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はじめに

100年先の辻堂を想像して、その最小単位をつくる

小学生の頃から、手に乗るサイズの生き物が好きでした。うちの庭にもカエルやヘビがいたけれど、まちから少しずつ緑が減るのと同じくして、小さな隣人たちにはなかなか会えなくなりました。環境問題(地球温暖化)は当時から言われていました。その頃は、誰かすごい人が解決してくれるものと思っていたけれど、いつまで経っても解決せず、事態は悪化するばかり。僕はとりあえず大学の農学部へ進み、生態学を専攻しました。

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​大学院の研究中、車の事故がきっかけで研究がとん挫し、それまで当たり前だと思っていた社会のレールを踏み外したような気持ちでした。自分を取り戻す時間を求めて、僕は8か月間ロンドンに行きます。ロンドンでは、肩書きでなく人間どうしとして関わりあえる関係性が心地よく、自分のいたのがどれほど狭い世界だったかと思い知りました。

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自分が地主であることに気づいたのは、大学生の終わりごろ。最初は、不労所得で楽して生きている地主のイメージが嫌いだったけれど、そこから、楽して生きられるとするならば、それでも自分が生きる意味ってなに?と考えはじめました。

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地主とは、地域の自然と寄り添った暮らしを広げる“土”の人。それは、まちの風景、景観、まちなみ、文化を司る職能です。せっかくご先祖様たちのおかげで土地や建物を持っているのなら、それを最大限に活かして、次の世代にこのまちの風景・文化をつないでいけたらいい。早いタイミングで自分がその立場に立てたのは幸いなことだと、いまは思います。ひとりではできないことだから、一緒に歩んでくれるひとと。

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今の世界ってあべこべだと思うんです。強いと思ってたものが弱かったり、早いと思ってたものが遅かったり、独り占めしようとすると逆に手からこぼれていったり。だから、プロジェクト名は、ちっちゃい辻堂。ちっちゃく、ゆっくり、共に。

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石井 光

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