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牛や酪農を大切に思うきっかけになる場所にしたい|千葉ウシノヒロバメンバーインタビュー⑦伊藤涼夏さん

ウシノヒロバでは、訪れてからキャンプサイトへ向かう途中に、牛たちの暮らす育成牧場があります。
 
育成牧場にいる牛は、酪農家さんからお預かりしている仔牛です。千葉ウシノヒロバでは「預託」というかたちで、生まれた仔牛を妊娠・出産できる年齢になるまでお預かりするサービスを行っています。いわゆる「預託事業(育成事業)」です。
 
ウシノヒロバで預託事業を担当する預託スタッフは、大切な牛たちを責任持って育てています。
 
今回は、人と牛をつなぐ活動を続けている、”おすずさん”こと伊藤涼夏さん(以下、おすずさん)にお話をお伺いしました。 

酪農家さんが安心して牛を預けられる牧場にしたい

ウシノヒロバには牛を育てる「預託スタッフ」、施設を利用してもらうための準備をしたりお客さまとコミュニケーションをとったりする「観光スタッフ」、ウシノヒロバをよりよい場所にしていくためにさまざまな改善を実施する「事業推進室」のスタッフなど、たくさんのスタッフがいます。それぞれの場所で、それぞれのスタッフがウシノヒロバをつくっています。
 
では、おすずさんは具体的にどんなことをしているのでしょうか。

「わたしは、預託スタッフと観光スタッフ、そして事業推進室を兼務しています。預託チームの一人として働いている時は牛を飼育していて、観光スタッフの一人として働いている時はお客さまとコミュニケーションをとっています。また、事業推進室の一人として働いている時は牛とスタッフのために何ができるか考えています。最近は、預託チームのスキルアップになるような牛の勉強会を探したり、全酪連(全国酪農共同組合連合会)の方をお呼びして勉強会を開いたりしています。」
 
どうして勉強会を開催しているか、次のように教えてくださいました。

「牛たちにとって暮らしやすい場所にするためにウシノヒロバをどう改善していけるかを考えることを目的に開催しています。目の前の業務が忙しいとなかなかスタッフ全員で考える時間が取れないので、私がそういう時間をつくる存在になりたいと思って企画しています。
 
今一番目指しているのは、ウシノヒロバの育成牧場を、酪農家さんにとって安心して預けられる場所にすることです。酪農家さんとの間で信頼関係がなければ、ウシノヒロバの預託事業はうまくいきません。「ウシノヒロバに預けた牛たちが、元気に帰ってきてよかった」という安心感を持ってもらうためには、飼育スタッフも牛の知識をもっと持っていないといけないし、私たち自身が常にどういうところを目指して牛を飼育していくかを考えることが大切だと思っています。」
 
ウシノヒロバではそのほかにも、日々の預託業務の中でわかったことをウシノヒロバ全体で共有する「預託事業報告会」が行われています。この報告会は、預託スタッフが違うチームに向けて牛や預託事業のことをお話しするための企画です。おすずさんは事業推進室のメンバーとしてその報告会のスケジュール管理やサポート、当日の司会進行役を行っています。

「預託スタッフの知識を預託スタッフの中だけに留めておくのではなく、観光スタッフをはじめとするウシノヒロバのスタッフ、そしてそこから、ウシノヒロバに訪れたお客さまへと繋いでいけたらと考えています。そうすることで、ウシノヒロバに安心して牛たちを預けてもらえるような場所づくりになると思うし、牛や酪農を大切に思ってもらえるようなきっかけ作りにもなると思っています。

預託事業報告会の第一回目を終えた時に、普段牛に触れる機会の少ない観光スタッフが、とてもいい会だったと言ってくださいました。事業報告会があることで、観光スタッフと預託スタッフの交流の場にもなるし、観光スタッフを通じて、お客さんに伝えてもらうことができるようになります。そういう輪をつくるために、預託事業報告会はすごく大切な場所になると感じています。」 

