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「海見え」でないと嫌なんです。

と不動産屋に告げると、たいてい返ってくる反応は「そうですか…」とか「はあ」とか。都内在住で田舎に土地を探しにくる輩のステレオタイプど真ん中、都会ヅラした田舎者め、ということなのだろう。いや、違うんです、いわゆるオーシャンビューというわかりやすいやつじゃなくてね、僕の求めてるのはこう、ある種の退廃を感じる地の果てというか、カモンイスってポルトガルの詩人知ってます?あ、檀一雄でもいいです、でもいいって言うかむしろ檀が居を構えた能古島みたいな風景…

こういう人の土地探しなんて難航するに決まっている。しかしどうしても欲しくなってしまったのだ。海が見える庵が。とるもの手につかず不動産サイトを漁る日々。内見に行った数は計り知れない。はじめは三浦半島。逗子葉山は予算的に論外、南下しても下がらんなー、東側はどうだろう、汐見にはスタバあるのね、県立大学堀之内は安いな、いっそ三崎口。ならば真鶴半島でも所用時間変わらんかも、湯河原だと温泉でるかも、熱海まで行けば安いな、海見え温泉付きでこの価格か素晴らしい、いやまてよ、そもそも遠い…

そして見つけたんです。千葉に。房総半島は色々な意味で穴場です。県知事が若返ったのでこれから徐々に知られていくと思いますがその前にここで明言しておきます。千葉はいい。近い(東京から)。デカい。富津より南はダントツに自然。アクアラインの海底トンネルから出た時の、海の先に平べったく広がる緑の風景。これはワープと呼ばずにはいられない!

その時はまだ、この土地が課してくる数々の試練など知るよしもなかったのですハイ…

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