まめ父

腎不全の医療的ケア児まめ太の父です。マメな父ではありません。

まめ父

腎不全の医療的ケア児まめ太の父です。マメな父ではありません。

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それでも君は生きていく

突然ですが、皆さんは障害児についてどんなイメージをお持ちだろうか。 私の息子まめ太は、生まれつき腎臓が1/3程度しかない腎不全。生まれた時からアシドーシス。 おまけに心臓の奇形もあるし、口唇口蓋裂で顎と鼻も繋がっている。そういえば手にも奇形があったっけ? ご飯は食べれないので、鼻から胃にチューブを入れて栄養を摂っている。 まもなく3才になるが、発達は1才半。だから健常児の半分くらい。 まだ体重は9kgしかないし、病院の救急には月一くらいでお世話になって入院する。 これから透

    • 児童相談所にまめ太の保護を求めにいった話(2)

      第一話はこちら 「すぐに児童相談所へ行ってください。」 親身になって相談に乗ってくれるソーシャルワーカーさんのこの言葉は、すなわち病院でできることの限界を示していた。 「まめ太くんの手術があるわけではないので、お母さんが入院になっても一緒に入院させるといったことは基本的にはできなくて...」 病院側からすれば至極当然の話だ。 この病院は、他県からも重篤で緊急な患者が救急車やドクターヘリで搬送される小児医療の最後の砦。 ましてや、コロナの影響吹き荒れる2021年冬だ。ま

      • 児童相談所にまめ太の保護を求めにいった話(1)

        宣告はいつも突然だ。 妻は現在、妊娠8ヶ月。 もうだいぶお腹が前に飛び出してきた。 最近、お腹の中の人は、狭くなってきた空間に嫌気が差したのか、 妻の膀胱をふみふみするようになり、突然の尿意を促していた。 まめ太は、相変わらず成長がゆるやかだったが、 夏以降は特に大きな病気もすることもなく、 外科的な手術はしたものの、腎臓の数値も低空飛行ながら安定していた。 慌ただしくも幸せな日々。 下の子も、このまま順調に生まれてきてくれるかな。 そんな気持ちで妊婦検診に赴いた。

        • 君のお腹にゃ穴がある

          胃ろうの手術から1週間。 まめ太が退院した。 家に帰ってお腹を見たら、やっぱり穴が開いている。 うわ、穴だ! とちょっとビビる。 まめ太もまだまだ慣れないようで、 ミルクを見ると鼻のチューブをさがしてる。 かわゆい。 胃ろうになって生活が変わったかというと 今のところほぼ同じ。 最初、胃ろうの話を聞いた時には、 あの、寝たきりのおじいちゃんとかのやつですか? みたいな感じでちょっとギョッとしたけど、 案外、生活は変わらない。 お風呂はどうかなって思っていたけど

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        それでも君は生きていく

          まめ太の病棟満喫日誌

          手術後のまめ太の経過は、有難いことに驚くほど順調だ。 手術2日後には、お腹のチューブからミルクを飲み出し、さらに2日後には点滴も外れた。 驚くべき回復力。 子供はすごい。さすがだ。 父『お腹切ったばっかりで、そんなに激しく動けるの?』 ま『医ケア児、なめちゃあかんぜよ』 点滴から解放され何もかも自由になったまめ太は、もう病棟の主のごとく我が物顔で闊歩、いや、我が物顔で抱っこされている。 プレイルームのオモチャはほぼ全て遊び尽くした。 中でもプラレールは大のお気に入

          まめ太の病棟満喫日誌

          太陽の塔は青く灯ったけれども

          太陽の塔。 かの有名な、芸術が爆発している塔だ。 大阪府知事はこの塔を使ってコロナの危険度を知らせているのだが、 先日、この太陽の塔を照らす色が変わった。 大阪に青信号が灯ったのだ。 でも私は、この青信号がとても怖い。 ☀ 太陽の塔は万博記念公園にある。 皆さまは、その裏手に何があるかご存知だろうか。 大阪大学医学部附属病院と歯学部附属病院 いわゆる阪大病院がそこにはある。 私たちは、まめ太が生まれてしばらくの間、この病院に新幹線通院していた。 ある時、朝一

          太陽の塔は青く灯ったけれども

          腕輪物語

          まめ太は激怒した。 必ず、かの邪智暴虐な腕輪を除かなければならぬと決意した。 まめ太には言葉がわからぬ。 まめ太は、ただの2歳児である。 トーマスと新幹線を愛し、時々まめ父の顔をつねって遊んで暮して来た。 けれども拘束に対しては、人一倍に敏感であった。 手術から一日。まめ太の状態もだいぶ落ち着いてきた。 私たちが、手術の成功をやっと感じ始めた頃、 まめ太は、自分を取り巻く数々の敵に気づき始めた。 手には点滴、 足にはモニター、 おまけにお腹には新参者のチューブまで刺さって

          腕輪物語

          今日、扉の向こうで闘う君へ

          あと数時間もすれば、君は、その扉の向こうへ行く。 いつもの話といえば、いつもの話。 当たり前の話といえば、当たり前の話。 元から予定されていた手術だ。 術前検査もクリアした。 予定通り、いつも通り、手術室の扉の向こうへ君は行く。 それは、とても喜ばしい話。 なんだけど、 なんだけど、 お父さんはね。 いつだって君がその扉の向こうに行くのが怖い。 手術や病院に不安があるわけではない。 むしろ不信感なんて1ミリもない。 執刀して頂く外科医の先生も、全身管理を担う麻酔科の

