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女2人が間違えて某映画館へ入ってしまった話


結論だけ言うと、知らずに
ハッテン場へ足を踏み入れてしまった
ここから先はその詳細の覚えているかぎりを綴るので、もう結果を知って満足した方はこのページを閉じてください。


あまりにも無知だった女2人

私と友人は映画館で映画を観るという行為が好きで、ひっきりなしに映画館へ通っている。

そんな2人が大阪旅行に行ったのだが、実は一度行ってみたい映画館があり、とうとう今回の旅行で望みが叶った。
映画好きならば一度は耳にしたことがあるだろう。

ツイッターで定期的にバズっている映画の手書き看板や、レトロな外観で知られている「新世界国際劇場」である。

私と友人は、上記の「おもしろ」イメージだけを持ってこの劇場へ足を運んでしまった。


外観ではしゃぐ女2人

ガヤガヤゴチャゴチャした新世界を通り、昼間から開いている立ち飲み街を抜けると「新世界 国際劇場」であった。

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愉快な煽り文句と精密なイラストが書かれたおなじみの手書き看板、ポルノ映画の看板、いかにも古い映画館だと言わんばかりの食券を買うような券売機があった。

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映画館は地上と地下があり、地上では入れ替え無しの3本立て、地下ではポルノ映画が上映されている。

地上ではシネコンや単館で新作として上映されていたものが2シーズンくらい遅く上映されており、いわゆる名画座のラインナップだ。

ここの3本立てはセンスが良い。この前は『アリータ:バトル・エンジェル』と『アクアマン』、『TAXi ダイヤモンド・ミッション』を同時上映していたり、『バイス』や『サスペリア』をかなりの熱で推していたりした。
また、後から知ったのだが月報のようなものも出しているらしい。(怖すぎて劇場内をちゃんと見ないで帰ってきてしまった。)
さらに言うと、公開作は毎週変わるのでその度に手書き看板も描いているのだ。
この苦労を何十年も続けているなんて
劇場支配人、映画めっちゃ好きじゃん。

一方地下では、いわゆるピンク映画が上映されているらしい。入らなかったので実情はわからないが、出入りする客層から異様な空間であることを察するのは難しくなかった。
ストッキングを履いて金色のサンダルを突っかけた女装の方が出てきたからさ…。地下についてここでは触れないので、興味があったら検索を。信憑性はともかく、すぐにどんなところかわかる。

だってもう劇場の外見からポルノ映画の手書き看板が異様な空気を演出していたもの。
女の人の身体をあんなに炎天下へ晒すことってあるんだ。(衝撃的で写真に収め忘れてしまった)

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これは次週封切りのやつらしい。絵描きさんが頑張って看板製作中なんだろうと思うと、なかなか胸が熱くなる。

面白い看板や煽り文句にはしゃいでいたら、地下劇場から出てきたおじさんに、すれ違いざま30cmくらいの距離で顔面を見つめられギョッとした。

元々ここで映画を観る予定はなかったが、やはり気合の入った看板を見ると胸が高まったので予定を変更して映画を観ることにした。

だがお財布を見るとお金が足りなかったので、近くのコンビニまで走ってお金を下ろした。友達が。
私はお金がなかったので友達に借りた。

ちょうど時間の都合が良かった『パージ:エクスペリメント』の上映時間が差し迫っていたので、慌ててチケットを買いようやく劇場に足を踏み入れた。
ワクワクしながらチケットを渡すともぎりのオバさんに異様な顔で見られ、(なぜこんな顔で見られなきゃならないんだ)と不思議に思いながら中へ案内された。

ロビーの壁には次週上映作のポスター『ゴッズ・オウン・カントリー』が貼ってあり、(めちゃくちゃセンスいいな〜)と思いながら劇場の扉を開けた。


なんだか思ってた雰囲気とは違うシアターに戸惑う女2人

映画館とは思えないくらい軽い扉を開けると、少しの異臭(アンモニアを薄めたような臭い)と共にまあまあの大きさのスクリーンと三列に分かれた座席が目に入ってきた。
両端の列は3〜4人席くらいの列で、中央はおそらく10人くらいの席列だったと思う。
客はまばらで、ほとんどが両端の列に座り、中央列に座る客も大体が後方に座っていた。あとは最前に座る客が2、3人ほど。
なぜか立ち見の客もおり、その客は映画館に入ってきた私たちを凝視してきた。
ほとんどが男性で、女性は私たち以外いなかったと思う。

