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無農薬農薬で、農園をやさしく守る

みなさん、こんにちは。千葉ウシノヒロバの日々を届ける「牧場つくるマガジン」です。

千葉ウシノヒロバは、牛と人と自然が穏やかに交差する場所を目指すために、さまざまなチームで運営をしています。本日は、農園チームの手づくり無農薬農薬についてご紹介します。

農園チームでは、千葉ウシノヒロバの敷地内にある植物や農作物を大切に育て、管理しています。そのなかで、「訪れた人や、千葉ウシノヒロバにとって良い環境とは何だろう」を日々考え、さまざまなアイデアを実践しています。今回ご紹介する「手づくり無農薬農薬」も、メンバーみんなで知恵を出し合い取り組んだ一つです。

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安心して農作物を育て、届けたい

2021年8月。いつものように農園の管理をしていたところ、ホオズキカメムシの大量発生に気がつきました。カメムシは、8月を過ぎたあたりから見かける機会が多くなる虫です。農林水産省からは「病害虫発生予察情報」としてカメムシに関する発生状況の警報、注意報が出ることもあるほどです。
カメムシといえば、悪臭のイメージが強いかと思います。しかし、農作物や植物への被害も大きいのです。
カメムシは植物の茎や葉などを刺し、水分を吸って生きています。この水分を吸うときに植物の組織が破壊されるため、農作物や植物には生育不良や腐敗などの損傷が出てしまいます。

このままだと、みんなで大切に育てた農作物や植物がダメになってしまう。そこで、農園チームで駆除方法をリサーチし、対策を行いました。
最初に試したのは「木酢液」。木酢液は、殺菌や菌の成長を抑える効果があるだけでなく、土壌にまくことで微生物の活動が活発になったり、発芽や発根を促進させたりする効果があると言われています。カメムシの駆除もできて土壌改良にもつながる、一石二鳥の対策ということで散布してみました。
しかし、残念なことに、あまり駆除の効果を得られなかったのです。

虫の駆除だけが目的であれば、効果抜群の農薬はたくさんあります。しかし、私たちは可能な限り化学薬品を使わない方法を見つけたい。ウシノヒロバが目指す「人間だけでなく、自然や動物に対しても優しい気持ちを持てるような、あたたかい場所」を実現するために、人にも自然にも動物にもやさしい農園づくりにとことん向き合いたい。そんな想いから、害虫から自然をやさしく守れる農薬をもう一度探しました。
そこで見つけたのが、テレビ番組の「鉄腕DASH」で「無農薬農薬」を使って害虫駆除している場面でした。

人の口に入れても大丈夫な農薬

この「DASH村特製無農薬農薬」は、たとえ飲んでも大丈夫、すべて人が食べることができる材料でつくられた農薬です。
材料は、「よもぎ」「しょうが」「とうがらし」「コーヒー殻」「酢」「焼酎」「にんにく」「にら」「茶殻」「牛乳」。私たちはこれらの材料に加えて、ウシノヒロバに自生している「ドクダミ」の葉を入れてみました。作り方は簡単で、材料をすりつぶし、煮詰めて、布でこしていくだけです。

※参考にした鉄腕DASHのレシピはこちらhttps://www.ntv.co.jp/dash/village/06_sakumotu/02_hatake/hatake2000/munoyaku.html

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(写真)材料を混ぜてすり潰した状態

すり潰した状態で一度味見をしてみたのですが、とうがらしがしっかりと効いていて、刺激的な味がしました。このように、口に入れても問題ない農薬ができました。

早速カメムシに使ってみると、速効性があり、虫がどんどん農作物や植物から離れていくのを確認できました。殺虫ではなく、害虫を寄せ付けない防虫効果がある農薬なので、またすぐによじ登ろうとしているカメムシもいました。
それでも、木酢液より効果があることが実感できました。様子を見ながら引き続き散布し、農園を守っていこうと思っています。

今回は、ホオズキカメムシを駆除する目的で無農薬農薬を作りましたが、それから季節が少し変わり、コオロギなどの茶色の虫が増えてきました。
季節ごとに対策がとれるよう、材料を変えてみながら試していく予定です。

自然を守りつつ、害虫被害を防ぐ。そのために安全な農薬をつくる。小さなことではありますが、ウシノヒロバはこのような地道な活動の積み重ねでできています。

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(写真)完成した無農薬農薬

やさしさの循環を、私たちから生み出す

私たちは人と自然と動物にやさしい農園づくりを目指し、日々活動しています。「やさしい農作物をつくる」と言うと、「人の身体へ悪影響を与えないこと」を思い浮かべるかもしれません。もちろん、人の身体への影響も考えます。しかし、それと同じくらい環境に対しての影響も考えていきたいと思っています。

今回のカメムシの駆除方法も、無農薬にこだわりました。それは、安全な農作物をつくるためだけではなく、空気や河川を綺麗に保つためでもあります。
散布された農薬の大部分は、農作物や土壌の表層に落ち、土壌の割れ目を通じて地下水や河川に到達します。その際に、農薬に含まれる化学薬品が水を汚染してしまう可能性があります。また、農薬は大気の汚染にもつながるとも言われています。

私たちにできること。それは、農園づくりをしている私たちから、人と自然と動物にやさしい取り組みとは何かを考え、挑戦していくこと。そして、取り組んだことをみなさんにお伝えしていくことなのではないかと思っています。

これからも、牛と人と自然が穏やかに交差する場所を目指し、ウシノヒロバに関わる人たちがやさしい気持ちになれるさまざまな取り組みを進めていきます。

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(執筆:中野 綾子、編集:山本 文弥)