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千葉道場で得たもの、胸に刻んだこと。令和トラベル・篠塚孝哉が語る、起業家エコシステムとしての千葉道場

こんにちは、千葉道場ファンドです。前回の主宰・千葉功太郎インタビュー、たくさんの方たちに読んでいただきありがとうございます!

このnoteは千葉道場ファンドの投資先起業家でつくるコミュニティ「千葉道場」のカルチャーを伝えるべく、道場内のヒトやモノ、コトにフォーカスにして発信していきます。

前回、主宰・千葉からお伝えした通り、千葉道場が目指しているのは、「起業家がより成長できるエコシステムの構築」です(詳細はこちらから)。

千葉道場は、起業家同士が切磋琢磨しあうコミュニティです。また、Exitした起業家には、千葉道場ファンド内でプロ投資家としての知見を学んでもらう機会を用意することで起業家が成長するためのエコシステム構築を目指しています。

今回のインタビューに登場する篠塚孝哉さんは、2011年にLoco Partnersを起業し、満足度の高いホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux」をローンチ。KDDIへの売却を経て2020年3月に退任しました。同年4月〜翌2021年3月には千葉道場ファンドのフェローに就任。2021年4月にはフェローを卒業後、「令和トラベル」を創業しました。まさに千葉道場と同ファンドが目指すエコシステムの体現者です。

このインタビューでは篠塚さんに、千葉功太郎との思い出や、千葉道場コミュニティでの学び、新たに創業した令和トラベルのビジョンなどを聞きました。

千葉功太郎への師事、そして起業の悩み

――千葉功太郎とは「千葉道場」が始まる前から仲が良かったそうですね。出資を受けることになった経緯を教えてください。

「Reluxを始めて1〜2年経った2014年くらいからですかね。当時はコロプラの副社長をしていた千葉さんと知人を通じて親交があったんです。千葉さんに起業や経営の相談をするなかで、地方への旅行とかも一緒に行くようになったんですよね。当時は『Reluxとコロプラで一緒に何かできたらいいね』なんて話してたりしました」。

「千葉さんにはいろいろ教わりました。千葉さんの専門分野は経営戦略や人事。採用とマーケティングが共通していること、採用のプロセスでどういう目利きをすべきか。会社と求職者の価値観のマッチングがうまく行かないと何が起こるか。いろいろ教えていただいて、めちゃくちゃ勉強になりました」。

「ちなみに、スタッフとの価値観がズレていると何が起こるかというと、その人がいくら優秀であろうとダークサイドに落ちる瞬間があると。『それが組織崩壊の因子になるから、きちんと価値観を整えることが重要なんだ』と千葉さんに言われました。自分も初めての起業で右も左も全く分からない状態でしたから、ありがたかったですね」。

「当時はエンジェル投資家が自分の周りほとんどいなかったんですよ。日本に何人かはいたとは思うんですが、そのなかで本当に信頼ができる方は千葉さん一人だったんですね。なので、株主になってくれるとうれしいなと思っていたし、出資してくれてうれしかったですね。千葉さんがエンジェル投資を始めてから、Loco Partnersが一番か二番目くらいだったと聞いています」。

千葉道場で経験したすべてが、僕の血肉になった

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(千葉道場設立当時の一コマ。赤い服が篠塚さんです)

――篠塚さんは、2015年の鎌倉での千葉道場・第1回合宿から参加していたと聞きました。参加した理由は何だったのでしょうか?

「それまでにも起業家の知り合いはいたんですが、千葉道場のような合宿形式でほかの起業家たちと親密になれる“横のつながり”は貴重。楽しそうで、惹かれました。合宿には千葉さんもいて何でも相談できたのは、今思えば貴重なチャンスでした」。

「けっこう前の話なので、何を学んだかと言われると具体的に思い出すことは難しいんですが、ただ、学んだことは相当大きかったんですよね。僕自身は何か具体的なアクションを求めていくタイプではなかったんですが、道場内で話し合われていることをメタ化・抽象化して、『こんなことが会社であったら、こういうふうに生かせそうだな』と思う場面がたくさんありました。当時は、本当に右も左も分からない起業家だったので、千葉道場内で学んだ事が今も血肉になっていると感じています」。

「シードからプレシリーズAに成長する時期だったり、レイターステージで活躍している起業家は、やっぱり悩みとかが似てきます。組織が10人から20人、50人になったら組織上のミドルマネジャーの問題が起きて、情報の疎通が悪くなる。当然、お金の悩みも。資金調達や契約書で、どういう条件を取ったのかも相談したりします。『あれはどうやってクロージングしたのか』『誰か紹介して欲しい』なんてことも話しますね。とにかくそういうことをひたすら喋るんですよ。経営全般にまつわる、まさに“道場”という感じで最初から機能してましたよね」。

「例えばReluxの会員数を明かして、『うちで旅行予約がこれくらい発生しているけど、競合はこの軽く100倍超の予約が発生しているはず』みたいな仮説をぶつけると、みんなも回答してくれるわけですよ。料金が高いとか、アプリが使いづらいとか、僕が持っていない視点やヒントをたくさん与えてくれるんですよね。集まるたびにそういったことを聞いて、どんどん学習していく感じですね」。

――千葉道場内での千葉功太郎はどんな存在でしたか?

