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【選挙ウォッチャー】 政治家女子48党・動向チェック(#54)。

 年利5%、元金保証、返してほしい時にいつでも返す。
 そんな謳い文句に誘われ、2021年11月に募集された旧NHK党の代表・立花孝志の「おかわり借金」には8億円が集まりました。当時は、選挙にも勝てず、人気は低迷。けっして先行きが明るいようには見えなかったにもかかわらず、次から次へと貸付の話が舞い込み、膨れに膨れて8億円になったことには、僕たちも驚きました。
 これを立花孝志は「自分への信頼だ」と豪語しましたが、一体、どんな人たちがお金を貸していたのかという話を調べてみると、「その顔が見えてこない」という恐ろしい実態がわかってきました。
 現段階では、立花孝志が利用されただけなのか、それとも、立花孝志もグルになっているのかは不明ですが、お金を貸した人たちが「見えない」というのは、明朗であることが求められる政治の世界において、あってはならないことです。


■ 大口貸付の債権者とは誰なのか?(#3)

 これまで3件の債権者たちを見てきたが、このうちの2件は、「本当に1000万円以上の貸付をするのだろうか?」と思うような家賃のアパートで暮らしていた。
 ここで言いたいことは、1000万円単位の貸付をする者であれば、豪華な家に住んでいるべきだということではない。例えば、5万円にも満たない家賃のアパートで暮らしながら、親から引き継いだ数千万円の遺産を大切にしている人かもしれない。僕が洋服について「着られれば何でもいい」と考えているように、「雨露が凌げればそれでいい」という価値観の人が住んでいるのかもしれない。
 ただ、もし本当にそうであれば、立花孝志はどれだけ罪深いことをしているのかということになる。なにしろ、立花孝志と大津綾香の党首争いばかりが注目されているが、どうして党首争いに発展したのかと言えば、事実上の破産宣言をかまし、その借金をすべて大津綾香に押し付けようとしたことがすべての始まりだ。
 海外逃亡中の詐欺師であったガーシーこと東谷義和に2億円の成功報酬を約束し、参議院で1議席を獲得したものの、こうした金満作戦がアダとなって借金を返済できなくなり、今では元本割れを起こそうとしている。安めのアパートに住み、節約に節約を重ねてきた人たちが1000万円以上の高額貸付をしてくれているのに、それを踏みにじる行為をしているのは、他ならぬ立花孝志ではないだろうか。

Hさんは党に4000万円を貸し付ける最大の大口債権者である(引用元リンク
利息として1%が支払われているが、わずか1ヶ月で40万円を稼いだ(引用元リンク

 2021年11月、衰退するN国党に最高額とも言える4000万円を貸し付けた人物が存在する。当時、立花孝志は最大でも1人1000万円までしか借りないと言っていたのに、なぜか例外的に4000万円の貸付が許されているのが、このHさんだ。なぜHさんが特別に高額貸付を許されたのかについては、やはり立花孝志に質問する必要がある。
 Hさんの住所は、大阪市城東区の鴫野駅から徒歩3分ほどの「メゾン・ミモザ」というアパートの306号室。このアパートは築30年、2DKで6万5000円前後が相場である。だが、実際にこの物件を訪れてみると、306号室という部屋は存在しないことがわかった。

「メゾン・ミモザ」に306号室なるものは存在しない
ポストも「101」「102」「201」「202」の4つである

 ご覧の通り、この「ミゾン・ミモザ」には全部で4部屋しかない。ポストを見ても、101、102、201、202号室しか存在せず、306号室などという部屋は「ない」のである。
 実は、306号室は存在しないが、306号室に手紙は届く。どんなカラクリなのかは、その横にあるポストが示していた。