          今日、扉の向こうで闘う君へ

          まめ太の入院前夜祭

          最近まめ太の好きなもの。 トーマス、地下鉄、新幹線。 おい。全部、電車じゃないか。 まめ太はあとちょっとで3歳。立派な鉄道男子だ。 彼のお気に入りは、家の近くの歩道橋から足下を駆け抜ける電車を眺めること。ちょうど駅に入るカーブの上で、電車の全体が良く見えるから。 今日は久しぶりに、その歩道橋に行った。 明日からの入院の前祝い。本物の電車を見に行った。 手術前の1か月、よく乗り切ったね。 今日は快晴で、 いつもの電車がいつもより輝いてた。 お父さんは、もっと輝く君の笑顔

          まめ太の入院前夜祭

          勝ってカブトを手に入れよ

          お飾りの カブトに一目で惚れたから 5月5日は カブトの日です by まめ太 いいえ、今日は、子どもの日です。 今年のまめ太は、兜飾りに興味津々だ。 しかし彼はケースの意味を理解できない。 その薄い薄い透明の壁に頭を打ち付け、触れられない絶望に打ちひしがれてらっしゃる。ご丁寧に涙まで溜めて。 悲劇のヒロインかよ。 そんな瞳でこっちを見るな。 ところで皆様。カブト虫を捕まえたことがあるだろうか。 まめ太の夜泣きくらい唐突で理不尽な話題転換。 これもこれでまめ父なので、申し

          勝ってカブトを手に入れよ

          新幹線通院とマクドナルド

          今日は、マックの味が変わった話をしたい。 マクド派の方はマクドと思って見て頂けると有難い。 最近マックは食べてないから味なんか分からない、なんて人もいるかもしれない。 実は私も、味が変わったかは知らないのだが、 まめ太が生まれて、私の感覚は変わった。 学生時代、私もよく駅前のマックに入り浸っていた。 中高生の頃は、100円マック片手にひたすら中身のない会話をした。 大学生の頃は、徹夜カラオケでボロボロの体に清々しい朝マックを流し込み、泥のように眠った。 でもあの時は、レジ

          新幹線通院とマクドナルド

          育児すること稼ぐこと

          私、まめ父は、 まめ太の父親であり、 まめ太の扶養者であり、 まめ太の世帯主だ。 ふと考えると、 私はまめ太の父親だが、 扶養者や世帯主である必要はない。 しかしながら、 ジェンダーフリーが叫ばれて久しい現代においても、 その役割を当たり前とされる場面がある。 私がそうありたいと思わなくとも、 社会に漂う空気として、間違いなくそれは存在する。 まめ太の入院の時、私は妻と交代で付き添う。 平日の昼間、私が付き添いをしていると、 「お父さん、お仕事お休みされたんですか?」

          育児すること稼ぐこと

          君の笑顔は未来への希望

          昔むかしあるところに、幼稚園児のまめ父がおりました。 幼稚園児のまめ父は、 虫かごいっぱいに野原のバッタを押し込んで帰り母を絶叫させたり、 死んだバッタを幼稚園の先生にプレゼントして怒られたりしながら、 元気に過ごしていました。 まめ父は、女の人がバッタが嫌いなのが不思議でした。 だって、あの仮面ライダーだってバッタなのに。 ある日、今日はどこでバッタを捕まえようかと考えていると、 転校生の女の子がやってきました。 その子は、実は元々幼稚園にいた子だったのですが、 長

          君の笑顔は未来への希望

          これが私のステイホーム

          最近、毎日noteを書いている。 何より皆さまに見て頂いているのは有難い限りだ。 ちなみに妻からは、ちょっと若干少し、いやそこそこ冷ややかな眼差しを受けつつもある。 ごめんよ。寝かしつけするから許してほしい。 世間では、ゴールデンウィークという名の何も輝かしくないステイホーム週間が始まった。 私は仕事柄、本来はGWは休みではないのだが、せっかく休みになった百年に一度の奇跡がステイホーム週間とはなんと皮肉なことよ。 もとより、我が家はまめ太の手術に向けてステイホーム月間なわけ

          これが私のステイホーム

          路面電車の運転士さん

          まめ太が生まれる前、私達は路面電車が走るのどかな地方都市に住んでいた。 もともと縁もゆかりもなかったこの街には、 配属を命ずる という会社からの無機質で無情な紙一枚でやってきたのだが、大学進学で九州から上京していた私にとって、ゆっくりと時が流れるこの街はとても心地よく好きだった。 私は路面電車で通勤していた。 大都会の皆様には驚かれるかもしれないが、 終電は、22時過ぎ。終電なのに、家につくのは22時半前だった。 なんて健全! そんなに早くてお店は大丈夫? 全く問題

          路面電車の運転士さん

          Officialまめ太んdism

          今月の我が家はステイホーム月間である。 別に緊急事態宣言が出ているからではない。 まめ太の手術が控えているからだ。 「緊急事態宣言の瀬戸際」だの 「緊急事態宣言が切迫」だのという 宣言するする詐欺が横行していた頃、 我が家にはいち早く戒厳令が発令された。 『手術をするので、術前1ヶ月は体調に気をつけてください』  普段から体調には気をつかってますけどー!!!! 喉から言葉が煮えくり返るが、のどちんこで押し返す。 全身麻酔できなくなるからでしょ。分かってる。そんなことは

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