フォローしませんか?
シェア
廣川ちあき
2017年7月29日 01:53
梅干しの種を舌の上で転がしつづけても新しい果肉は生まれてこないし、見損ねた映画のちらしを裏に表にひっくり返しても新しいすじ書きは現れてくれない。まぶしい停留所で電車がごとんと止まって、向かいの窓がぜんぶ青い空と海になる。いつもの地下鉄の駅から駅の長い時間のうちに夕暮れの空の色の移ろいを見逃していることを思い出す。開け放たれたドアからとんぼがついと入ってきて、飛んでいく軌道に水