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カラーボール野球の備忘録 最終章(松茸への違和感の巻)

うちの会長とお偉い方々との協議?競技?の上、体育館の使用許可を頂いた我々[日本MATSUTAKEファン倶楽部]だが、慢性的な友人不足という事実がいつまでも付き纏っていた。

数少ない貴重な友人達へ懇切丁寧なお誘いをするも、敢えなく撃沈し二人で始動する選択肢以外残されていなかったのである。

せっかくカラーボール野球を楽しむのであれば、他にもチームメイトがいて試合もできたら良いよね。という絵空事を具現化する為には、発信できるツールが我々には必要だという結論に至り、SNSという魔境へと足を踏み入れたのが事の始まりであった。

運動や自分の趣味ばかりに時間を割いて来た我々は、メカやらSNSやらPCの類には疎く、そして極めて情弱なのである。RPGの装備で例えると木の棒と皮の上着を羽織っている状態に限りなく近い。足りない頭を二つ振り絞るが何をどうすれば良いのか皆目検討もつかず、作戦会議ではお年寄りパソコン教室への通学も候補に上がる始末だ。

試行錯誤の末、お年寄りパソコン教室やらパソコンカルチャースクールへ通学をせずに、骨髄を砕く思いでSNSのアカウントとやらを取得し、晴れてカラーボール野球を外部へ発信できる環境が整ったのである。

もちろん[日本MATSUTAKEファン倶楽部]名義で

アカウント取得後、カラーボール野球の様子を少しずつ発信するも、我々は何か違和感に近い物を感じ始めていた。そこから数日ほど経過したある日、我々は重大なミスに気が付いたのであった。

[日本MATSUTAKEファン倶楽部]ってなんなん?

客観的に捉えると、もし知らないアカウントが上記名義で呟いたり発信して誰かの目に付いた所で、お年寄りのきのこ採り集団としか認識されないのだ。

もし運良くカラーボール野球の活動をしていると認識して頂いたとしても、怪しさ全開の奇怪な集団として認識される事間違いなしなので、常人であれば近寄りたくはないであろう。

つまり、誇らしく掲げた松茸が足枷となっていたのである。

我々はきのこ採り気狂い集団として大手を振って世に羽ばたき、そしてその羽をすぐに畳む決断をした。

気狂い集団は会長と庶務のメガネで構成されている。

「会長、恐らく誰の目にも止まっていないです。」

「なんでだろう。」

「なんででしょう。」

数日後

「おいメガネ、日本MATSUTAKEファン倶楽部って意味分からなくないか?」

「恐らく、不審者として誤認されてるでしょうな。」

「「よし、名前を変えよう。」」

ここまで辿り着くのに相当な時間を要した事を少々後悔もしているが、我々が熟考に熟考を重ねた、愛おしく誇らしい名義には変わりないのでいつかチームメイトが増え、チームとして編成が組める状態になった暁には[日本MATSUTAKEファン倶楽部]を押し入れから引っ張り出す事にしよう、それまでは一度眠ってて頂く。

一度目の失敗をした我々はノンアルコールで作戦会議を静かなトーンで行う。

千葉でカラーボール野球をやっている事と、今後使用できる体育館を増やしたり、オフィシャルとして存在する為にも連盟という冠をつけよう。という結論に至るまで然程時間を要さなかった。我々が何者であるかを曲解されぬ様シンプルに、そして真っ直ぐに。

そうして我々は晴れて[日本MATSUTAKEファン倶楽部]の冠を外し[千葉カラーボール野球連盟]として羽を広げたのであった。

空になったグラスを片手に次の注文を店主に告げ、注ぎたてのビールに舌鼓を打っていると会長が唐突に口を開いた。

「競技人口も少ないし訳分かんないだろうけどよ、俺らが楽しい事には変わりないだろ?」「つまらなさそうな事には人間興味が湧かないけど、楽しそうなら気になるし目に止まるだろ?」「楽しい事を続けようぜ。」

うちの会長は毎回そうだ、いつでも無計画でぶっきらぼうなのだが意外と的を得た事をいつも言う。


庶務のメガネによる[日本MATSUTAKEファン倶楽部]改め[千葉カラーボール野球連盟]の経緯を辿る備忘録でした。



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