ちちのうた

妻と息子(6歳)と父の日々。|漫文『ちちのうた』https://instagram.c…

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妻と息子(6歳)と父の日々。|漫文『ちちのうた』https://instagram.com/chichinouta/

最近の記事

漫文『ちちのうた』(総集編2)

01. 「餅巾着」 02. 「父の背中」 03. 「SDGs」 04. 「承知いたしました」 05. 「妻の威を借る父」 06. 「ありがとう」 07. 「父の将来」 08. 「ピアニカ」 09. 「三角関係」 10. 「サプライズ」 11. 「ゆっくり ゆっくり」 12. 「容疑者」 13. 「ツンデレ」 14. 「厳格な父」 15. 「これからもよろしくお願いします」 ●『ちちのうた(総集編1)』はこちら ●『ちちのうた(全編)』はこちら

    • 妻という生きもの

      【食】01. 「大好物」 一輪の花の香りを愛でるようにアメリカンドッグの匂いを嗅ぐ。 02. 「禁断の」 懲りずにまた密会している。「もう二度と食べない」と縁を切ったはずのピーナッツバターとキッチンで。 03. 「食材」 こいのぼりを「おいしそう」と見上げる。 04. 「おにぎり」 炊飯器に残ったごはんを冷凍するためにラップで包むと、そのまま食べはじめた。 05. 「胸やけ」 ワクチンを打ちおえた翌日に吐き気を訴えたので「副反応かも」と夫が心配していたら「カップ麺ふた

      • 息子が生まれたときの日記が出てきた。

        息子が6歳になった。なんだか懐かしくて過去のあれこれを見返していたら、息子が生まれたときの日記が出てきた。あえてそのままを家族の記録としてここに残しておこうと思う。すこし恥ずかしいけれど。

        • 漫文『ちちのうた』(総集編1)

          01. 「助けて」 02. 「ジャングル」 03. 「ギャン泣き」 04. 「スタートダッシュ」 05. 「拍手」 06. 「負けられない戦い」 07. 「ばあ」 08. 「巧妙な手口」 09. 「結婚記念日」 10. 「マイホーム」 11. 「ママのおしり」 12. 「起死回生」 13. 「タイ風」 14. 「日報」 15. 「おならどころではない」 16. 「妻の発明」 17. 「参りました」 18. 「妻の告白」 19. 「即答」

        漫文『ちちのうた』(総集編2)

          3歳語辞典

          4歳になった息子へ おめでとう。お風呂あがりに見たきみの背中はこんなにも小さいのになんだかとても頼もしくて涙があふれてしまったよ。なんだろう。この感情は。よくわからないけれど、どんどん大きくなっていく3歳のきみがよく使っていた不思議な言葉たちをここにまとめておく。いつか忘れてしまわないように。2歳のときよりも話せる言葉が大爆発して思ったよりも時間がかかってしまったけれど。許してほしい。 父より 01. 「鼻をほじってたらすごい大きな鼻くそが出てきたの」 まず、きみがはじ

          3歳語辞典

          息子が保育園から幼稚園に転園する。

          保育園最終日。息子は目覚めると開口一番に「きょうさいご!」となんとも嬉しそうに言う。どうやら保育園に行かなくなったらママやパパとずっといっしょに遊んで暮らせると思っているらしい。「次は幼稚園だよ」と伝えてもまったく聞く耳を持ってくれない。 妻が「先生やおともだちとお別れするのさみしくないの?」と聞くと、息子は「うーん」と言葉に詰まり、じっと考えこんでから「うれしい!」と断言する。そして「もう終わりにしたーい!」と笑う。だめだこりゃ。 そんな息子だったが、いざ保育園の最後の

          息子が保育園から幼稚園に転園する。

          幼稚園の面接をノーパンで受けかける。

          新居への引っ越しを機に近所の幼稚園の面接を受けることにした。 すこしは直前に練習でもしておこうかと「お名前は?」と聞くと、息子は自分の名前を元気よく答えたのち「ズボンは水色です!」となぜか本日のファッションポイントまでご丁寧に添えて教えてくれる。 次に「好きな食べものは?」とたずねると「うどんです!」とこれまたハキハキ答えたのち「好きな食べものは?」と逆質問まで返してくれる。 ただ、ここで「すごーい!」とほめてしまったせいだろうか。それから息子はなにを聞いても答えようと

          幼稚園の面接をノーパンで受けかける。

          2歳語辞典

          3歳になった息子へ おめでとう。とてもうれしい。そして、とてもさみしい。いつか忘れてしまわないように。2歳のきみがよく使っていた不思議な言葉たちをここにまとめておく。 父より 01. 「ぞおーう」 きみはゾウの鳴き真似をするときに「ぱおーん!」ではなく「ぞおーう!」と叫んだ。すこし自己顕示欲が強すぎるゾウなのかもしれない。 02. 「ごみだこ」 きみはゴミ箱を「ごみだこ」と呼んだ。そのたびにゴミ箱が部屋のすみっこで「タコじゃないんですけど」と口をタコのようにとがらせて

