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7割の社員が辞めても、絶対に諦めなかった――やりきる起業家・Asobica今田孝哉氏がcoorumで実現したい世界

こんにちは、千葉道場ファンドです。

2022年7月26日、千葉道場ファンドは、カスタマーサクセスプラットフォーム『coorum(コーラム)』の開発・運営を行なっている株式会社Asobica(以下、Asobica)に対して追加出資しました。

Asobicaは2018年の2月に創業。2019年10月より提供開始された『coorum』は、飲食・小売・情報通信・教育・金融・メディアなど幅広い分野の企業等に導入が進んでおり、成長著しいCS領域のSaaS界隈において大きな存在感を放っています。

今回は、Asobicaの代表取締役・今田孝哉さんと、千葉道場のキャピタリストである廣田航輝が対談。前編・後編の2回に分けて、Asobicaのこれまでの歩みや、千葉道場からの出資が実現した経緯などを語っていただきました。

「ロックフェスのようなセミナーイベント」が僕の原点です

Asobicaのミッション、ビジョン、バリュー

ーーまずは、今田さん自身のこれまでの歩みとAsobicaのミッションについて教えてください。

今田「まずAsobicaのミッションについてお話しますね。僕らは『遊びのような熱狂で、世界を彩る』というミッションを掲げています。これは会社を設立するにあたって僕自身色々考えて、最終的に行きついた『人はどういう時に幸せなのか』という考えから生まれたものです」。

「自分の人生を振り返ってみると、何かに熱狂する時間、没頭する時間、情熱を捧げる時間というのが一番、有意義であり楽しいんですよね。一方で世の中を見渡すと、つまらない時間や大変そうにしている時間が結構多いと思っていて。そのギャップを埋めて、人々が何かに熱狂したり没頭したりして幸せを感じられる時間を増やしたい。そう思って『熱狂』をキーワードに据えたんです」。

ーー「熱狂」をミッションに据えて起業し、事業を行なうと決断した背景には、どのような経験があったのでしょう。

今田「2017年に自分が発起人となって開催したイベント『MOA大学』での経験が、Asobicaのミッションの『熱狂』というキーワードにつながっています」。

「『MOA大学』は、東京タワーの下にあるイベントスペースで開催したセミナーイベントです。ただのセミナーではなくて、音響や照明といった演出にとことんこだわる!という特徴を持ったイベントでした」。

「セミナーや講義などの座学イベントって、正直退屈じゃないですか。一方でドラマとか映画観賞には没頭しやすいですよね。インプットするという点では共通しているのに、なぜ二者でこうも違うのかと思ったんです。それで思い至ったのが、音楽や照明といった演出の力。そういったものをセミナーにも活用したら、退屈な時間が熱狂に変わるのではないかと仮説を立てて、実際に試してみたんです」。

「そうしたら、まるでロックフェスのような、すごく楽しくて気分が上がる雰囲気のセミナーが出来上がりました。お客さんや取材いただいたメディアの方にも『面白い!』と言っていただけて。そうやって『時間を熱狂に変える』ことにチャレンジすることの価値を確認できたことが、私の起業の動機、ひいてはAsobicaのミッションにつながっています」。

ーー今田さんは新卒後3年間『ファインドスターグループ』で働いていらっしゃいます。ここでの経験はAsobicaでの会社運営や事業展開にどのように活かされていますか?

今田「起業することは、実は学生時代から決めていました。そのためにまず新卒の3年間、会社で働くことで力をつけようと思いまして。それで、起業家を多く輩出している『ファインドスターグループ』という会社に入社したんです。その時、社長に『3年で辞めて起業します』『そのために力をつけたいので新規事業をやらせてください』という話をしました」。

「そうしたら、ありがたいことに退職までの2年半、とことん新規事業をやらせていただけたんです。私がやっていたのはまさに今も取り組んでいるカスタマーサクセスの領域で、CRMツールの立ち上げをやっていました」。

「CRMツールはいくつか立ち上げたのですが、『うまくいった』と思えるのは残念ながら1つしかありませんでした。なので事業の成功という意味での手ごたえはあまり感じられませんでしたが、それよりも新しく事業を立ち上げることの泥臭さや難しさを、実体験として感じられたことが、経験値としてとても大きかったと思います。マーケティングやセールス、プロダクト開発のための人材集め。事業立ち上げに必要な作業は基本、すべて自分一人でやっていましたから」。