「千葉道場に入って、千葉さんに関してわかったことが3つありますね。まずは、周りを巻き込んで動かすプロだなと思ったんですよ。もう自分ではやらないんですよ。徹底的な権限委譲をして、ただその場を作るためのポジティブな支援はものすごくしてくれるんです」。

「2つ目なんですが、できない理由をマジで全く考えないんです。千葉さんは頭がちょっとぶっ飛んでいると思うんですけど(笑)、どんなに難しいことでもできる方法しか考えてないです。そうじゃないとパイロットの免許を取らないですよね? 結局、起業家たちはそれに刺激を受けてしまうんですよ」。

「3つ目は、小さなビジョンを全く評価してくれない。『売上が月1000万円を超えました!』と千葉さんに報告しても、『そうか、で、月10億円はいつ行くの?』と淡々と返してきて、突き上げてきます。一貫して、とにかく大きなビジョンを持つことをメッセージとして言ってくれるんです」。

「こういったことって、一般的には確かに教科書に書いてあるような話なんですけど、その徹底ぶりが異次元なんです。起業家は日々のストレスや困難があって、思い悩む瞬間があるはずなんですが、それを千葉さんは我々の前では一切見せない。むしろ悩んでいることを知ってるから、一貫して3つのメッセージを伝え続けるんです。大きなゴールやビジョンを見つめることが大事だと感じさせてくれます」。

柴山和久さんとの出会いと、道場フェロー就任

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(2017年に開催された第6回千葉道場合宿・事前打ち合わせをしている様子。篠塚さん(左)とウェルスナビの柴山和久さんが並んで何やら相談しています)

――道場参加者で印象的だった人はいますか?

ウェルスナビの柴山和久さんですかね。今では、柴山さんの言うことに対しては疑問を持ったとしても、最終的には自分の考えよりも信じると決めているくらい尊敬しています」。

「最初に彼が千葉道場に入ってきたときは日本のスタートアップのスタンダードが変わってきたなと思いましたよね。当時は“社会から外れた変な人たちが野心を持って果敢にチャレンジし続ける”っていのがスタートアップ企業の一般的な姿でした。一方、柴山さんは東大出身で財務省・マッキンゼーを経て起業。ピカピカすぎますよね」。

「柴山さんと一回、千葉道場合宿プロジェクトの幹事を一緒にやったんですけど、業務の進め方がすごかったんですよね。意思決定するときに、さまざまなオプションを用意していて、しかも各オプションが完璧で抜かりないんです。だからどう転んでも、基本的には想定の枠内に入るような仕組みになっている。しかも合宿の準備をしながら、同時並行で引き継ぎ資料も完成させていくんですよ。あれには驚きました」。

「新型コロナウイルスの影響に関しても、2020年の2月か3月ぐらいに柴山さんと話しました。当時は新型コロナウイルスが本当に社会的にインパクトがあるか、わからなかった時期です。1〜2ヶ月で収束するという専門家もいたし、夏前に終わるという人もいたし、または一生終わらないなんて言う人もいたりとカオスな時期でした」。

「でも、柴山さんはすでにその時点であらゆるシナリオを持っていました。楽観的な2020年夏収束パターン。2020年末に収束パターン。そして、年が明けて2021年になっても収束していないワーストのパターン。そして柴山さん自身は、昨年2〜3月の時点で、すでにワーストシナリオを前提に経営していたんですよ。少なくともまわりにはそこまでのビューで経営している人はほとんどいなかった。柴山さんのこういう凄みを見せつけられるたびに、経営者として刺激を受け続けてます」。

――Loco Partnersの社長退任後に千葉道場のフェローになりました。ファンドにLPとして出資するだけの選択肢もあったなかで、どうしてフェローに?

「千葉道場にいろいろとお世話になったので、その恩返しできるのはいいなと思ってはいましたね。ただ、かっこ悪く言うと……僕自身は野に放たれること、どこにも所属してないことへの不安はありましたよね。いわばニートになってしまって、いっときでもダラダラしている経営者人生は歩みたくないと思ったんです。社会との接点をちゃんと持つために、少しでもいいから千葉道場に関与できたら、うれしかったんですよね」。

「フェローになってからは、僕の役割としては相談に乗ることでした。メンタリングに近いかもしれないですね。Reluxよりも規模が小さめの会社であれば、次にどういった問題が起きるかはたいてい予測可能でした」。

「起業家には、経営資源である人・モノ・金の悩みしか基本的にはありません。キャッシュが尽きそうであればVCへの資料作りをサポートしてあげたり、採用に悩んでいたら詳細をヒアリングしてあげたり、グロースに困っていたら適任を繋いだり私自身もアドバイスをさせてもらったり。もちろん、コロナ禍における悩みは僕も未経験なんですが、経験と周りの知見をミックスして相談に乗ってあげたりもしました」。

千葉さんなら、きっとできちゃうんだろうな

千葉道場付が目指す起業家人材育成のエコシステム

(千葉道場が目指す、起業家人材育成のエコシステム)

――千葉道場ファンドのフェローを経験して、令和トラベルに生かせそうなことはありましたか?

