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【選挙ウォッチャー】 参院選2019・NHKから国民を守る党の政見放送ファクトチェック1。

比例区から立候補しているため、約18分間にわたり、立花孝志が「NHKから国民を守る党」の政見放送を行ったのですが、この動画が234万再生を超え、若者を中心に浸透しています。しかし、事実と異なる表現が数々見受けられましたので、しっかりファクトチェックをして、有権者が騙されないように検証したいと思います。


■ NHKから国民を守る党の政権放送の検証

「私は、元NHK職員で、NHKから国民を守る党代表の政治家ユーチューバー、立花孝志でございます。今から、まあまあ面白い政見放送をしますので、皆さん録画をしてYouTubeにアップロードしてください。この放送に著作権はないので、どんどんYouTubeにアップロードして拡散してください。NHKから国民を守る党の公約は、ただ1つ。それはもちろん、「NHKをぶっ壊す」でございます。さあ、テレビの前のあなたもご一緒に、NHKをぶっ壊す。スタジオにいるNHK職員の皆さんもご一緒に、NHKをぶっ壊す。やるわけないですね。「NHKをぶっ壊す」とは、NHKに受信料を支払わない方には、NHKの電波をストップするということです。専門的な言葉を使うとNHKスクランブル放送の実施です。NHKをぶっ壊す」

立花孝志は、どうせ落選しても「参院選には99.9%当選できる」と豪語しているため、6月9日に行われた堺市長選に立候補。結果は240万円の供託金が没収されるレベルのボロ負けだったのですが、この選挙で葛飾区議の資格を失っており、現在は浪人中です。なので、厳密に言えば「政治家ユーチューバー」ではありません。それと「ユーチューバー政治家」ではなく「政治家ユーチューバー」だと名乗っていますので、立花孝志は政治家ではなく、あくまでメインは「ユーチューバー」だということになります。「今からまあまあ面白い政見放送をする」と宣言していますが、そこまで面白くはないことも書いておきましょう。

「なぜ、NHKをぶっ壊さないといけないのか。それは、NHKの男女のアナウンサーが不倫路上カーセックスをしたのに、NHKはその事実を隠蔽しているからです。皆さん、不倫路上カーセックスですよ。夕方の「まるごと山梨」というニュース番組のキャスターをしていた男性アナウンサーと女子アナが、放送終了後、不倫路上カーセックスをしていた事実を写真週刊誌が報道しました。しかし、NHKはいまだにこの事件を隠蔽してるのです。3年前の出来事です。男性アナウンサーは、そのまま今もNHKの職員をしておりますが、女性アナウンサーの方はクビになっているようです。これ、明らかにセクハラでもありますし、パワハラですよね。こんな不祥事をNHKはいまだに視聴者に説明せず、事件発覚の翌日に、不倫路上カーセックスをしたキャスター2人を降板させ、不倫路上カーセックスをいていないと思われるキャスターに差し替えました。キャスターを差し替えた理由を視聴者に説明せずです。まあ、よくも、こんな重大な事件を視聴者に説明もせず、しれーっといてられるなと思います。不倫ですよ。路上ですよ。カーセックスですよ。皆さん、許せますか。もう1回言いますよ。不倫ですよ。路上ですよ。カーセックスですよ。まだ言いますよ。不倫路上カーセックスですよ。とにかく不倫路上カーセックスをしているNHKをぶっ壊す」

NHKをぶっ壊さなければいけない理由が、アナウンサーの不倫路上カーセックスだそうです。もっと問題はたくさんあるだろうに、「アナウンサーのカーセックス」というすこぶるどうでもいい理由で「壊すべき」だと主張している立花孝志。だいたいカーセックスが理由だったとしても「放っといてやれよ!」という話で、わざわざニュースの終わりに「二人がカーセックスをしていたのでクビにします」と宣言しなければならないものでもありません。そんなもの「察してやれよ!」の一言であり、公共の電波に乗せて「二人はカーセックスしてたからクビになったんですよ」という説明をされて嬉しいのは、葛飾区議時代に「トイレおしっこ配信キボンヌ」のメッセージを若い女の子に送ってしまう立花孝志のような変態ぐらいしかいないと思います。どの口でセクハラだと言っているカスなのでしょうか。ただ「カーセックス」と言いたいだけという、言葉を覚えたばかりの小5みたいな放送で喜んでいる51歳。どんな精神年齢をしている奴が国会議員になろうと言っているのでしょうか。