スタッフ同士のコミュニケーションをとても意識しています

おすずさんはスタッフ間のコミュニケーションを最も大切にしているそうです。
だから、おすずさんたちが企画する勉強会や預託事業報告会は、参加するたくさんのスタッフがより興味を持って参加できるように工夫されています。
 
「とにかくスタッフに声をかけてヒアリングしています。勉強会を企画する際も、どういうことを勉強会で聞きたいかとか、何を悩んでいるかとか、スタッフの声をくみ上げて、スタッフの興味関心に合うような勉強会を計画したり、外部のセミナーを探したりしています。」

勉強会や預託事業報告会の外でも、おすずさんは日々のコミュニケーションを通して、ウシについて、酪農についての輪を広めています。
 
「はじめは預託スタッフとして稼働できる時間があまり多くなかったので、他チームのスタッフとコミュニケーションを取る機会が少ない状況でした。そのため、牛についてやこれからのウシノヒロバについてみんなで話すような時間もあまりありませんでした。でも、誰かがどうにか繋いでいかないと、酪農の文化は絶対に伝わりません。だから、時間がないことを言い訳にはしてはいけないとずっと思っていました。
いまは、牛について詳しいスタッフに自分から積極的に話しかけてとにかく知識を得ようと心がけています。さらに、そうして得た牛についての知識を観光スタッフの方々にも伝えるために、スタッフ間、チーム間のコミュニケーションをすごく大切に意識しています。」

「 わたしはウシノヒロバのスタッフの中でも、それぞれのチームがどんなことをしているかがよくわかる立場にいます。預託スタッフとしても、観光スタッフや事業推進室のスタッフとしても、幅広く働いているからです。また、もともとはそのほかのチームにも所属していました。だから、ウシノヒロバにあるチームのほとんどに所属したことがある珍しいタイプです(笑)。そういう立場だったから、余計にいろいろな人とコミュニケーションをとってきていました。預託スタッフとして学んだことや、牛が今こういう状況だっていうのを、観光スタッフとして働いているときに、たわいもなく話して、他の観光スタッフの知識に結びつけたりしています。そうして、どんどん話をつなげていき、コミュニケーションの輪を広げることができる存在を目指しています。」
 
おすずさんが牛や酪農を大切に思い、コミュニケーションを通して広めようとするまでには、どういったことがあったのでしょうか。

「牛ってすごく可愛いな」っていう単純なところから始まった

「最初は、牛ってすごく可愛いなって思う程度でした。そこから段々と、人間と関わりが深い牛という存在について興味が湧いてきました。そのような中で、酪農に自分も関わりたいと素直に感じ、調べるうちに、地元の千葉県が酪農発祥の地だということを知りました。その事実を知ったとき、千葉は酪農発祥の地なのに千葉出身の人たちでさえ牛のことを全然知らないことに驚きました。また、牛は人間にとって身近な存在なのに、酪農の仕事はあまり知られていない、これは大きな問題なんじゃないかと思いました。
 
酪農のこと、牛のことを発信していきたいという自分の気持ちは、ウシノヒロバの事業推進室のポジションにぴったりだと思っています。今は不慣れでウシノヒロバのスタッフの中でしか、酪農について学ぶ場所を作れていないけれど、将来的にはお客さんにもその学びを伝えていくつもりです。でも一人じゃできないから、現状の酪農についてを自分なりに勉強して、飼育スタッフがそれらを学べる場所を作って、スタッフみんなが広めていけるような場所にしたいです。そうすることで自分の目標達成にもつながるし、それがウシノヒロバにとっても大切なことだと思っています。」

「酪農」という存在を消したくない

「わたしの目指すゴールは、酪農家さんと信頼関係を築くことです。そのためにまずは、ウシノヒロバの預託スタッフと観光スタッフ間で酪農についての知識を共有する輪をつくりたいと考えています。そこから、ウシノヒロバのお客さんへと輪を広げ、最終的には近隣の酪農家さんたちへとその輪をつないでいきたいです。
ウシノヒロバはいろいろな人が関わってできています。だからこそ、牛のことや酪農のことを預託スタッフの中にとどめず、牧場に関わっているすべての人へ積極的に発信していきたいと思っています。」

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