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ヤンゴン37th通り

子どもの時分、メアリーポピンズをくりかえし読んだ。映画と違い、小説の中のメアリーはすぐ鼻をならして不機嫌になる。けれどもジェーンとマイケルと共に繰り広げられる世界はふしぎに満ちていて、一緒に春をつくったり、桜町通り17番地はいつも魅力に溢れていた。本日はヤンゴン37番通りのお話し。

12月は外国人登録証(FRC)の更新シーズンだ。11月30日が一年の区切りとなるため12月に一斉更新となる。1月以降も可能だが申請費用が倍になるので要注意。以前、申請いただいた方に時期と方法を教えてもらう。もちろんお願いすることもできるが、今回は自分でやってみよう。インターネットで再確認すると、必要なものは次の4つ。
① FRC 原本
② FRCコピー1部
③ パスポート原本
④ 申請費9ドル

申請場所は以前と変わったようで、朝早めがよいらしい。ゆっくりすると二時間コースとなる。コピーをもって9時前に出たら、37番通りの入口はまだ閉まっている。担当者にコピーを見せると、〇△※〇△※、何か違うようだ。首をかしげていると、薄暗い中から先に並んでいた男の子が飛んできてくれた。
「コピーはA4サイズです。これはA3なので。」
原寸ではなく縮小両面らしい。そうですよね。ファイリングにはA4が便利ですよね。
そこで、はす向かいのコピー屋さん Genius を教えてもらう。37番通りの人々は桜町通りと同じく親切で導かれるままにたどり着く。コピーを見せると、女の子はうなづいて奥へと消えた。しばらくすると、ブーーンという音と共に発電機が回り、コピー機の上の神棚(仏さま)の後光がピカピカと輝きだした。値段を訊くと6本の指を出すので高いなと思いながら1万チャットを渡すと、おばさんと相談している。一部 300チャット(20円)であった。
元の申請場所へ戻ると、先ほどの助っ人君へお礼をいう。
「あと7分。今日はラッキーだよ。前回は人でごった返していたから。」
外国人エンジニアを申請するHRアシスタントのようだ。二年前、コロナでシンガポールから帰って来た。さわやかではきはきとした様子に海外から多くの若者が戻ってくる3年後のこの国が楽しみになった。

時刻が近づくと、小さな紙が配られる。名前とTEL、申請部数を記入するのだがミャンマー語がわからず部数欄の(  )に電話番号を書いてしまいMr. 助っ人にもう一枚もらってもらう。本当にお世話になりっぱなしだ。
時間になると、待っている順とは関係なく、一列に並ぶ。窓口は2つ、テキパキしそうな方を選ぶべし。
申請一式を渡した後、左手の窓口で9ドルを払う。ミャンマーあるあるだが新札でないと受け取ってもらえない。そんなこともあろうかと新札10ドルをしのばせてきたので無問題。翌日3時以降、受け取りでコンプリート。なんだか達成感でいっぱいだ。1ブロック、歩きたい気分。

タクシーだとあっという間の距離も歩いてみるとけっこうある。いつの間にかヤンゴンの秋葉原まで来ていた。冷蔵庫の間で神棚に一日の祈りをささげる青年、卵のクレープの屋台、朝のダウンタウンは一日の始まりの活気に満ちている。そうだ、ヤンゴンは本来このような活気に満ちた町だった。大家さんのいいつけを守ってウチと事務所の往復ばかりだったので、見るもの聞くものすべてが新鮮に映る。
ふらっと時計屋さんに入る。先日、腕時計をなくし日本で買おうと思っていたが、やはりあると便利だ。フェイスとベルトを選んでいると、おもちゃのような時計と目が合った。海の生きものが並んでいて防水付き、プールにも良さそう。達成したご褒美としてミャンマーで買うことにする。3万チャット(2100円)なり。こわれたら、また買えばいいじゃない。マリーアントワネットのようなことを思いながら時間を合わせてもらうと、
「こちらの時計は、すべてジャスト in タイムです。」
誇らしげに答えるマダムの頭上には 10:10 。
ここまで30分たらずというわけだ。スタッフの人数分、マーケットでほおずきを買う。
これまたフルーツらしい。これでようやく駐在員に必須の4種の神器が揃った。

12月もあとわずか。申請がまだの人はお忘れなきよう。メリークリスマス!!よいお年をお迎えください。



My Favorite Things  - The Supremes
https://youtu.be/mPncuS0E1yc









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