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『女の偏差値』という本

            ( 約800字 )

久しぶりにエッセイ本を読みたくなって、書店に足を運んだ。

まずは、平積みの本を見渡す。

新刊が手前に並び、注目作品は縦に背表紙だけ向いている間に窮屈そうに「ワタシは特別ですよ」という顔をして、バンっと表紙を見せて陣取っている。

一通り、小説サイズのタイトルを巡り、気になった本のところまで戻る。それを2回ほど繰り返して、2冊をレジまで持って行った。

本が高くなった。
もうハードカバーの新刊には、久しく縁がない。
だって、映画館で映画を1本見れるもの。

私は、ハンドサイズで読者になることを決めた。今回は、林真理子さんのエッセイにした。

そして、気になるタイトルのエッセイから読む。小説などの物語では、そうはいかない。
私は、内容を読まずに本を買う癖がある。

2冊の本は、店員さんにお願いして、紙のカバーを付けてもらった。そして、テレビ番組で紹介されていた本は店舗に在庫が無かったため、取り寄せてもらうことにした。

早速、
『女の偏差値』のページをめくってみる。
目次、3ページに目を通す。
ない。
本のタイトルになっているエッセイは、存在しなかった。
あとがきも、背表紙も、そのタイトルに関する情報はなく、私が知りたかった偏差値を示す手がかりはなかった。

やはり、
本の名前を読者が手に取りやすいキャッチーな文字を連ねるものだ。

中身は、読みたい内容から選んで読む。

「つながりたい人」には、林さんの交友関係やラインでの繋がりをどう感じているのかを書いていた。
自分から繋がりを持ちたい人の、スマートなやり方。それに舌を巻く。
けっして、我が我がと、情報をもらいに行く、という野暮な野次馬根性は出さない感じ。

ときどき登場するハイブランド品に対する価値観。お呼ばれのときにやらかした失敗や、女友達とのやりとり。
日常のささいな言葉の数々が、心地よい時間をくれる。

偏差値の測り方じゃなく、偏差値が何なのかを数多(あまた)ある文章から、読者が考える物差しをくれる。

そういうことですか、と少しだけココロに奥行きができる。

こんな言葉を綴れたらいいなぁ、とまた感じている。


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ガムシロを入れたらガキっぽいと我慢した夜


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