「VCからのファイナンスが実際にどんなものかを見させてもらったことですよね。投資委員会などのプロセスを間接的に聞いたり、VCの仕組みや投資ロジック、投資戦略の話をすぐ近くで見ることができました。僕は直接関与していない部分ではありますが、すぐ近くにいる立場で投資家と定例会議で話せたのは、すごく勉強になりましたね。投資家目線を知ることができたと思います」。

「令和トラベルのサービスローンチに関しては、コロナウイルス感染の第5波が来てると言われてるので、今は正直悩んでいるところです。今、意識してることは、海外旅行の需要がいつから戻ってくるかがよくわかってないので、ムダにならない部分にちゃんと投資をしなきゃなと。海外ツアー予約ができない今、垂れ流しの投資をしないように、テレビCMとかの広告を打つようなことは当然しません。人件費などもきちんと資産になるところへ寄せて投資活動をしています。たとえば、アプリにおける機能開発のようなところへはどんどん進めていこうと思っています」。

――最後に、起業家エコシステムとしての千葉道場ファンドに期待することは?

「ファンドサイズ、つまりは運用総額を一回り大きくすることが、結局、起業家エコシステムの進化になる気はしますよね。100億、200億円のサイズになれば、エコシステムがまた大幅に変わると思うんですよね。仲間になってくれるような人、制度もサイズに比例するはずなんですよね」。


「ファンドサイズによって運転資金が決まって、コミュニティに投資できるバジェットが決まってくるわけなので。また、投資先の顔ぶれが変わるので、一流の起業家もそれで集まってきたりもするんでしょう。そこで得た知識を集合知に変えることの価値もありますし、コミュニティへの投資に対してのバジェットは絶対増やせます。それによって道場イベントの品質がものすごい上がることも考えられますよね」。

「全然違う価値が生まれるはずなので、期待したいなと思いますし、千葉さんなら、できちゃうんだろうなっていうのは感じますね」。

【令和トラベルについて】

令和トラベルトップ画像

(令和トラベルは、2021年8月現在、正式ローンチ前。篠塚さんはコロナ後をじっと見据えています)

篠塚さんが率いる令和トラベルでは、まず相談ベースでのハワイ旅行手配サービスを開始しています。

安心安全を最優先に、非常に煩雑で面倒な手続きが多い出国のサポート、ファミリーやカップルなどあらゆる旅行形態にベストなプランの提案などを行っていますので、ぜひご相談ください!あわせて、本サービスも準備中です。LINEでの先行登録なども可能です。皆さま、お待ちしています。

また、採用も強化中とのことですので、篠塚さんと一緒に働いてみたい! という方はこちらをチェックしてみてください!

【編集後記】

記:千葉道場ファンド パートナー・石井貴基

篠塚さん、コロナ禍でサービスローンチを見極める局面のなか、本当にありがとうございました。

記念すべき第1回目の千葉道場合宿で出会ったのが篠塚さん(シノさん)でした。当時から物静かでロジカル。知見や課題を言語化する能力が高い方だなと感じていました。

半年ごとに開かれる千葉道場合宿でお会いするたびに、着実に事業を成長させていたことにも刺激を頂いていました。今回のインタビューでもお話されていましたが、千葉道場で得たことをしっかり持ち帰り、事業や組織づくりに反映させていたのだと思います。

M&A、退任を経てから千葉道場にフェローとして参画いただいた時も本当に頼もしかったです。起業家でなければ気づかない視点から、出資先を支援していただきました。起業家から「モヤモヤしていた課題を言語化できて取り組むべきことがクリアになった」など非常にポジティブな反応が多かったのは、さすがとしか言いようがないです。

そして、これからもさらにご活躍いただきたい! と思っていた矢先、もう一度大きなチャレンジをされると聞いて驚きました……笑。前職を退任されてから、まだ1年しか経っていないじゃないかと……。

これに対しては、千葉道場の運営メンバーとして寂しさも感じています……笑。

ただ、シノさんが今まで積み上げてきた経験や様々な資産を賭けて、さらに大きなチャレンジをされるというのは、元起業家として心から尊敬しております。

これからは千葉道場ファンドの投資家として、連続起業家・シノさんの新しい挑戦を全力で応援させていただければと考えています!

これからも長いお付き合いになりそうですが、なにとぞよろしくお願いいたします!

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このnoteでは、これからも千葉道場コミュニティの人たちへのインタビューを掲載していく予定です。お楽しみに!

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