少し異様な空気を感じていたが、
とにもかくにも映画を観に来たので、私たちは中央列の前から4列目あたりに座った。

周りを見渡すとお一人様の男性客ばかりではなく、端の方に男女カップルのような客もいて少しホッとした。
なぜかその二人の目の前には何かを一生懸命に説明する性別不明の中年と、二人の真後ろに座る老人もいたが…

映画が始まるまで私たちがキョロキョロしていると、劇場のスタッフさんが近づいてきてこう言った。

「もしアレだったら座席の両隣に荷物とか置いてね。
そうすれば近くに人座ってこないと思うから。
あと、座席詰めてくる人いて怖かったら席変えていいからね。
もし何かあったら呼んでね。」


心臓がギュッッッッッとなり、映画が始まった。

治安がオワリな場所だとやっとここで気づいた。


映画の内容がわからなくなる女2人

スタッフさんの声掛け以後、周囲の客が気になって仕方がなくなった。
先程左端に座っていたカップルの女性は、もしかしたら女装していたのかもしれない。

そう思い左端に素早く顔を向けると、老人の前であのカップルが着席しながら「何か」をしていた。
これを詳細に綴る力は私にないので想像してほしいが、
「暗闇で蠢く黒い影の塊」というのが私の表現の限界だ。

さらに私たちの右後ろの方からは、謎の水音のようなものが聴こえてきた。

序盤はちゃんと映画を観ていたので気づいたが、なぜか映画を上映しているのにひっきりなしに数人の男性が通路を歩き回っていた。
それも毎回違う男性のように思う。
席を探しているのだろうか。

この辺りでかなり映画に集中できなくなってくる。

くわえて私の左に、ふた席あけてやたらと彫りの深い男性が気づいたら座っており、5分に1回はこちらを見ていると感じる。

怖すぎてスクリーンに目を向けることしかできない。

かろうじて左手にペットボトルを持ち、左席へ投げておくことで「どうか近づかないでほしい」という表明をした。

(どうかこれ(ペットボトル)が何かのメタファーでありませんように)と祈りながら左手に滝汗をかいていたら、本当に何もされなかったので良かった。

上映が中盤になると、私の真後ろに誰かが座った。
どこかの筋がおかしくなるくらい眼球だけを左に回すと、初老男性がいる。

ドッッッと背中に汗をかいた。

気づいたら
(結果的に何もされなかったが)左と後ろの客、聞き取れないくらい小さな声のざわめき、常に通路をうろつく客がいるカオスな空間だった。

映画どころじゃなくなり、全く映画に集中できなかった。
屈強な黒人男性が銃とか使えてメッチャ強い映画ということしかわからなかったし、
もっと言うとちょっと寝た。
多分あれは緊張のあまり少し失神していたんだと思う。
友達も中盤(おそらく)失神していた。

早く終われと祈りながらエンドロールを睨みつけ、やっと席を立つと周りにいた人たちはいなくなっていた。

あまりにも怖くてロビーを探索する余裕もなく劇場を後にした。


女2人で行くところじゃない

「怖かったね…………」

この言葉しか出てこなかった。

そのあとは小走りで駅へ向かった。
その後新世界について調べたら、色々現場で起きていたことの理由がわかった。
これ以後も、ソースに何の信憑性もないので話半分で読んでほしい。


あそこは有名なハッテン場だった。
そのためほとんどが男性客で、劇場内左側にあるトイレやロビーの薄暗い所は「そういう目的」でない限り軽率に近寄ってはいけないらしい。
彼らは女性が目的で来ているわけではないが、女性が行くにはいささか危険なスポットだろう。
私たちが座っていた中央列前は比較的安全らしいが、それ以外はもう「そういうこと」をする場のようだった。実際私よりも前に座っていた客たちは普通に映画を観ていた。

また、ガラガラなのに立ち見がいたり、上映中も歩き回る客がいたのは目ぼしい人を見つけるためだったそう。
後ろから「その目的で来た人」を見つけ、通路を歩きながら声掛けをするらしい。
ひっきりなしに聞こえた小さなざわめきの正体はこれだったようだ。

私たちはあまりにも知らない世界に行ってきたんだなあとわかった。
ハッテン場なんて今後一生入ることはないだろうし、面白かったと言えば面白かった体験なのかも。


色々書いたけど別に改善すべきとか全く思わないし、むしろあのままでいいと思う。ああいう所があるから世界は均衡を保ってるみたいな面があると思うし。

このブログは「魑魅魍魎異世界冒険譚」だと思ってほしい。




#日記

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