「私は2005年にNHKを退職して以来、14年間、NHKに受診料を支払っていません。NHKから20万円くらいの請求書が届いていますが、すべて踏み倒しています。もちろん、NHKから国民を守る党所属の27名の現職政治家も、全員NHK受信料を支払っていません。NHKの受信料を不払いしていても政治家ができるのです。さあ、あなたも一緒にNHKの受信料を踏み倒しましょう。NHKをぶっ壊す」

この部分は完全なるフェイクです。立花孝志はこれまで何度もNHKの受信料を支払っています。他人には受信料を払わなくていいと言っていますが、自分はちゃっかり受信料を払っているのです。最近では積極的に支払っているし、葛飾区長に対してNHKに代わって「ちゃんと受信料を払え」という住民訴訟を起こしているほどです。政見放送で嘘を言ってはいけません。

「もう既にNHKに受信料を支払っているというあなたも、遅くはありません。銀行などの自動引き落としでお支払いのあなたも大丈夫です。NHK受信料を不払いする方法をご紹介させていただきますね。まず、NHKフリーダイヤル0120151515に電話して、あなたの住所とお名前、電話番号を伝えてください。そして、自動引き落としから継続振り込みに変更してください。これだけ言えばOKです。そうすると、自動引き落としは止まり、NHKから納付書が送られてきますが、そのまま無視してください。えっ、NHKの受信料支払わなかったら集金人がやってきて怖いとお考えの方、たくさんいらっしゃると思います。でも、大丈夫です。NHK撃退シールというのがあります。NHK集金人の訪問がぴたりと止まるNHK撃退シール、全国の皆様に無料でお配りをさせていただいております。また、私、立花孝志の名前を使ってください。NHK集金人は私の名前を言うだけで、「立花さんに電話しますよ」って言うだけで逃げていきます。詳しくは、その理由についてYouTubeをご覧いただきたいと思いますが、NHK受信料不払い専用コールセンターというのも、私ども、NHKから国民を守る党には準備がございます。東京03-3696-0750。こちらの方にお電話いただけれえば、朝の10から夜中の11時まで5人のオペレーターが受信料不払いをサポートさせていただきます。NHKをぶっ壊す」

これもフェイクです。NHK撃退シールを貼っていても、NHKの集金人がやって来ます。ぴたりと止まりません。もし、本当にぴたりと止まることが認定されると、選挙期間中にも配っているシールに価値が出てしまうので、どっちみち公職選挙法的にアウトになります。つまり、公式に「ぴたりと止まらない」と認められているから取り締まりを受けないわけで、立花孝志の名前を言ったら「逃げていく」という表現も嘘です。ゴネまくって埒が開かないから撤退することはあるかもしれませんが、べつに逃げているわけではありません。立花孝志は日頃からまったく逃げていない相手にも「逃げる」という表現を使っています。単なる口癖です。

「いやぁ、このね、NHKのスタジオで、このNHKを、NHKの受信料に不払い。受信料を踏み倒す方法をね、このスタジオで大きな声で言える。そしてこれが、全国のNHK、全国のテレビで流れて、さらにそれがYouTubeで何度も何度も再生される。楽しいな、これもう、NHK潰れるでしょ。ぜひ一緒にNHKぶっ壊していきましょう。NHKをぶっ壊す」

完全にテロリストの発想です。選挙というシステムを使い、億単位の供託金を払い、全国のテレビで「カーセックス」を連呼して、NHKの受信料不払いを呼び掛けるメッセージを全国に放送したかったのです。NHKを使って全国にCMを流しているのと同じ発想をしています。これは立花孝志の趣味です。だから楽しいのです。これが全国に流れたところでNHKは壊れません。理由は、さっきから立花孝志が言っていることが嘘だからです。受信料の不払いをしようとしても、一部の人はうまいこと不払いに成功するかもしれませんが、裁判を起こされて余計にお金を払わされる被害者が出ます。この被害者は「NHKから国民を守る党」に騙されて不払いをした末に、余計なお金を払わされることになる人たちです。こういう人が詐欺に引っかかるのでしょう。

「皆さんはスマートフォンをお持ちですか。私は現在51歳です。2年ほど前からスマホを利用していますが、便利ですよね。でも、なんと、NHKは、このスマートフォン、アイフォーンもそうですよ。ワンセグだけじゃないんです。スマホ、アイフォーンも含めて、パソコン、インターネットから受信料を取ろうとしています。今年、NHKのこのインターネットでNHKの放送を流すという法律が国会通過しました。来年からはNHKの放送が皆さんのスマホやパソコンでも流れるようになります。もうね、むちゃくちゃなんですよ。これね、悪いんは国会議員です。いわゆる既成政党に所属している国会議員が、NHKのこのようなムチャクチャな要求をそのまま鵜呑みにしているというか、それをそのまま受けて、国会でNHKの言うことをそのまま証人してるっていう状態です。だから皆さん、選挙に行ってもらわなきゃいけないんです。ぜひ、スマホやパソコンから受信料を取ろうとしているNHKを皆さんと一緒に潰していきたいと思います。NHKをぶっ壊す。そして、NHKを応援している国会議員もぶっ壊す」

