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新幹線通院とマクドナルド

今日は、マックの味が変わった話をしたい。
マクド派の方はマクドと思って見て頂けると有難い。
最近マックは食べてないから味なんか分からない、なんて人もいるかもしれない。
実は私も、味が変わったかは知らないのだが、
まめ太が生まれて、私の感覚は変わった。

学生時代、私もよく駅前のマックに入り浸っていた。
中高生の頃は、100円マック片手にひたすら中身のない会話をした。
大学生の頃は、徹夜カラオケでボロボロの体に清々しい朝マックを流し込み、泥のように眠った。

でもあの時は、レジ横の募金箱に目もくれなかった。
そういえば、あったような。くらい。

まめ太が生まれて一ヶ月くらいたった頃、転院の話が出た。
彼は家から4時間以上かかる里帰り先の病院で生まれ、すぐNICUに入った。
私は職場に通えるはずもなく、育休を取得して義実家に居候しながらまめ太のもとへ通っていた。
私たちがまめ太と生きていくためにも、転院は必須だった。

しかし、転院は一筋縄ではいかなかった。
私たちはのどかな地方都市に住んでいたからだ。
小児腎臓専門医は日本で300人程度。しかもその多くは大都市圏に集中し、地方では県に数人が当たり前だ。
小児専門の大病院もすべての県にあるわけではない。
将来のことを考えると、地方都市には難しいことも多かった。

結局私たちは、町一番の大病院で経過観察しながら、
新幹線で1時間離れた他県の大都市にある巨大病院へも入通院することとなった。

当然ながら、新幹線通院は大変だ。
朝一に出発しても午前診療の最後に滑り込めるかどうかくらい。
月一回の貴重なチャンス。他の科も一緒に受診してもらう。
すると、もう夜だ。
そもそも病院は診療科によって曜日が違う。
最初から宿泊前提の予約の時もある。

新幹線は高い。宿泊すればもっと高い。
これから入院も続いていく。どうしたら良いのだろう。

そんな時に私たちは知った。

”ドナルド・マクドナルド・ハウス”

病気の子どもとその家族が利用できる滞在施設。
ホテルのようなサービスは全くないし、ルールも厳しい。
チェックアウト前の清掃等の義務もある。

しかし、格安で滞在できる施設は本当にありがたい。
なにより、入院しているまめ太のすぐ近くに滞在できる。
まだまだ日本にたくさんあるわけではないけれど、
私たちの病院には運よくマックハウスがあった。

あの募金箱がこんな使われ方をしているなんて。

マックハウスの部屋には、患者の親が書き込めるノートがある。
このノートには、数々の心の叫びと感謝が綴られている。
ドクターヘリで子どもとともに突然運ばれた人、
500km以上離れた街から手術のために転院した人、
病院から出たことのない子に付き添い続ける人。
そこには様々な人生があり、葛藤があり、苦悩がある。
受け入れがたい現実に直面し、もがき、苦しみ、
それでも、この大いなる救いに感謝する人間の姿がある。

私は、ここに手を伸ばしてくれたマクドナルドに、
そして、マックハウスに寄付金を拠出してくれた全ての企業と
浄財してくれた全ての人々に心からの感謝をしたい。

私たちは、あなた方のお陰で生きることができました。

もし、まめ太が病院から解放される日が来ても、
私は感謝を忘れない。

ありがとう。マクドナルド。
今日もポテトがおいしかったです。

最後までお読み頂き有難うございます。頂いたサポートは、まめ太のこれからのため、同じ医療的ケア児のこれからのために大切に使わせて頂きます!