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【選挙ウォッチャー】 茨城県議選2018・東海村選挙区レポート。

今回の茨城県議選で、絶対に触れないわけにはいかない「争点の中心地」、それは間違いなく茨城県東海村だと思います。日本原燃が運営する築40年以上経って老朽化している東海第二原発。原発が再稼働できなければ経営が悪化してしまう会社だけに、東海第二原発の再稼働は必須なんですが、もし東海第二原発で万が一の事故が起これば、今度という今度は、日本の首都である東京が終わる可能性があり、福島第一原発事故の反省をまったく生かすことなく、いよいよ本格的に日本を終わらせる可能性があるのです。

下路 健次郎 46 現 自民党
川崎 篤子  65 新 共産党
橋本 重郎  54 新 無所属

東海村の定数は1です。東海村で暮らしている人たちは東海第二原発をはじめ、原子力ムラの研究員や作業員であることが多いため、圧倒的な組織票が原発推進派の候補に入る形になります。しかし、ゴリゴリに押し進められれば押し進められるほど反発する人が増えることも事実で、東海第二原発の再稼働を止めようと考えている人たちは絶対に自民党には投票しません。東海村の県議選がどのようになるのかは、今後の東海第二原発の運命を大きく左右すると言っても過言ではなく、ここを見逃すわけにはいきません。青森県の六ヶ所村長選も取材しているほどの僕なので、ここは大注目なのです。


■ 東海第二原発の置かれている現状

福島第一原発事故では周辺の病院に取り残され、のちにバスで避難させられたものの、バスの中で次々と患者が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。ネトウヨは「福島第一原発事故で死んだ人はいない」などと言っていますが、実際には死者は出ています。本来であれば、こうした反省を踏まえて東海第二原発で事故が起こった時に、近隣の病院に入院している自力で避難ができない患者たちをどのように避難させるのかということが問題なのですが、実は、この問題は今なお解決していません。

東海第二原発から約3キロしか離れていない東海病院では、入院患者を屋内に退避させ、避難できる人を石岡第一病院に避難させる計画です。それでも動けない人は、放射性物質が建物内に入るのを防ぐ装置が設置された2階病棟で屋内退避を続け、救出されるのを待つということになっています。しかし、病院のバッテリーは3日間しか持たず、それ以降は電力のない状態で過ごさなければなりません。当然、酸素ボンベなどの電力を必要とする患者の命は危険に晒されることになります。これでも2年前までは1日半しか持たないものを、国の補助金などを使って工事を実施し、燃料タンクが増強されて3日に延びたのだそうです。こんな状態なので、まったく解決になっていないと言えます。

茨城県の試算では、30km圏内の人たちを避難させるためには2800台のバスが必要で、茨城県バス協会は今のところ「対応できない」と答えています。また、コンクリートで囲まれていて密閉性の高い住宅であれば屋内退避も有効ですが、密閉性の低い戸建て住宅などに住んでいる人たちは屋内退避は被曝を意味します。原子力規制庁は各自治体がSPEEDIのようなシミュレーションシステムを利用して、屋内退避するべきかどうかを判断すればいいとしていますが、これは自治体に責任を押しつけて国の責任を放棄するものであり、福島第一原発事故ではSPEEDIが隠蔽されてしまったほどです。こうした「情報が公開されない」という問題についても何一つ反省しないまま、こうした非現実的な避難計画が策定され、まるで解決しているかのような議論が成されているのです。これで茨城県民の命が守られていると言えるのでしょうか。


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