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2023/01/04に届いた本

■『流れとかたち』

養老孟司先生の『ヒトの壁』で言及されていた書籍。

熱力学の研究者、エイドリアン・ベジャンは『流れとかたち』(中略)で「万物の進化を支配するコンストラクタルの法則」について書く。川の流路、山岳の形成や崩壊といった地表の変化から、生物の進化まで、すべての動きは、「もっとも抵抗の少ない経路を通って変化する」。
養老孟司『ヒトの壁』新潮新書

届いたときにちょっとだけ中身を確認した。

本書は、自然界のデザインを科学の一分野として扱う。その核を成すのが、デザインと進化の物理法則である「コンストラクタル法則(constructal law)」だ。
この法則は、血管組織や移動、社会組織などを含め、生命を持たない河川から生き物のデザインまで、自然というモザイク全体に及ぶ。
エイドリアン・べジャン『流れとかたち』紀伊国屋書店

この本の発行は2013年。
その時点では、自然界に存在する数多の物質の形状には規則性が存在せず、現状の「かたち」に収まっているのは全て偶然だ、とされていたらしい。

それに異なる見解を抱いた著者は、「コンストラクタル法則」という概念を生み出して、全ての自然はある一定のパターンを原理としてその形状を作り上げていった、と説明する。

全ての物質は、その内(水分など)と外(空気など)に存在する流動性のあるものを最も効率的に循環させられる形状へと変化していく、というのが「コンストラクタル法則」のざっくりとした説明だと思う。

この理論が正確であるかどうかは別の話として、自然界のあらゆるものを一つの理論によって説明しようとすることが可能だということがロマンチックでとても面白いと感じる。

優れた作品やデザインは、必ずといっていいほど自然界の物質に着想を得ている。
どれだけ科学を発展させようとも、人間が「自然界」という枠組みを抜け出すことができない以上、人間が生み出す創作物のうち最も高尚なものは「自然」に関するものにしかなり得ない、と私は考えている。

私が抱えているその仮説の検証を進めるためにこの本は有益だと思う。

■『ファウスト』

これも『ヒトの壁』のなかで紹介されていた本。
その中で引用されていた以下の一節がかなり心に響いて、思わず手元に置いておきたいと思ってしまった。

一体此世界を奥の奥で統べているのは何か。
それが知りたい。そこで働いている一切の力、一切の種子は何か。
それが見たい。それを知って、それを見たら、
無用の舌を弄せないでも済もうと思ったのだ。
森林太郎訳『ファウスト』岩波文庫

海外の作家には本当に縁遠いので、書籍内で紹介されているのをきっかけに手を伸ばせるようになるのはありがたい。
先日ブックオフで『ゲーテ格言集』を手に入れて何となくゲーテの人となりを把握することができたので、彼が作った作品にも触れることで彼の人生や価値観をより解像度高く理解したい。

手塚治虫が漫画化した「ファウスト」も後日家に届く予定で、戯曲を読む前にそっちに手を出そうと思ってる。

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