息子が朝ごはんをつくってくれる。

2歳の息子の自宅保育を分担するために自宅の仕事部屋で働く時間を6時から15時までにした。それまでは妻が、それ以降はわたしが息子の面倒を見る。15時までに仕事が終わらなければ息子が寝たあとに残りを片づける。そんな夫婦交代制でこの非常事態を乗りきる作戦である。

でも、これがなかなか思ったよりも大変で。朝の5時過ぎにまだ慣れない身体をベッドから引きずりおろし、仕事部屋の椅子へなんとか座らせるもののピクリとも動かない。しかたなく頬を何度か叩いてやり、気つけがわりの熱いコーヒーを口にふくませると、ようやくゲホゲホと咳きこみながらわたしが意識を取りもどすといった感じである。

そんな父の姿を見かねたのだろうか。しばらくして起きてくる息子が朝ごはんのお弁当をつくってくれるようになった。

今朝も息子は新幹線のお弁当箱を片手に、仕事部屋のドアを大好きなたまごのおもちゃを割るときのように「カパッ」と笑いながらあける。そのたまごのなかには寝不足気味の生まれたての中年が座っている。おぎゃあ。

息子に「どうじょー」と渡されたお弁当箱の真ん中には、例のたまごのおもちゃがカパッと割られていて、付け合わせには玉子焼きに玉子寿司にゆでたまごに目玉焼きにとタンパク満点のおもちゃたちが並び、デザートにはレモンのおもちゃまで添えられている。ひとくち食べれば真っ黄色に輝きだしそうなサイケデリックな見た目がなんとも食欲をそそるじゃないか。と自らに言い聞かせておく。

でも、実際に「もぐもぐ、おいしいね」と息子といっしょに食べているうちに元気がみなぎってくるから不思議なものである。そのおかげで今日もなんとか一日を乗りきることができた。そして、はやくも明日のお弁当が楽しみである。次はバナナにパイナップルにトウモロコシも入っていますように。

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