出資の決め手になったのは「今田さんの諦めの悪さ」

Asobicaのメンバー

ーー千葉道場とAsobica、両者がつながった経緯について教えてください

廣田「実は、私と今田さんはもともと知り合いだったんです。私が千葉道場に加わる前、2017年頃からですかね、仲良くさせていただいていて。友人としてご飯を食べたりしていました」。

「私が千葉道場に加わってからも友人としての関係は続いていますし、それは起業家と投資家という立場関係になってからも変わりません。もちろん、友人だから今回の出資を決めたわけではありません。Asobicaさんに出資をしたのは『今田さんだったら絶対に何かを成し遂げるだろう』という確信を以前から持っていたからです」。

「もちろん、Asobicaさんが取り組んでいる、コミュニティを軸としたカスタマーサクセスのSaaSという領域も『間違いなく伸びる』と思って見ています。今のCS領域はいくつかの課題があって、今後はそういった課題を解決できる手段へのニーズが社会的に大きくなっていくと私は感じていて。そこに今田さん率いるAsobicaのチームがトライしていくとなれば、伸びしろが十分にあるマーケットの中でしっかり勝っていけると思ったのも、出資させていただいた理由です」。

ーーAsobicaならば、今田さんならば勝っていけると思った理由について教えてください

廣田「今田さんはシンプルに『諦めが悪い』からです。良い表現にするなら『絶対に諦めない』。今田さんはcoorumというB to Bのサービスを始める前、B to Cのサービスに取り組んでおられて。そのサービスはそれなりにうまくいっていて、満を持してB to Bのサービスへとピボットするぞ!というタイミングで、かなり辛い経験をされているんです。その時の状況を外から見ていて『今田さんって本当に諦めないんだな』と強く感じました」。

今田「その当時は大変でした。僕としては、Asobica設立当初から掲げていた『熱狂』というミッション、当時は『遊びの熱狂を世界中に』というフレーズでしたが、これをより達成するためにB to Bにピボットしていこう、と考えていました。しかし、社員の多くは『B to Cのサービスをやりたい!』という気持ちが強かった。そこにズレが生じてしまって、結果的には約7割の社員が辞めることになってしまったんです」。

廣田「上手くいっていたサービスをベースに新しい領域へと繰り出そうとした矢先に、そのサービスを支えていた人材を多く失ってしまった。これは相当辛いことのはずですが、それでも今田さんは諦めずにやり切ろうとして、結果的にピボットを成功させました。こういった経緯を見ていたので、今田さんの『やりきる力』を信用して、出資させていただくお願いをしたんです」。

ーー今田さん自身は「やりきる力」についてどのように自己評価しますか?
今田「そうですね…。周りの人からも言っていただくことが多くて、最近はそこが自分の強みなのかなと、なんとなく思うようにはなっています」。

「逆境を楽しんでいくというか、むしろ逆境こそが本当のチャンスだと私は思うんです。なので、ピボットの話もそうですけど、どんなハードシングスが来ても、それをチャンスに変えられる自信はありますし、実際に色々と乗り越えてきた自負もあります。廣田さんも仰るように、そういった部分を評価していただけているのかな、と思います」。

お互いに「無駄な時間が嫌いなタイプ」だったからこそ

ーー出資者と起業家という関係になってからも友人としての関係性は変わらないと仰られましたが、その点についてあらためて聞かせてください

廣田「本当に、全く変わってないんじゃないかなと思います。私も今田さんも、無駄なコミュニケーションや時間をすごく嫌うタイプなんですよ。それって何故かと言うと、お互いに『やるべきことがある』という感覚を持っているからなんです」。

「今田さんは事業をやるべきであり、僕はコミュニティ運営とファンドをやるべきである、という。お互いに、やるべき事にチャレンジをしている人間だという認識をずっと持っています。だからこそ、友人としてのお互いの関係性は昔から変わっていない、という感じです。始めの方で『ご飯を食べたりはしていた』と話しましたが、頻繁に飲みに行ったりとかはしないんですよね」。

今田「そうですね。たまに旅行とかに行ったりはしますけどね」。

廣田「そうですね(笑)。でも、慣れ合うための付き合い、ただ一緒に時間を過ごすことが目的の付き合いはしないですよね」。

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お互いのコミュニケーションのスタイルがだんだんとわかってきましたが、今田さんと廣田の対談・前編はここまで。後編はこちらからご覧ください!


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