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ちょっとニッチな児童文学⑦『強制終了、いつか再起動』

ちょっとニッチな児童文学へようこそ。このノートを書いているMaemichiと申します。

このnote記事は、さまざまなネタバレを含みつつ児童文学を紹介しています。
このnoteを読めば、本を一冊読みきった気分になれます。

今回は吉野万理子さんが書かれた『強制終了、いつか再起動』をご紹介します。

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衝撃の児童文学!若年層に広がる薬物汚染を描く

この本の感想を一言で言い表すなら「衝撃!」の一言。一気に読みました。

衝撃的だった理由は、本書のテーマが、児童文学では全く見かけない薬物汚染を取り扱っていることです。主人公であるごく普通の中学生が大麻を使用しています。

取材も丁寧にされているようです。暗く、重たい部分もありますが、小学校高学年からでも読めるような内容になっていると思います。小中学生にも読めるように人物の台詞もやりとりの様子も軽快に読みやすい言葉で書かれています。

物語の主な人物は3人

加地隆秋(かじ たかあき)

中学2年生。転校先の中学校になじめず、学校に居場所なし、友達なしで運動神経がすこぶる悪い。

家庭教師の安岡さんにすすめられて、軽い気持ちで大麻を吸い、大麻にハマってしまう。

伊佐木周俉(いさき しゅうご)

加地のクラスメート。中学生ユーチューバーでチャンネル登録者数を増やすのに必死。憧れのユーチューバーに誘われて行ったクラブで薬物をすすめられる。

麻矢夕都希(まや ゆづき)

加地と伊佐木のクラスメート。伊佐木の動画作成を、家事と二人で手伝うことになる。

ここからは数多くのネタバレと感想を含みます 閲覧注意!

加地は大麻を常習し、短期間で倦怠感や幻覚におそわれる。伊佐木と麻矢が家を訪ねたときに、下にいる二人を見つけて3階の窓から飛び降りて大怪我をする。そして飛び降りた時の動画が知らない間にYouTubeに出回ってしまう。

その後学校からも退学勧告(私立の中学に通っていたため)を受け、「人生、強制終了」と伊佐木にもらす。

伊佐木は憧れのユーチューバーと連絡が取れ、嬉しくて舞い上がる。クラブに誘われ(中学生はいってはいけない夜のお店の方です)そこでMDMAをすすめられる。怖くなった伊佐木は加地に助けを求め、事なきを得る。

麻矢には薬物使用で逮捕に至った母親がおり、更生施設に入所している。加地と伊佐木を母親に会わせ、薬物の怖さを伝えようとする。

物語の終盤、3人は薬物汚染をテーマにした動画を作り、コンテストに応募する。

Maemichiが考えていること。

若年層へ広がる薬物汚染を読みやすく、身近な存在へと引き寄せてくれる児童文学です。

YouTubeなどで世界と繋がりやすくなった分、新しいものや楽しいことに触れる機会も増えました。でも、危険なことと近づきやすくなっているのも事実。身近な人が薬物を使用しているなんて誰が想像するでしょうか?日常的に接していて、見た目が普通なら、私は絶対に気づかないと思います。

もし身近な人が薬物を使用していると知ったら、最初のうちは自力でやめさせようとするかもしれませんが、最終的には警察などの関係機関に連絡をするでしょう。

そして世間的に犯罪者と呼ばれるようになってしまった人と、どうやって接すれいいのか、正直わかりません。

違法薬物を使用してしまった人はどうやって社会復帰していくのか?薬物を使用したことで犯罪者として扱われ、社会から切り離されるのではないか?

薬物は脳が覚えている。だから、やめられる・やめられたと思っても、すぐに手を出してしまうと言われている。

当事者の強い決意と支えてくれる人との繋がりで薬物を断てるものなのか?

警察には逮捕されなかったけど、加地の人生はどうなるのか?

3人が作成した動画のラストシーン、このnoteではあえてふせておきます。そのシーンから、加地・伊佐木・麻矢の3人はこれからどうなっていくのか、先の展開を想像してみるのもいいかもしれません。



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