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ゆとり世代とバブル世代。時代への考察

(写真は全然関係ないですが、1999年ごろのキベラです)

10代~30代でケニアで起業したりインターンに挑戦したりなど、ホントに楽しそうにケニアで活動している若い日本人の人々のお食事会に招いていただいて、楽しい時間を過ごした。

話を聞くといろいろとビックリのことばかりで、面白くてもっと話が聞きたいと思ったのだけど、若い人たちにとっても私が話す昔のアフリカの旅や仕事の話は面白いと思ってもらえたようで、いろいろな世代でおしゃべりするのは新鮮で楽しかった。

それにしても、本当にすごいといつも感心する。今どきの日本の30代の人たちの発想のユニークさ、スピード感、ボーンと飛び込んで形にしていく能力、次々と様々な事業展開をして、アフリカを舞台にイキイキと働いている。聞けば聞くほど、本当にすごいなと思う。
で、ふっと思い出して、「もしかして皆さんはゆとり世代?」と聞いたのだけど、そしたらちょうど、ゆとり世代の最初の年から、最後の年までの人たちがその中にバッチリいた。

ゆとり世代とは、現在36歳から30歳くらいまでの人たちを言うんだそう。その前の世代が私たち?(いや、私は50代だからもうちょっと前の時代か)と思うのだけど、私はかつて「新人類」と言われた世代で、俗に「バブル世代」とか言われていた時代の真っただ中の若者だった。

私の若者時代は世の中は浮かれたカネが溢れているバブルだったけど、そのバブルの中で世界中をガシガシと体張って旅するような若者たちがいた。世界中を自転車や、バイクや、徒歩や、リヤカー引いてや、ラクダに乗ってなど、ありとあらゆる(体力勝負の)方法で自由自在に旅をしていた。私もそんな旅人のはしくれだった。

そんな浮かれた時代もはじけて、厳しい時代がやってきた。「氷河期」と言われた時代、不安定な社会の中で、詰め込みじゃなく多様性を認め合って感性豊かに生きましょうと教育方針も見直されて、実験的に「ゆとり教育」というものが行われた試行錯誤の時代。
さて、前々から思っていたのだけど、この「ゆとり」というのはやっぱり成功だったのではないか?と今更ながら思うことがある。それは、ケニアで活躍している30代の「ゆとり世代」の人たちに会うたびに思うのだった。そのあとの世代の人たちとも違う、なんだかなんとも言えない軽やかさやユニークさが「ゆとり世代」の人たちにはあるのを感じる。

私たちの時代も、やっぱり時代の勢いがあってよかった。高度経済成長期に幼少期を過ごして、時代がバブルへと転換していくのを肌身で感じて育った世代だ。世の中は浮かれていたけど、批判的な視線でそんな世の中を見る仲間たちもいた。私たちよりも上の世代の人たちの体を張った社会運動とは比べようもないけれども、私の中ではバブルな社会風潮へのあきらかな危機感があり、私の興味はより泥臭い世界、より土着な文化へと向かっていった。世界を舞台にそれを追求していく旅は本当に楽しかった。

その一方で、そのあとの時代の人たちは、バブルははじけて日本の景気は悪くなり、氷河期になって大人は迷子になり、教育方針も錯綜して、ゆとりになって失敗したとも「指導内容を削りすぎて学力低下した」とも言われるようになって、でもその時代に子どもだった人たちがいま、30代になって世界で活躍している。その活躍の様子を見て、やっぱり「ゆとり」は成功だったのではないかと思うのだ。

若者たちと話をしていて思い出していたのだけど、私たちの時代は世界の旅を続けていくために旅先で「現場の仕事」をしてお金を稼いでまた旅を続けていく、という長期旅行者がたくさんいた。アフリカでも、様々な日本の建設会社が現場の仕事でそんな日本人を次々と現地採用で雇っていた。
マグロ船に乗ったりとか、NYのジャパニーズレストランで皿洗いをするとかいう人もいた。そうやって体力勝負の旅を続けて、もうまともな人生には後戻りできないという人生賭けた旅人たちがいた。

今のアフリカで活躍する30代の日本人たちは、またそういう時代の人々とも全然違う。ユニークな発想で、頭脳勝負の仕事を立ち上げたり、ビジネスが社会貢献になるものを立ち上げたり、大きな資金を扱う仕事をしたり、次々と新しい分野のことに挑戦したり。そしてやはり、楽しそうである。

時代はいろいろなことを乗り越えても来ているようにも思う。例えば、私たちの時代には今以上に、根強い外国への偏見や人種差別もあった。今はもっともっと当たり前に、対等の視線を持ってアフリカの人々とも向かい合って共に作っていこうという開けた感覚が、私たちの時代よりもあると思う。

時代の変化を感じながら昔を振り返ったり今を見つめたりすることが私は好きだが、やっぱり、こうして確実に日本も変わり、ケニアもそしてアフリカも変化している。
そして、「今」がいつも一番、面白い。

ここから先の若者たちはZ世代と言うのだそうな。
デジタルネイティブの世代だそうだけど、私と永松真紀さん・マサイのジャクソンさんがやっているリアルなマサイの伝統文化体験スタディツアーにはそんな世代の人たちが多く参加してくれている。

そして、キベラスラムのスタディツアーでは、リアルな「生きること」に触れてもらっている。どんなに困難な生活状況でも、水道も食料も仕事もなくても、とにかく日々を生き抜いていく人々の迫力と、こどもたちの命の光に触れてもらう。

人間っていいもんだな、と、こういういろんな世代の人たちとの出会いからつくづく思う。いろんな人たちに出会って、私も学ぶことばかりだ。

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