          2歳語辞典

          3歳になる。

          明日で3歳になる息子と2歳最後のお風呂に入った。すると息子は生まれてはじめて「おしっこ」と自分の口で告げてから湯船に放尿した。おかげさまで息子の成長に全身でひたることができた。 お風呂のあとは2歳最後の寝かしつけへ。「ママだっこちたい」と妻とばかり抱きあいつづける息子に「パパもいるよ」とアピールしてみる。すると息子は「きょうはあめ」となぜか天気の話を唐突にはじめる。話題のそらしかたが2歳児、いや3歳児とは思えない。 誕生日当日の朝は家族三人でケーキを食べることに。ロウソク

          3歳になる。

          再会する。

          妻とおたがいの仕事の打ち合わせがかぶらないようにスケジュールを調整しているときのこと。「あ、もう、そんなことしなくていいのか」と二人で笑った。 わたしと妻のどちらかが息子を見られるようにする習慣がなかなか抜けないらしい。もう登園自粛は解除され、息子はまた保育園へ通いはじめたというのに。 とはいえ、息子もまだ慣れないようで。今朝も保育園へ連れていこうとすると「いってらっしゃい」とわたしに手を振った。「いってきます」とついつい登園してしまいそうになったけれど、残念ながら行くの

          再会する。

          鬱憤がたまる。

          妻が「いいなあ」と遠い目でつぶやき、窓の外を放心したように眺める。その視線の先にはヤシの木が描かれた配送トラックが止まっている。外出自粛が解かれない生活に疲れきってしまったのだろうか。イラストだけでここまで心を奪われてしまうとは。なかなかの重症である。 すこしでも気晴らしになればと、南国に思いを馳せつづける妻の手をひき、息子と三人で絵でも描くことにする。すると、息子はさっそく「パパ」と似顔絵を描いてくれる。そこには漆黒のうずまきが。いまや描いた本人も「パパ?」と不安そうであ

          鬱憤がたまる。

          妻はリビングで踊る。

          カンコーン、カンコーン。 電車役の息子が不思議な音を立てながら、両手を身体のまえで交差させて向かいあう踏み切り役の妻とわたしのあいだを走りぬけていく。すると、息子から「なんかちばう(なんかちがう!)」と怒りの指導がわたしに入る。 どうやら両手の角度が気に入らないようで「こっち! こっち!」と鬼の形相で手首をひっぱられる。お言葉ですが先生、そちらの方向にはホモ・サピエンス的に曲げることができません。 そんな姿を他人事のように余裕の笑みを浮かべて見ていた妻にも息子から怒りの

          妻はリビングで踊る。

          乗りこむ。

          ゴールデンウィーク明けの仕事に追われていると、毎日がゴールデンな息子が「パパ、ブーブ(車のおもちゃに乗って遊ぼう)」と誘ってくる。 「またあとでね」とやりすごしていると、しばらくして車のおもちゃにまたがった息子が仕事部屋へ乗りこんできて、そのまま「ブンブン」とデスクのまわりを暴走しつづける。 このままでは仕事にならないので、荒ぶる息子に使っていないスマホとノートパソコンを渡してみる。すると、息子は「もちもち?」と電話をかけながらキーボードを叩きはじめる。こうして2歳児のリ

          乗りこむ。

          ドライブスルーごっこする。

          こんなときなのでよく利用するようになったドライブスルーにハマってしまったのだろうか。息子が「ドライブスルーごっこ」をはじめた。 妻をソファーに座らせ、わたしをすこし離れたところでバイクのおもちゃにまたがらせると、ソファーのまえに置かれたテーブルのまわりを車のおもちゃでぐるぐる走りながら「チーズバーガーとポテトくだちゃい」と店員役の妻に大好物の注文を何度もくりかえすのである。 こんなときだからドライブスルーで楽しめるショーやアトラクションが満載の「TDL(Tokyo Dri

          ドライブスルーごっこする。

          妻に髪を切ってもらう。

          「前髪、切ってあげようか?」 美容院へ行けないまま伸び放題のわたしの頭に妻が両手をチョキチョキさせながら不敵な笑みを浮かべると、数年前のあの事件がフラッシュバックする。 あれは息子が生まれるまえの夏。極度の人見知りなわたしは美容師さんに話しかけられるのが苦手なあまり、妻に髪を切ってもらうことにした。それから数時間後、風呂場の鏡のまえに丸坊主姿で座ることになるとも知らず。 妻は「いまなら失敗しないから大丈夫」と胸をはる。たしかに妻にはあれから自分の前髪だけではなく、生まれ

          妻に髪を切ってもらう。

          パジャマで暮らす。

          家でごろごろすることをすっかり極めつつある息子は、わたしの仕事部屋へやってくると「パパ、パジャマ着て」ときびしく告げる。「なぜパジャマから私服になんて着替えているのだ。しっかりしろ」とでもいうように。 しかたなくスウェットに着替えると、息子は仕事部屋の電気を消させ、「ベッド、ベッド」とはげしく要求する。 さからうことなく寝室に入ると、息子はベッドの上で「ニャンニャン、ニャンニャン」としばらく猫になってハイハイしたのち、枕のカバーをあけて中に入ろうとしはじめる。自ら猫どころ

          パジャマで暮らす。