見出し画像

覚書_55

「本のこと」

18歳から20歳の間の2年間で、私は1人でいる術を確立させたと言ってもいい。旅であれ食事であれ、1人で行動することを苦に思わないのはあの2年間があったからだ。ラブホテルに初めて1人で泊まった時はさすがに勇気が要ったけれど。

1人でい続けることに慣れる、その一助となったのは間違いなく本だ。若くてお金もなかったから単行本を買うことはなかったけれど、駅中の本屋で、最寄り駅のBOOK・OFFで、文庫本はよく買った。文庫本は移動の多い私の生活に合っていた。当時は500円くらいで新品の文庫本が買えたんじゃなかったっけ。
本を読むという用事を作ればどれだけ1人でいても平気に思えたし、むしろすすんで1人になったくらいだ。
私の読む本は9割がた小説で、短くても小一時間は物語の世界にひたっていられることが気持ちいいと、今でも思う。

文学が好きで、色んな作者の本を体系的に読む人からすると邪道だと言われるかもしれない。
私は本を選ぶ時、なんとなくで選んでいる。ジャケ買いみたいな感覚が近いかもしれない。
惹かれたタイトルだったり装丁だったり、何気なく手に取った本を選ぶ。
そこに規則はあまりない。

これまた不思議なことに、選んだ本の中にその時私が欲しかった言葉を見つけることができる。それをある友達に話すと「自己啓発本を読んだ方が早いんじゃない」と言われたことがある。

違う、そうじゃない。
自己啓発本はもしかして全てのページに欲しい言葉や人生のヒントが載っているのかもしれないけれど、小説の中の一文を探すのが私は楽しいのだ。

今日書店で買った小説が面白かった(併設されたカフェでコーヒー飲みながら一気に読んでしまった)ので、記しておこうと思った。
おしまい。

「人を信じるの狂気の沙汰だ。ふつうのことではない。ではふつうから狂気の沙汰へと、その一線を人に超えさせるものは何なのだろう」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?