確かに、将来的にNHKがパソコンやスマホからもNHKの受信料を取る可能性はあります。しかし、これはテレビが生き残りをかけて、ラジオがラジコになったように、テレビもネット配信をするようになった時の話です。しかも、もしネット配信するとなると、絶対的にアプリを起動することになります。この時点で絶対的にスクランブル放送になってしまうので、立花隆志がいちいち「スクランブル放送の実施」などと言わなくても、人々がテレビを見なくなり、アプリを起動してテレビを見るようになった時点で、絶対的なスクランブル放送の時代がやってくるわけで、少し考えれば分かることが分からない人が「NHKから国民を守る党」に投票しているのです。御愁傷様です。

「さて、NHKから国民を守る党に立候補している約40名の候補者や、NHKから国民を守る党に所属している27名の現職政治家は、そのほとんどがエリートではありません。代表の私を筆頭に、大学を卒業していない者が大半で、中には前科者もおります。いわゆる庶民の集まりです。一方で、今の日本の政治家は一流大学を卒業したエリートと呼ばれる人たちがほとんどです。頭のいいエリートが国会に集まって、やっていることと言えば、消費税の増税とか、NHKの受信料を無理矢理払わせる法律を作ったりとか、先程申し上げたとおり、スマホでも受信料を取ろうとしている。ろくなことしてません。誰がスマートフォンでNHKの番組を見たがってるんですか。スマホで受信料を取る前に、国会議員は国民の声を直接聞いたらどうですか。NHKの受信料制度こそ国民投票をして決めるべきだと思います。NHKをぶっ壊す」

これぞ「反知性派カルト集団」の真骨頂と言えます。国会議員になぜエリートと言われる人が多いのかと言ったら、日本の問題をしっかりと考えられる頭の良い人たちに議員になってもらい、さまざまな問題を解決してもらいたいからです。中卒や高卒でも頭の良い人はいますし、そういう人が議員になって正しい判断をしてくれるのであれば、多くの人は学歴に関係なく投票することでしょう。しかし、「生粋のバカ」は困るのです。NHKから国民を守る党の場合、学歴以前の問題として「頭がイカれている」レベルの人がたくさん立候補しています。

学歴以前の「生粋のバカ」が議員になると、政治的判断がメチャクチャなことになります。今、日本が抱えている問題はNHKの受信料だけではありません。まさに人の命がかかっている問題がたくさん横たわっているのに、議員になる前から平気で嘘をつき、どう見ても脳味噌が沸いているレベルの候補者たちが揃いも揃っているNHKから国民を守る党に投票するのは、日本を滅ぼすことにつながりかねません。NHKから国民を守る党に投票してはいけません。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

全文を書き起こし、ファクトチェックを進めていこうと思っていますが、無駄に18分もあるので、めちゃくちゃ長文になってしまいます。なので、前後半に分けてお届けすることになりました。なぜ立花孝志が全国の選挙区に候補者を擁立したのかと言うと、全国の選挙区に候補者を立て、2%以上の得票率を獲得すれば、政党要件を満たすための条件が整うからです。当初は全国比例で2%を満たすことが大切だと思っていたのですが、実は違ったのです。全国の選挙区でも2%を超えていれば、政党要件を満たすことができるようになる。それでも1人も当選しなければ意味がないじゃないかと思うかもしれませんが、立花孝志は現職の国会議員をNHKから国民を守る党に1人以上入れることで、政党要件を満たし、巨額の政党助成金を得ようとしているのです。まさに詐欺師のような考え方。これを阻止するためには、各選挙区でもNHKから国民を守る党に投票しないことが大切です。世の中には同じレベルのアホがたくさんいるので、共鳴してしまい、投票する人はそこそこいるはずです。しかし、話せばわかる人たちが投票しないためにも、このファクトチェックには重要な意味があるのです。どんなに面白かったとしても、反知性派カルト政治団体に議席と巨額の政党助成金を与えるようなことにならないように、NHKから国民を守る党に投票してはいけません。

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