〈7首連作〉プラットフォームの三分間
プラットフォームの三分間 廣川ちあき
頭上には鳩の羽音が行き来して駅は岩場に似ているらしい
駅までに傘に集めた水滴は文字を書くには少し足りない
両の睫毛に鉄の庇を装備して女らプラットフォームに並ぶ
ささえもつ脳の重たさ紫陽花は枯れゆくときもまるさを保つ
戦いに赴く列に今朝塗ったバターの色のスカートの人
靴の歩みの流れを分かつ石としてまもられているアゲハチョウの死
枕木を千の鏡に掛け替えて雨が上がれば夏のおとずれ
(2017年9月)
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