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【選挙ウォッチャー】 各務原市議選2021・分析レポート。

2月21日告示、2月28日投開票で、岐阜県の各務原市議選が行われました。定数24に対し、31人が立候補したため、そこそこの激戦と言えそうです。この選挙の最大の見どころは、日本維新の会の新人が2人立候補していることです。先週の大分市議選でも日本維新の会が初議席を獲得。今回は一気に2議席を獲得しようという目論んでいるのですが、果たして、うまく行くのかどうかが気になるところです。また、れいわ新選組のポスター貼りをキッカケに選挙に立候補した女性もいるのですが、果たして、当選するのでしょうか。

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この各務原市というところは、かなり特殊な所です。川崎重工やトヨタ傘下の岐阜車体工業、エーザイなどがあり、航空産業と自衛隊の街として、そこそこの税収を誇っています。そのため、公園はかなり綺麗に整備されているほか、さまざまなハコモノが立ち並び、まだ使えるはずの市役所の庁舎も建て替え工事が進められています。これから先細りが確実視されている中、ソフトではなくハードにお金をかける事業が継続しているのですから、僕の目には「時代錯誤の街」にしか見えませんでした。

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現在は約80億円ほどかけて新市庁舎を建設しているのですが、さらに70億円かけて新総合体育館を作ったり、小学校を増設する計画があるというのですから、ハコモノ利権に狂っています。バブルの時代ならともかく、コロナ禍で日本経済が全体的に落ち込み、これからますます税収が見込めなくなる恐れがある中で、人ではなく、ハコに金を注ぎ込み続けると言っているのですから、どれだけ愚かな人々が議員をやっているのかという話です。


■ 日本維新の会は議席を獲得できず

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自民党に逆風が吹き荒れる中、各地で日本維新の会が議席を獲得しつつあるわけなのですが、「自民王国」である岐阜県内の自治体で、果たして、日本維新の会が議席を獲得できるのかどうかが注目されていました。結果から言うと、日本維新の会から2人が立候補したものの、2人とも落選する厳しい結果になったのですが、これは岐阜県内の日本維新の会が組織されていないことが原因です。まず、林大貴さんも宮嶋洋一郎さんも「選挙事務所」が存在しませんでした。つまり、たくさんの選対ボランティアに支えられているわけではなく、林大貴さんは市の中心地を選挙カーで走りまくるだけになっていました。

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東京や大阪と異なり、岐阜県にはまだ選挙を形にしてくれるようなスタッフがいないのだと思います。林大貴さんも宮嶋洋一郎さんも組織を持つわけではなく、独自の戦いをしているので、これでは票を積めるはずもない。「中部地方は維新が弱い」と言われていますが、これは単純に、選挙を成立させられないくらいに「人がいない」ということに尽きると思われ、しばらくの間は岐阜県で日本維新の会が猛威を振るうようなことは起こらないだろうと予想しています。ただし、そんな中でも林大貴さんは大健闘したと言ってもいいかもしれません。28歳と若いため、「若さ」に期待する人たちが「維新」のブランドもあって、林大貴さんに投票したのだと思います。たらればの話になりますが、林大貴さんに一本化できていたら当選していても不思議ではなかったのではないかと思います。

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もし、岐阜県内で維新が議席を獲得するようになる時代が来るとすれば、ほとんど無投票当選に近い状態で維新の候補者が当選してしまい、岐阜県内でゴリゴリに選挙を手伝う人間が生まれてしまった時です。そういった事情で言うと、長野県では既に選挙を手伝う人間は生まれており、今のところはまだ勝てていないまでも、戦いとして成立するぐらいにはなっています。これは岐阜県より長野県の方が維新の進出を許しやすい環境にあることを意味しています。

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今回、宮嶋洋一郎さんは自宅を選挙事務所として登録していたと思われるのですが、自宅はこんな感じで荒廃しており、これで選挙当日を迎えているのですから、なかなか整理ができていません。僕も部屋の中が汚いので、なかなか他人のことを指摘できないのですが、選挙事務所はいろんな人が訪れる所なので、お店と同じです。清潔感のない陣営は選挙に勝てません。

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肝心の「維新」の貼り紙さえ、こんな感じです。今の「維新」の政治を見て何も思わないぐらいのポンコツなので、看板がこんな感じになっていても何とも思わないのかもしれませんが、この様子を見た瞬間、各務原市では1議席も取れないことを確信しました。せめて1人に絞って当選を目指すべきだったと思いますが、そういった調整もできていないのですから、そこに戦略らしい戦略というものは存在しなかったということです。


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