動物との暮らしに憧れを抱いていた美大生による卒業制作
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まずは私の卒業制作の紹介から。
作品タイトルは「BOWHOUSE」
日常生活から非常事態まで一貫して使用できる、愛犬と飼い主のための防災テントです。
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2020.4-5 「ペットのための」防災準備は万端ではないよね
元々動物との暮らしに関わる卒業制作をしたいと思っていた私は、ペット関係のお店でアルバイトをしていたことや、知人にペットを飼っている方が多くいたことから初期の段階で「ペット関係の制作をしたい!」と決まっていました。
プロダクトデザインの卒業制作の大きな評価基準の一つに「社会貢献性の高いデザイン」という項目があったため、ペット関係で社会貢献生の高い課題だと「災害」「防災」というテーマは自然と決まりました。
そこでまずペットを飼っている方々に「普段からペットのための防災対策は意識できているか」というアンケートを実施しました。
そこで愛犬が非常事態に過ごす「環境」を着眼することに。
自然とペットが過ごす環境に初期段階の時から着眼していました。
「移動できる日常空間」をテーマとし、既存製品(クレートやキャリーなど)と差別化できるよう「+a」の機能として「状況に応じて空間の大胆な拡張機能」を取り入れました。
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2020.6 中間審査にて
2020年6月。第1回の中間審査が行われました。ご時世柄もありリモートでの開催でした。
第1回の中間審査では「非常事態でも飼い主と愛犬が、共に過ごすための防災テント」をテーマに愛犬が過ごす空間が2段階変化する提案を行いました。
審査で頂いた評価&感想を要約するとこんな感じ。
頂いたアドバイスを参考に、今後私がやることを明確にしました。
頂いたアドバイスをそのまま自分の作品に取り込んでしまうと、自分が本当にやりたいことが薄れてしまうので、一旦アドバイスを自分の中で消化し、
頂いたアドバイスをあくまで参考にする姿勢は大切だと思うのです…🧸
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「え、これって本当に実現できるの…?」
中間審査明け、当時の私の最大の難所は「本当にできるかどうかの確証がないこと」でした。
まずは中間審査で頂いた意見の通り、市販のポップアップテントを購入しました。実際に畳む⇄広げるという行為をしてみました。
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2020.10 第2回中間審査にて
若干内容の準備も整わないまま、中間審査に挑みました…
第1回目と同様、発表後に頂ける評価シートの意見から今後の課題を明確化していくことに。
中間審査では「移動時のペットの体勢(スリングバッグのように抱っこ)は本当にそれでいいの?」という言及に対して、私の中でうまく言葉にできなかったので、審査後改めて整理。
とモヤモヤを一回言葉にし、立ち止まって、整理することで、改めて気付く知見もありました。
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「動け!」「作れ!」「ちょっと待て、考えろ」
この時点でようやく気付きます。「あ、これ、作りながら考えないと終わらないやつだ」と。(遅い)
1/3スケールのモックを試しに作ったとはいえ、原寸の大きさが同じように機能できるか確証はありませんでした。
ずっと指摘された通り、私の提案は構造面にて難ありなので、一旦考えるのは辞めて、実際に作ることをはじめました。
まずテントの軸(フレーム)となる「ダンポール」という農業用トンネル支柱の調達からスタートです。
しかしこのダンポールは直径も形も長さもたくさん種類があるので、各種類で検証する必要がありました。
検証が進む中、なかなかいい感じの種類のダンポールが見つからず、行き詰まりどうしよう…となっていたところ、
ふと学校の工房の片隅に、数本今まで検証していなかったサイズのダンポールを発見。
建築の授業で使ったものの残りとのことで、そのダンポールを頂き、検証してみた結果、私が探し求めていた種類のものでした!
灯台下暗しとはまさにこのこと…🐶
この「実現できるかどうか」の渦中、3年生の頃に受講していたインタラクションデザインの先生が「実現できなければそれはただの絵空事、考えていないのと同じだよ。」と言っていたのを思い出しました。
実現できれば説得のレベルも格段に上がるし、デザインにおいて大切な要素なんだなぁ、と改めて実感。
そして私には、作る:考えるの比率が8:2ぐらいがちょうどいいということも分かりました。自然とどうすればいいのか、と考えてしまうので…
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2020.11 作って、壊して、作っての繰り返し
さてフレームが私の想定する大きさで八の字型に捻られる確証ができたところで、次はテント生地の作成です。
しかしミシンは小学校の家庭科の授業で使った以来、全く触っていないので、作業の傍らミシンの基本練習も行っていました。
ここからは生地を取り扱うお店で安価な生地をたくさん購入し、作って見て、検証して、壊して、検証しての繰り返しです。
そして拙いながらも頑張って最終モックの生地の裁断が完了。下記の写真はファスナー部分の生地です。
色々苦しいところもありましたが、なんとか完成しました…!
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2020.12 いよいよ展示準備!
まずモックが完成したら、チワワを飼っている友達にモデルをお願いして使用シーンの撮影を行いました。
↓オフショ (?)
撮影に協力してくれた友達とチワワちゃんに感謝…!
最終審査ではコロナ禍ということもあり、例年のような完全な状態で実施することは叶いませんでした。
また卒博もオンライン上のみの開催でした。
それでも家族や親戚、昔の知人に友人たちに「よかったよ!」とLINEで連絡をくれたりと、「あぁ、頑張ってよかったなぁ」と心から思いました…
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最後に、
当時はコロナ禍による突然のリモート化だったり、私の諸事情の都合など、不幸なことが色々重なり、特に4-7月は本当に苦しかったのを今でも覚えています。
しかしそのような状態の中でも、一つの作品を作り上げたことは、私の中での大きな自信になったし、大きな糧となりました。
この経験があれば、なんだか何でも乗り越えられそうな気がします。
また制作面に関しては、「愛犬の防災準備」という課題が実際にたくさん課題が潜んでいる中で、今回私が着眼したのは「愛犬が非常事態で過ごす環境によるストレス」でした。
当然これ以外の課題も着眼点もたくさんあります。
この卒業制作では、膨大の問題の山から「私が発掘した一つの答え」として、自分の制作を自分の意思で貫き通すことができました。
そしてこの姿勢を大切にものづくりを続けていきたい、と思った1年でした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
この記録が今後ものづくりをする人のお役に立てれば嬉しいです🧸
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▼2020年度卒業制作選抜展(去年の)
こちらもぜひ!
今年度の母校の卒展が、2022年3月13日(日)〜3月20日(日)江古田キャンバスにて開催されるそうです!
(予約必須で、入校前8日間(入校日を含めると9日分)の検温記録が必要なので、行くという方はお早めに予約した方がいいのかもしれません。)
▼2021年度卒業制作選抜展(今年)
▼卒博申し込みページ、注意事項
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