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大阪名物ミックスジュース

息子が突然「ミックスジュースって飲んだことがない」と言うので、よくよく聞いてみると関西のミックスジュースのことだった。

どうやらテレビかネットで知ったみたいである。

確かに東京であのミックスジュースを見かけることはないし、私自身もこちらに来てから飲んだことがない。

このミックスジュースは一般に飲まれている数種の果汁を混ぜ合わせたものや、いま流行りのスムージーとは少し違う。

バナナをベースに季節の果物か缶詰のフルーツを小さくカットしてミキサーにかける。

この時牛乳と氷を一緒に入れるのが関西のミックスジュースの特徴であり、トロミとコクのある甘いフルーティな飲み物が出来上がるのだ。

ミックスジュースは大阪の果物屋さんが発祥と聞くが、関西の喫茶店ではどこでも出されていた。

ただ値段が高くて当時十代の私には、そう易々と頼めるものではなかった。

現在とは物価が違い、喫茶店の珈琲が一杯まだ100円そこそこの時代に何せ400円もしたのだから。

ジュースに400円を出すぐらいなら、パフェやあんみつを食べたい年頃であった。

当時はスターバックスやドトールなどで手軽に珈琲を飲める時代ではなかったので、いわゆる普通の喫茶店に入らなければならなかった。

私がミックスジュースの味を知ったのは、神戸の喫茶店でアルバイトをしていた時である。

ミックスジュースのオーダーが入るとマスターは少し多めに作って、ミキサーの底に残ったジュースを、お冷やのグラスに注いでくれた。

それが途方もなく美味しく感じられ、ミックスジュースの注文を心待ちにしていたものだった。

因みにその時のアルバイトの時給は、確か100円だったと思う。

                         イラスト(色鉛筆)

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