居住者のためのポストの横に、一段と大きなポストが設置されていた
創発株式会社は、このアパートでバーチャルオフィスを経営している

 右のポスト以外の部屋は、このポストで預かる仕組みだ。
 なぜ、このようなことになっているのかを調べると、この「創発」という会社はバーチャルオフィスを経営しており、このアパートの登記を調べてみると、アパート全体の所有者が「創発」の代表取締役と一致した。

「メゾン・ミモザ」は平成22年に所有者が「創発」の代表取締役になっている

 要するに、「メゾン・ミモザ」というアパートには、101号室、102号室、201号室、202号室の4部屋しか存在しないが、バーチャル上では3階が存在し、おそらく301号室から順番に306号室が存在していると思われる。そして、このHさんは306号室を住所として、旧NHK党に4000万円を貸したというわけだ。
 なお、このバーチャルオフィスには住民票を置くことができない。そもそも306号室が架空の部屋なのだから、物理的に住むことはもちろんできないのだが、住民票を置いて住んでいることにするということもできないのである。つまり、ここは「表向きの住所」ということにしかならない。
 それにしても、Hさんは、なぜバーチャルオフィスを利用したのか。
 例えば、めちゃくちゃエロいアダルトDVDをネット注文したが、家にはカミさんがいるので、こんなものがカミさんに見つかったら離婚されてしまうということで、バーチャルの住所を用意し、そこに投函してもらうことはできるかもしれない。世の中にはそういう事情でバーチャルの住所を持っている人もいるだろう。だが、そんな理由なのだろうか。普通に考えれば、何かしら身分を隠したかったということになる。

4000万円という巨額の貸付をしているHさんは、一体、何者なのだろうか

 党にお金を貸し付ければ、確かに住所と名前は公開されてしまう。
 しかし、お金を貸し付けること自体は違法ではないし、住所と名前が公開されたところで、「N国党に巨額のお金を貸すアホ」として認識されることはあっても、それでただちに不自由が発生するとも思えない。他の債権者を見てもらえば分かるように、300人以上のアホが住所と名前を晒してお金を貸して、「お金が返ってこないかもしれない」という悲惨な状況に陥っている。アホではあるが、一様に住所と名前は公開しているのだが、4000万円を貸しているHさんだけは、なぜかバーチャルオフィスを利用しているのである。
 これもまた「政治家女子48党」の会計責任者である大津綾香に「訂正に係る政治資金監査報告書」を作成し、総務省に提出する必要が生じるかもしれない。というのも、時同じくして、このHさんをはじめとする合計4人が債権仮差押えの申し立てを行い、6月23日付で仮差押えの決定がなされたため、7月20日に交付予定だった8360万7500円の供託金は、その全額が法務局に供託されていると、大津綾香側からリリースされた。どうやら立花孝志が起こした裁判とは別に、自分たちの財産を守るためにアクションを起こしてきたことになるが、この住所と裁判上の住所は同じなのだろうか。身分を隠す必要があったのだとすると、裁判を起こした時点で台無しになりそうだが、いずれにせよ、どのような理由でバーチャルオフィスを住所としたのかを、ご本人に確認する必要がありそうだ。
 そもそもHさんは、4000万円という巨額のマネーをどのように調達して、立花孝志に貸し付けたのか。バーチャルオフィスを利用して、住所を隠したいと考えた人間だということからしても、その人物像にますます興味が行ってしまう。もし、貸した4000万円が返ってこなかった場合、このHさんは立花孝志と大津綾香、どちらを責めるのだろうか。


■ 借金は誰が返すべきなのか

 旧NHK党に存在するという約10億4000万円の「借金」
 現在、バーチャルオフィスを住所にしていたHさんをはじめ、4人が仮差押えに動いていますが、早い者勝ちとなって、Hさんたちにお金が返るかどうかは、現段階では分かりません。その可能性もあるにはありますが、もしかすると二束三文のお金しか戻らない可能性があります。

