策云々より「ポジショニング」で圧倒的な強さを手に入れ、今回は無事に無投票当選を果たしています。意外とこういうタイプの人間には警戒が必要だと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

約3分の1の選挙区で無投票当選が決まり、そのほとんどで自民党が戦わずして議席を獲得するという結果になりました。選挙があっても圧倒的な強さを誇っている人たちなので、きっと選挙があっても当選したのだろうと思うのですが、あまりに自民党が勝ちすぎです。これは田舎特有の現象だと思うのですが、地元の人たちが「この街をよくしてくれるのは、この人だけだ」と言われ続け、本当に仕事をしているのかどうかを見極めることなく投票するようになった結果、ホゲホゲとしたジジィどもが余裕で当選するだけの力を手に入れてしまったのだと思っています。

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