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いつか歌わなくても済むようになりたい曲

目の前の暮らしに手を動かし
答えなど無いのだと 頭では解っている
だけど ふと 手を休めたときには
余計な考え事ばかり浮かべてしまう

2020年のある冬の朝、ふとした思い付きで、洗濯物を干している自分の姿をiPhoneで撮影してみました。

その後、「本になる人」という曲が出来上がり、この映像素材の事を思い出しました。試しに音源と画を重ねてみると、なんだかこういうことをしているときの自分の頭の中をそのまま歌ったような、テーマソングのように思えて、これをこのまま使ってみたいなと思いました。

“このまま”とはいえ、展開があったほうがいいかな、とか、テロップとかちょっとしたアニメーションとか、何かしらの映像的な工夫も必要だろうかとも考えます。だけど、プロの手を借りるような予算も勝算も無いし、どうもその工夫自体が、取って付けたようなものになりそうな気がしてならない。何が観せたいかというと、この“面白くない”様子こそを観てもらいたい。だからこれなのだと、最初から己の核心を確信していたのです。
が、毎日がオモシロ映像大会みたいなこの世界に、明らかに“面白くない”ものを「ミュージックビデオだぜ!」と銘打って公開する勇気が持てず、迷ってしまいました。しばらく放ったらかして、また迷い、そんなことを繰り返していました。

2022年丸ごとかけて迷った末の結論、「観てもらわなくちゃわからんよね」という気持ちに至り、なんら手を加えないまま公開してみることにしました。このじっくりとした平坦な5分間に付き合ってくれるような人達こそ、僕の音楽の味方になってもらえるような気がする、そう思ったのも結論のひとつです。
もちろん色んな感想があってよくて、これが嫌いだったり、つまらなくても、それはそうだろうなとも思います。どうか違う角度からでも小田の音楽を好きでいてもらえたら嬉しい。
ただ、不評より、誰からも相手にされないことのほうがよっぽど怖い。是非コメントなどでご感想をお寄せください。気に入った方は広めてやってください。

「本になる人」は、今の僕にとって、書けて良かった曲だなと。でも同時に、いつか歌わなくても済むようになりたい、とも思ってしまう。いつまでも同じ気持ちを見つめ続けるのではなく、次の自分に向かうために作ったような気がしています。
そしたら、今度は誰か似たような気持ちを抱えた人にしばし寄り添うような、そんな曲に育つと良いな。



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