 いずれこうなることは、だいぶ前から指摘していましたので、もし巨額の貸付金が返ってこなかったとしても、もはや完全に「自業自得の域」でしかありません。
 さて、党が借りた借金の責任は、登記上、代表者である大津綾香が負うことになります。なので、何もなければ大津綾香が四苦八苦しなければならないことにはなるのですが、これまでの党のお金の流れを見れば、大津綾香に返済の義務が生じることは「ない」と考えるのが自然です。
 まず第一に、借金の返済が不能になり、事実上の破産宣言が行われた時の会計責任者は立花孝志でした。その数週間前までは代表も兼ね、立花孝志がすべてのお金を握ってきたのは周知の事実。大津綾香が自分の意思で使ったお金は、あったとしても微々たるものでしょう。
 そして何より、立花孝志には3億円近くの借金があり、その借金は返済不能に陥っています。返済能力のない人間に3億円を無利子・無期限・無担保で貸し付け、そのまま返済不能に陥っているので、立花孝志にその責任がないわけがありません。また、立花孝志には、党がお金を借りる前からお金にまつわるトラブルがありました。その代表的な例が、「立花孝志ひとり放送局株式会社」の株増資問題です。
 週刊文春から「詐欺の疑いがある」と指摘され、立花孝志は週刊文春を訴えましたが、もちろん、敗訴しています。立花孝志がお金にだらしがないのは、今に始まったことではありません。この話にカラんで、実は、スクープ性の高い話をお届けできるのではないかと考えていますが、小さなローカル政党だった時代からお金にだらしなく、国政政党になっても何一つ変わらないまま、キャバクラやゴルフに税金を使い、「党の借金」という名の「投資案件」を提示し、年利5%を約束。最終的に返済できなくなってトラブルになっていますが、自分を支持して、お金を貸してくれる人には「利益」を与える。これが立花孝志が採用してきたやり方です。しかし、政党助成金という「税金」から年利5%の不労所得を狙う人間が、バーチャルオフィスを住所として、政治資金収支報告書に名前を乗せ、その素性がまったくわからなくなっている。
 日本の政治の腐敗は、ついにここまで来たのだということです。N国信者にはわからないでしょうが、これは非常に深刻な問題なのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

わざわざ東水巻駅まで行ったのにスカだったことが、今でもトラウマになっている

 実は、住所として存在していないケースは、他にもいくつか散見され、虚偽の住所が申告されているのではないかとも考えましたが、粟飯原美佳をはじめ、N国党の事務員たちの能力が尋常じゃなく低いだけではないかという可能性が高くなってまいりました。
 国政政党の公的な書類なので、「住所を間違える」という基本的なミスを連発されても困るわけですが、N国党の職員の能力に1ミリでも期待できることがあるかと聞かれたら、間違いなく「ない」と思います。
 わざわざ福岡県水巻町まで出かけ、うだる暑さの中、駅から1.4キロも歩いていき、そこでご近所さんへの聞き込み調査をした結果、「N国党の事務員のバカどもが、どいつもこいつも使えない無能ばっかりなので、19と書かなければならなかったところを9と書いてしまっただけ」だと分かった時には、心の底から本気でぶっ飛ばしたいと思いました。
 これでまたお金と時間をかけ、現地まで行った末に同様のミスだったことがわかった日には、「ニートのスタンプラリーじゃねぇんだぞ、コラ!」とムカついてしまうに決まっているので、ここから先は、まずは東京で事前に情報を調べ、周辺についても調べ上げた上で、「やっぱりここに建物なんかあるはずないぞ!」ということになったら、改めて現地に向かいたいと思います。他の政党だったら、いきなりダイレクトで行ってもスクープを取ってこれるのだと思いますが、いかんせんN国党の能力に信頼性はゼロ。ちょっとだけ立て直す時間をいただきたいと思います。
 こうしている間に仙台市議選や柏市議選の取材もしなければならなくなってしまうので、次の日程がなかなか定まりませんが、N国党のお金の流れはいずれにしてもダーティーなので、スクープは止まりません。

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