世界は、認識から生まれる
世界は認識から生まれる
これはスピリチュアルでもなんでもない、
脳の機能からのお話です。
2020年も3/4が過ぎ、
振り返ってみれば、たくさんのお別れがありました。
祖母もそうですが、
ご利用者さまとのお別れも…
とても多かったように思います。
いつ来るかわからない、お別れのその時が
いつ来てもいいように心構えをしているつもりでも、
毎回はっとしては、いろんな感情が込み上げてきます。
90代にもなると半数以上の方が認知症を患うわけですが、
だからこそ、残っている認知機能にいかに働きかけるかが、
最期の時を豊かに生きていただけるかどうかのポイントになってくるのではないかな、と思います。
人間は、目で見て、或いは耳で聞いて、鼻で嗅いで、肌で感じて…いわゆる五感からの情報を脳の中で記憶と繋げ処理していくことで世界を『認識』しています。
中でも、脳が受けとる情報の約8割は視覚から、ということで
目を合わせること
視覚に入ること
がとても大切になってきます。
また、五感からの刺激を受けたときに一番早く反応する感覚は、
【快】か【不快】か。
いわゆる原始脳の機能です。
いきなり手を捕まれたら怖い【不快】
好きな人に優しく手を握られたら嬉しい【快】
そんな感覚です。
先日見送った90代の男性も、
病院から戻ってきたとき、その目に世界を映していませんでした。
食も進まず、
会話もままならない。
最期が近いのかな。
予想できるからこそ、食べたいものを食べて欲しい。
「◯◯さん、こんにちは。」
と声をかけ、そっと視界にはいり、目を合わせる。
手を握り、
「××です、私の顔が見えますか?」
焦点が合うまで、呼び掛ける。
視線をとらえたら、
「ごはん食べましょう」
目的を伝える。
お口の中を、冷たいスポンジでキレイにしながらマッサージし刺激を与える。
スポンジの水分を吸うようなしぐさが見られたら、水分を促す。
一口ずつ、飲み込みを確認する。
「見てください、どれ食べますか?」
「お味噌汁ですよ」
視線を誘導し、捉えたらお口に運ぶ
を繰り返す。
メニューによって、進みが違う。
当たり前のことを、再認識する。
それでも食事が進まない。
目の前に好物のプリンをお出しして、
「見てください、お好きなプリンですよ」
視線を誘導し、一口だけお手伝い。
手が動く。
スプーンを握らせて、そっと支えてみれば、
ご自身で口に運ばれる。
ああ、良かった。
食べたい気持ちが、残ってた。
そう安心する瞬間。
食事が食べれない、じゃないかもしれない。
世界を、食事を、認識できてないだけかもしれない。
安心した、その夜。
男性は静かに息を引き取られました。
いつ来るかわからない、その時が
いつ来てもいいように。
そう思っていても、日常に流されて忘れてしまいそうになります。
後悔しないように、学びたい。
後悔しないように、たまに振り返りたい。
後悔しないように、気づかせてくれる人と関わりたい。
相手にとって私もそうでありたい。
世界は、認識することから始まる。
私の目は何を映し、何を感じているだろうか。
目の前の人は何を映し、
何を感じているだろうか。
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